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両耳聴立体集音機(SX-008W)試聴総合レポート




                                               『補聴器愛用会』副会長
                                                    奥平 知明





*     *     *     *     *


『補聴器愛用会』より


関東の耶馬渓とも呼ばれる妙義山があり、日本の近代化の生き証人として知られる国の重要文化財指定の
富岡製糸場を持つ、群馬県富岡市の豊かな自然に恵まれた環境の中で、シマダ製作所は従来よりユニークな
補聴器の開発に取り組んでいますが、今回、「みみ太郎」シリーズの一環として新たな製品が発売されました。

奥平副会長が早速これを聞き試した、その結果の報告です。


 文中に出てくる「みみ太郎」は次の三種類となっています。
  ◆SX−007(両耳用:遠聴支援機)
   人の聞えの仕組みを可能な限り忠実に再現するものとして開発されたもので、本体内に二つの人工耳介と
   その鼓膜部分に二つのマイクを持ち、これにより人が音情報を取り込むのと同じ仕組みを作り上げ、音の
   再生には人工的な音の加工は一切排除し、健聴者と同じ広い音域(2〜20,000Hz)の音を再生し、自然で
   素直な音を聞かせる。

  ◆SX−008(片耳用:単耳聴 立体聴覚用具)
   人は片耳ででも音を立体的に捉える「単耳聴立体」という聞き取り能力を持っており、この能力を最大限に
   引き出すために開発されたもので、これにより、「みみ太郎」を装着した片耳のみで聞いても方向感と距離感
   のある立体的な音で、且つ、音源の位置で音が大きくなるような聞こえ方となる。

  ◆SX−008W(両耳聴立体集音機)
   今回新発売となる製品で、上記、SX−008を両耳用に進化させたもので、その聞こえ具合は本レポートを
   お読み下さい。


尚、上記三機種の「みみ太郎」が文中に登場し、紛らわしいのでSX−008W(両耳聴立体集音機)は「新製品」と
表記してあります。


*     *     *     *     *






シマダ製作所より新発売の「両耳聴立体集音機SX−008W」の試聴試験を「単耳聴SX−008」及び「みみ太郎
SX−007」、並びに耳穴型ベルトーン「インビザKプロ」と比較する形式で実施しました。

今回の試験試聴は通常の音楽視聴チェックと環境音総合試聴に加えて長期鉄道移動の機会を利用して青函
トンネル内での音響測定試験も併せて行いました。

「単耳聴SX−008」の両耳型のタイプが新製品の「両耳聴立体集音機SX−008W」です。「単耳聴SX−008」
は片耳からの音が脳内において、眉間の深奥部である脳下垂体付近のやや上部であたかも両耳から立体的に
音が構成されて聴こえるようになるのが最大の特徴となっています。

「みみ太郎SX−007」が現在世界中で製造販売されている補聴器の中で最大最高の集音能力と音質を
有していますが、小型化の点で難点があったのに対して「単耳聴SX−008」は小型化と片耳のみで脳の機能を
利用して両耳で聴こえる感覚を再現できたところに大きな進歩があると言えます。

「単耳聴SX−008」の場合、イヤーホンとマイクの構造上「みみ太郎SX−007」と比較すると集音能力と音質は
低下するが、既存のボックス型や耳掛タイプの機能と比較した場合は脳自体に働きかける音なので、感覚と
しての音質は聴きやすく理解しやすい。ただしイヤーホンとマイクの構造の問題で風切り音や音量的な不満は
残るが、室内空間での使用には問題は無く、音楽鑑賞にも充分耐え得る音質であり、性能です。

「新製品」は各種の試験試聴の結果、単純に「単耳聴SX−008」の発展型ではなく、従来の補聴器の欠点を
解消する製品です。音質や集音能力は「みみ太郎SX−007」には及ばないものの、難聴者にとっては従来
非常に困難であり、一番必要な聴くトレーニングをトレーニングなしで、すぐに音源の位置の把握だけではなく、
移動する音源の捕捉すら可能にしています。健聴者同様の立体的な聴こえを簡単に自分のものにすることが
できるということが最大の性能であると言えます。

立体的に音を聴くということは、音源の位置を把握する事であると思われがちですが、それだけではありません。
一方向の音源からの音を両方の耳で捉えられる、脳が2つの耳を通して一つの同じ音を把握する事も指して
います。

聴こえているはずだと誤解されている事ですが、難聴者はたとえ補聴器をしていても、一方向からの音を
二つの耳を通して脳に捉えることはできません。具体的に言うと、左右の耳に補聴器が入っていても左側を
音源とした音の場合、左耳から脳には伝わっているが、右耳から脳には左側の音源の音は到達していない
のがほとんど全ての難聴者に共通している問題です。これは補聴器に使用されているマイクの性能の死角の
問題でもありますが、脳の構造を考えた補聴器づくりをしていないことにも大きな原因があります。
「単耳聴SX−008」は片耳であっても脳自身が持つ聴く力を利用し、反対側の聴覚領域も刺激して、結果的に
擬似的に両耳から脳へ音が伝わる状態にするという画期的な性能を持っています。

ただ、片耳はどうしても耳を通らない「幻の音」を聴いている状態なので、音源の位置の確認はできても、
音源の移動の捕捉にまでは対応しきれてはいません。静止状態で音を静かな空間で片耳で立体的に捉え
られるという性能は特筆されるべきものですが、「みみ太郎SX−007」には及ばない面がどうしてもあります。

ここで「単耳聴SX−008」から「両耳聴立体集音機SX−008W(新製品)」になり、両耳から音が入ると
集音能力と音質はともあれ、「みみ太郎SX−007」を凌駕するある性能が実現されることとなっています。
「みみ太郎SX−007」は集音能力と音質、更には脳のトレーニング能力といった優れた性能があるが、
立体的に音源の移動を捕捉するためにはトレーニングが必要であり、かなり集中して音の移動を読み取り
かつ意識をしなくてはなりません。健聴者にとってはなんでもないことですが、難聴者に最も欠ける能力が、
この音の移動を意識して感じ、捕捉することです。

「新製品」はこの音の移動を意識しないで、そのまま脳に伝えてくれるという信じがたい性能が実現されて
いるのです。無意識のまま音源の移動がスムーズにダイレクトに捕捉が可能となっています。

通常の室内空間などでの音質は、「みみ太郎SX−007」はともかくとして他の補聴器と比較して「単耳聴
SX−008」も「新製品」も遜色はなく、マイクとイヤーホンの電気的な性能は高品質です。

「新製品」のすばらしい所は、「みみ太郎SX−007」の場合と異なり、意識しないで音源の移動と音源探知が
容易であることです。

具体例を示すと、バスや特急電車などの放送されているスピーカーの位置を探るのに「みみ太郎SX−007」
の場合は意識して位置を探し求める必要があるが、「新製品」の場合は音がした瞬間にスピーカーの位置が
捉えられるのである。また、音源が移動しているのかそうではないのか目隠しして感知する実験をした時、
「みみ太郎SX−007」の場合は識別に時間を要し、移動する方向の探知にもかなり時間がかかります。
これは意識する必要があるからですが、「新製品」の場合は、最初から動く音源は動きを伴って聴こえて
くる上に、移動方向をいちいち意識して感知することなく、右から左に流れているとか、後方10メートルから
5メートルまで多少左右にぶれながら移動してくるということまで実感的に分かるところに「みみ太郎SX−007」
では考えられなかった性能が実現されています。

青森から八戸行き特急つがるの車内販売の売り子の移動しながらの声を「みみ太郎SX−007」と「新製品」
と「インビザKプロ」の三つの性能を比較実験する機会を得ました。

「インビザKプロ」の場合、声としては明瞭に聴こえるのであるが、相当接近しないと移動していることはわからず、
聴くトレーニングの出来ていない難聴者の場合は、声は認識できても、あとどのくらいで自分の所に車内販売
ワゴンが到着するということを推し量る事は不可能です。知るためには目を使用して確認しないと分かりません。

「みみ太郎SX−007」の場合は、声は当然に認識できて、移動している事も分かりますが、意識を集中する
必要があるために、車内販売ワゴン車が自分のそばまで移動する時間は推し量れるものの、実感的に分かる
わけではなく、やはりまだ目での確認が必要と感じる場合が若干あります。

「新製品」の場合は声が入った瞬間に移動してくる位置が意識することなく刻一刻分かり、車内販売ワゴン車の
自分のそばまでの移動がリアルタイムで把握でき、自分のそばにきた売り子にタイミングよく声をかけるという
芸当が目で確認しなくてもできるところに本製品の一歩進んだ性能のすばらしさがあると言えます。

「新製品」は「単耳聴SX−008」の限定的な立体感と異なり、非常に立体的に全周囲的に音を捉える事が
可能となっています。音のこもりが少なく、デジベル的には低いが透明感のある聞きやすい音質になっています。
「みみ太郎SX−007」の音域の広さと集音範囲にはかなわないが、より聞き疲れのしにくい音になっています。

 集音範囲 (試聴者の主観的なもの)
   SX−007   半径2キロメートル 
   SX−008   正面が100メートル 平均半径30メートルから50メートル
  「新製品」     半径100メートル


音楽による聴取試験ではラベルの「ボレロ」の周波数の確定的な聞き取りでは「みみ太郎SX−007」と遜色は
ないと言えます。騒音の中では少し聴き取り辛い面があるものの、指向性が良い面もあるので音自体は把握
しやすいと言えます。現実的に明瞭性が失われている音でも気になる音は意識的に捉えやすい。音質の情緒感
については「みみ太郎SX−007」にはかなわないが、音の重厚さを軽減しながらも明瞭感と清涼感がでている
ことも売りと言えます。屋外の使用に於いては音源の位置と移動が直接的に捕捉できるので危険防止に特段の
効果があると考えられます。

脳の聴く力を増幅させる作用が、みみ太郎SX−007よりも瞬発力で2〜3倍高く、聴こえ出すのにかかる
待機時間が脳の活性化作用が強い分、速くなっていると考えられます。

敢えて欠点を言うとイヤホンの形状と材質をいま少し検討する必要があるということでしょう。
 機械的な性能については申し分ないと評価できます。 


追記
 補足として従来から気になっていた青函トンネル内部における音響効果の測定を「みみ太郎SX−007」を
用いておこなった結果を参考資料としてここに付記します。

青函トンネル内の音には特殊性があることは青函トンネル開通時から北斗星などの長距離列車を利用していて
気付いていました。青函トンネルの周囲の地上部には普通のトンネルが約20本あり、ここの音は普通のトンネル
と同じ「ガァーッ」という、やかまし気味の音です。

青函トンネルはトンネルの構造としてはトンネル掘削技術の最高峰であることもあり、本坑に作業坑さらに
先進導坑のメインのトンネル三本が並列して津軽海峡を貫通している。更にこの三つを縦横につなぐ無数の
連絡通路で結ばれてもいる。そのために、通常の一本のパイプのようなトンネルとは異なり、音の反響が
非常に特殊で、残るような残らないような不思議な音がする場所です。「シュコー」という進行方向に追いかける
音と「コオー」という軌道の面からの反射音に複雑なトンネル内で減振しながらもリズムが整えられる整調現象
というのか、音が優しくなります。

「みみ太郎SX−007」で聴いていると音が、水が大地に吸い込まれて深く広がっていくのと同じような広がりを
実感でき、さざなみのように規則正しく反響と残響として打ち返すようなリズムがよく分かります。視覚的に表現
すると蟻の巣を観察するための狭いガラスの観察箱に砂を入れて水を一適たらすと水が地中にじわじわと広がり
ながら染み込んでいくのと同じ状況を音で実感できる場所が青函トンネルであると言えます。

青函トンネルの音響の特殊性は、通常であればわかる音の切れ目、いわゆるしっぽが掴み辛い場所でもあり
ます。これは電車で移動しながら音を聴いているせいもあるのかもしれませんが、「みみ太郎SX−007」を
通すと音の世界の情緒的な広がりが豊かであることを一段と証明するものであることを記し、報告の結びと
させていただきます。

                                               <2006年 11月20日>



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