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補聴器販売店全国調査 調査参加者の方々へ 今般、奥平さんより全国の補聴器販売店の実態を調査したレポートを寄稿して頂きました。 この調査には奥平さんと仲間16人の方々が60日かけ、全国11の主要都市で計346の補聴器販売店を訪問し、 客観的な基準で審査した“足で書いた”得難い補聴器販売店の実態を伝える内容も含まれています。 (この他に、収集した情報に基づき調査した214店を含め合計560店が調査の対象となっています。) このレポートは『補聴器愛用会』のみならず、“補聴器を使わざるを得ないにもかかわらず、これに泣かされてきた 全国の補聴器愛用者(含予備軍)”にとっての至宝といえます。 この場をお借りし、補聴器愛用者(含予備軍)を代表して奥平さん、実地調査をして頂いた仲間16名の方々、また 情報収集や審査基準作り等の縁の下の力持ちとなって下さった27名の方々、更にはご意見、コメントをお寄せ 頂いた219名の皆々様に深い感謝と心よりの御礼を申し上げます。 『補聴器愛用会』 松谷明人 【 「お知らせ」の21番でご紹介しています。 】 補聴器販売店全国調査レポート 平成14年11月18日 作成者:奧平知明 補聴器販売店の実態を知るには時間を掛け、足で調査する以外に無く、今回「いい店発掘したいキャラバン」と 名付け、この趣旨に賛同する多くの方々の協力を得、補聴器販売店の訪問調査と収集した情報に基づく聞き取り 調査を行いました。以下、その報告です。 調査の目的 補聴器を必要とする者の目線で接し、その立場で相談にのり、その損なった聞こえを蘇らすに相応しい情報、知識 及び経験に裏打ちされたカウンセリングと補聴器の選定、並びに相応しい能力と技術に基づく調整が行われ、 補聴器を必要とする者と共に聴こえの素晴らしさを分かち合ってくれるスタッフのいる販売店の発掘と販売実態の 調査をする事です。 実施内容 A.実施調査 所定の調査項目に従い販売店を訪問すると同時に必要があればメールで情報を収集し、これらに基づき 総合的に審査する。 B.聴き取り調査 メールを利用しかって販売店で補聴器の相談や購入をした事のある方々にその販売店についての情報を お寄せ頂き、該当する場合はインターネットで情報を収集し、これらに基づき審査する。 (下記にある33の調査項目は適用せず。) 調査実施時期 平成14年9月20日〜平成14年11月15日 調査の対象店舗 我々の調査で販売店の所在を確認したものが882店あり、電話帳等への広告掲出店や家電販売店及び通販 業者を含めると約1、400の販売店が存在すると推測されます。 これらの中で、今回調査した補聴器販売店数と内訳は下記の通りです。 実地調査店舗 346店 聴き取り調査店舗 214店
2.スタッフの接客マナー、カウンセリング態度、経験、能力について 【4点】 3.スタッフの保有する情報、知識及び説明能力及び補聴器の選定について 【3点】 4.試聴、補聴器取扱い及び調整の技術力について
【3点】 5.アフターケアについて
【2点】 6.調査員の自由裁量の持ち点
【4点】 次の二つのシナリオを準備し、これを各自が好みと状況に応じ脚色し、調査項目に従い、可能な限り客観的に、 厳しく調査しました。尚、実施に際しては一部偽名を用いたケースもあった事を記しておきます。 ☆使用中の補聴器ではなく、使っていない古い補聴器を装用し、 「買い替えを考えていますが、今どんな補聴器がありますか。」 ☆補聴器をはずして入店し、 「補聴器を使った事は無いが、使ってみたいので相談にのって欲しい。」 配点と採点 (1)配点と採点 上記全調査項目で合計100点満点となるように配点し、そこから裁量減点と固定減点を加味する方式と しました。 ・項目の2、3、4番は裁量減点扱いとし、各4点と3点の最高点から項目別に優、良、可、不可と細かく審査し、 点数付けが出来ない或いは、該当しない場合は不可扱いで0点 ・項目1と5番は固定減点方式で審査 ・項目6は調査員の考えや判断により審査 (2)合格基準 次の基準で80点以上を合格としました。 A 100点 全ての面に優れ、補聴器の調整も完全に出来る a 90点 僅かに不安は残るものの総合的に優秀と認められる B 80点 優良店として合格点が付けられる b 75点 多少不満な点があるものの補聴器の調整はかなり出来る C 70点 販売店として可も無く不可も無し c 65点 調整を必要とする補聴器の販売は認められる D 60点 調整が必要な補聴器の販売は認め難い d 55点 補聴器の取扱い及び販売の見習のレベル これ以下 補聴器の取扱い及び販売は認め難い 調査結果 346店の審査は次の結果となりました。 合格店は22店 (合格率 6.4%) 不合格店は324店 (不合格率93.6%) ・合格基準の80点を超えそうな販売店は合格店の22店を除く324店中、29店ありましたが、接客マナー、 試聴が出来ない、或いは調整技術が未熟であったり等で、これらの店は全て不合格となりました。 ・調査対象店の選び方を間違えたのかと不安になり、念のため324店の内容を吟味したところ、以下の結果 となりました。 −メガネや時計販売との兼業店 196店 (60%) −補聴器専門店 128店 (40%) ・補聴器専門店の128店を更に詳しく調べてみると、純然たる補聴器販売の専業店は324店中の僅か 26%のみでした。 −補聴器販売の専業店 85店 (26%) −デパート売り場内店舗 43店 (13%) ・上記にある補聴器販売専業店85店を審査したところ、さすがに専業店だけあって、品揃えは豊富で、十分な 知識もあり、聴力検査機器を備えていました。(但し、検査機器の無い店が3店あり) ・同時に、当初の審査基準での結果が余りにも低い為、審査基準を少し緩和し、全324店を審査し直しましたが、 結果に変わりはありませんでした。具体的には20点から30点で低迷する店舗が実に 90%にも上りました。 ・当初は、審査結果を公表する予定でしたが、この結果では公表する意味もなく、現段階では個別の調査結果 の発表は致しません。 しかし、世の中劣悪でお粗末な販売店ばかりではありません。嬉しいお知らせもあります。今回の「発掘キャラバン」 の審査基準など手ぬるく、甘すぎるとばかりに、合格点を超える店が22店ありました。『補聴器愛用会』のホーム ページに掲載されている15店(但し、何店かは合格点すれすれ)とその他7店です。 これら7店の内の3店は「このお店を“有名店”にしたくないというユーザーの希望」と、残り4店は「今までの店の お客様を大切にしたく、又多くのお客様に対応するだけの余裕がない」とのお店の御要望で公表は致しません。 これら7店に共通する事は、皆こじんまりとしていますが、ユーザーに対しとても親切であり、補聴器に対する 知識と思い入れが深く、技術も確かです。老舗の喫茶店といった雰囲気のお店で、公にされ、殺到するユーザー に“荒らされたくない”というのもうなずける素晴らしいお店です。 これら22の合格店の中でも極めつけは日本全国で2店のみ! 一つは大阪市、他は札幌市にあります。 大阪のお店(注1)はまさに老舗の貫禄ですし、札幌のお店(注2)は「心と技術でお世話致します」とは泣かせます。 これらのお店では、「今回の審査内容や基準はみんな常識レベルじゃないですか。もっと厳しい批判にも耐えて、 更に補聴器を使用される皆様の為に努力します」との頼もしい言葉が聞かれ、ミシェランなら三ツ星を超え優に 五ツ星、金融機関評価ならAAAといえます。 (注1:その後の追跡調査で、経営者、スタッフの交代、経営方針の変更かにより、現在は実地調査当時の 評価を与えられる状況ではない事をお知らせします。 『補聴器愛用会』平成15年6月21日) (注2:その後の追跡調査で、スタッフの交代により、現在は実地調査当時の評価を与えられる状況では ない事をお知らせします。 『補聴器愛用会』平成19年11月) しかし、346店も調査したものの無条件で推薦できる販売店が日本全国にたったの2店しかなかったとは悲しい 限りですね。残りの20店は、この2店に続くものが5店、更にその後に15店という結果になりました。審査基準 を甘くすれば、合格点には至らないものの、何とか使用に耐える調整が出来るという店はそれでも70店あるか なしかという結果になりました。 また、補聴器販売店としての審査結果は別として、スタッフ個人の資質で判定すれば、カウンセリングや調整 能力に秀でている方々は21店で活躍されている23名のみという結果になりました。 今回の審査内容は補聴器販売店のあるべき姿から言えば最低80点は取れて当然なのですが、それには遥かに 及ばない語るに値しない店々が全国に氾濫しており、メーカーへは自社商品取扱い販売店への適切で十分な 研修と指導と販売店の方々へは猛省と一層の切磋琢磨を促したいと思います。 審査結果で目立ったものを列挙すると次のようになります。 ・申し訳程度のポスターやカタログと単に補聴器をショーケースに陳列しているだけという販売店が56店ある。 ・店内を暗くし、高級感を出そうとしているのかショーケースを目立たせている店があったが、只でさえ緊張 して入店するお客様はリラックスも出来ない。 ・特にテナントとしてデパート等に入居している店はお客様へのプライバシーに対する配慮が全く無い。 (ボックス席かコーナーを設けるべき) ・検査室が無く、ショーケースの所で聴力検査をする店がある。 ・聴力測定機器を持たない販売店が半分近くある。 ・最も基本的な明るいあいさつが出来ず、お客様に安心感を与えられるスタッフが少なく、逆に妙に馴れ馴れ しい者も少なからずいる。 ・カタログを読み合わせしているような説明(?)しか出来ないスタッフもおり、例えば、アナログ補聴器とデジ タル補聴器の違いを自分の言葉で分り易く説明出来る者はそんなに多くない。 ・お客様の聴力と希望や要望にあった補聴器を店の儲け主義に走らず適切に薦めているスタッフは殆ど見か けない。 ・予算を先に聞き出し、こちらの懐具合で態度が変わる。予算的に安いものが希望と言うと、「何だ貧乏人」と いう態度を示し、高めに言うと「もっと高いもの売りつけよう」という態度が見え見え。 ・中には、さりげなく聴力や生活環境を聞取り、きちんとメモし、適切にアドバイスをしてくれるスタッフもいる。 ・経験と能力はスタッフ本人の自覚と学習意欲次第なので年齢や経験年数はあまり関係なく、長年やって いても知識や能力がなかったり、若くても知識やマナーの立派なスタッフはいた。 ・知識、経験が豊富で説明能力のある人は、幾つかの会社の補聴器の特徴をA社のものは固い感じの音 だが、使い勝手は良く、B社のは柔らかい感じの音で音楽を聞くにはお薦めできます等と具体的に、又各 補聴器メーカーのホームページを活用しつつ独自のプレゼンテーションを行っているスタッフもいた。 要注意 今回の調査で、憤慨ものの接客マナー店や悪徳商法まがい店が目に付き、調査員の中からはこれらの店舗 名を公表すべきとの強い声もありましたが、現段階での公表は差し控えますが、今後、同様の問題が発生し、 客観的な裏付けが得られれば『補聴器愛用会』とも話し合い、“補聴器ユーザーに害をなす販売店”として、 今回の調査結果も含めた情報の公開も検討したいと思います。 今回、「補聴器の無料試聴」をうたいながら売りつけようとした悪徳販売店は札幌市、名古屋市と大阪市に あった事のみを記しておきます。皆さん、ご注意下さい。 調査員の感想、コメント 調査員の皆さんの行きつけの店は『補聴器愛用会』で紹介されていたり、自分の足で見つけた合格点の販売店を 利用されていますが、ご多分に漏れず過去には劣悪な店で苦労された経験をお持ちです。 <調査を終えた第一声> □「スタッフの知識の無さと、お客様をなめ切った販売態度には強い怒りとこっけいさを感じ、怒る気力もない。」 □「ここまで補聴器の販売が軽んじられているとは思わなかった。」 □「本当に多くの方々が聞えと補聴器のことで困り、途方にくれ、怒り心頭に発している事が嫌と言うほど 良〜く分りました。」 □「世の中にはいろんな業種の販売店があるが、法的に医療品と位置付けられ、難聴者にとっては心臓の ペースメーカーにも匹敵し、人生も生活も掛けている補聴器が電池や蛍光灯と同じように商われ、補聴器と 装用者の介添え役であるべきスタッフの態度、心構え、知識、技術がこんなにもお粗末極まりないとは信じ 難い。」 □「低レベルの店ばかりがそこここにゴロゴロあるとは憤りを通り越し、情けなさを通り越し、開いた口がふさ がらない。」 □「技術力と知識が無いのは学習と努力でなんとかなる、しかし、販売マナー、態度とお客様への気配りが 出来ないというのは商売する資格なし」。 <販売店について> □一般的にオーダーメイドタイプ(誂え品)の補聴器はレディメイドタイプ(既製品)より高価格ですが、ある調査 員は、「こちらはオーダーメイドでお高くなりますが良い物なので是非どうですか」、とレディメイドタイプの補聴 器を薦められ唖然! 用件を済ませ、「そんなもの、いらん」と、憤然と店外へ。(この店には耳型を取る技術も 用具もなし) □店内に聴力検査室も無く、ショーケースの前でオージオオメーターを使って聴力検査をしている店。どうして 正確に検査ができるの、、、、? この検査結果で補聴器を調整するの!? □ボリュームをただ上下させ、音量調整する事を補聴器の調整と考えている店が結構多く、「俺は調整技術が あるとばかりにふんぞりかえり、またこれを客がありがたがっている」光景に何度か出っくわしびっくり。本人 の番になり、話しっぷりからお客に相当の知識があると分ると、相手は自分の勉強不足と技術のなさを反省 するどころか、逃げるか、おもねるか、無視するか、はなはだしきは「お客様のような方にお売りする補聴器 はございませんのでお引取り下さい」とまで言われた調査員もいて、「怒る気力も失せて、苦笑いしか出な かった」とのメモあり。 でも、これらはまだまだ可愛いいもの、 □ある店ではショーケースから、耳かけ型補聴器を5、6台鷲掴みに取り出し、装着させ「どれが一番聞えが いいですか。」、 「一番聞こえの良いものがいいですよ。お安くしますよ、如何です!」 <販売店でオフレコインタビュー> □「補聴器購入者は何にも知らないからいいカモとしかみていない」とはっきり断言するA店。 □「本当は安い補聴器で間に合う人にも高いものをすすめて買わせています」とはB店。 □「補聴器の調整というのはボリュームを合わせれば良いんだよ」とのたまうのはC店 □「沢山の補聴器販売店はあるが、皆さん補聴器は“金のなる木”ぐらいにしか考えていないんじゃないの。 だって、客は何も知らないし、売りつければいいんだからこんな楽な、ぼろい商売はないね」とはD店 <補聴器を求める人、使っている人について> 販売店云々ばかり言ってはおられない。我々自身ももっともっと勉強する必要がありますねぇ、というのも 今回の調査から分かった事。 □自分の聞えの状態を表す表現力が極端に弱いか殆ど無い。 □補聴器はメガネのように使用すれば直ぐ聞えるようになるものではないという事が理解出来ていない。 □補聴器のボリュームを上げれば音は聞えるものと多くの人が誤解している。(販売店にもこの誤解が多い。) □ボリュームを上げ過ぎるとかえって音割れがしてまともに音が聞えない事が理解出来ていない。 □良く使われる専門用語や必要な言葉が分らず、又適切に使えず相互の理解の妨げとなっている。 (販売店側にも同じ問題あり) □補聴器装用でどの程度まで聞こえるようになるかその程度の理解が無く、余りにも欲張りすぎて器械の 能力以上のものを求めているケースがあった。(健聴者間ですら聞えないレベルを求めていたケースや、 耳で“聞く”部分に問題は無く、脳が“聴こえる”状態になっていない事への理解がない。) □上記との関連で、補聴器としての “聞え”の水準は満たしているにもかかわらず、まだ聞えないと思い込ん でいる人がかなりいる。 □「補聴器の知識や理解はユーザーが持つべき最低の“武器”で、この“武器”を持たない限り、良い補聴器 は選べず、又悪徳販売店から我が身を守る事も出来ない事を知るべき」 □「家電品やパソコンや車であれば、各社の製品の性能や各メーカーのサービスもじっくり研究し、情報、知識 を持っているからこそ販売店で店員に突っ込み、切り返し、買い手ペースで話しを進め価格交渉も、より良い アフターケアーも受けられが、いつになれば補聴器もこのようになるか、、、、?」 結論は、 □「我々は補聴器購入に当って医師から必要な事も教えられず、聞えについてのカウンセリングも無く、情報、 知識を持たずに補聴器販売店に入るしかなく、良い補聴器販売店に巡り会えるかどうかは本当に宝くじを 当てるようなものね。だから、我々の情報、知識不足を逆手に取り金儲けの為に補聴器を売っている販売店 の餌食となり、耳に合わない補聴器や不要な物まで売りつけられ、又懲りもせずより良い聞えを求めて補聴 器から補聴器、販売店から販売店へ渡り歩く“補聴器渡り鳥”になってしまうんですねぇ、、、。」 こぼれ話 その1 補聴器オタクとも云うべき、めったやたらと補聴器に詳しい(詳しすぎる)スタッフもおり、能書きに継ぐ能書きを 聞かされ「辟易した」なんて話もありましたね。「こういうのに限って調整の腕はまるでダメで笑えないが、全く 知識がなかったり、商品を押し付けないだけマシでそれなりに楽しかったと」いう感想もありました。 この手合いのスタッフは結構いるらしいですね。私(奧平)も帯広駅前の補聴器店でこのタイプの女性スタッフ に遭遇。さすがにウンチクを聞いてもうクタクタ。メンテナンスの腕は確かな人でしたね。只、調整技術は分らず じまい。 その2 皆さんあちこちで試聴されましたが、こんなことがありました。 1,2週間の約束で試聴用補聴器を使用し始めた途端、何と3日目には早々と買い上げるよう強制する悪質な 店がありました。結果は、弁護士さんに間に入ってもらい納まりました。と、いうよりは、実は売りつけられたこの 調査員ご自身が弁護士さんで、このとんでもない販売店はそうとは知らずに悪徳商法に及んだ訳です。 その3 「2週間の補聴器の試聴! 購入はお試し後」の新聞広告のうたい文句に惹かれ、貸し出しを受け(貸し出し 伝票あり)、8日目に補聴器自体が良くなく、自分に合わないので返しに行くと「1週間以上も使用したのだから 買い取れ」と強要された為、トイレに行くふりをして消費者センターの知人に助けを求めてその場はおさまった ものの、念の為に弁護士に確約を取ってもらったという事もありました。 その4 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ “一店でも多く推薦できる店を!”と意気込んで始めたものの、「よい店発掘したいキャラバン」の結果はどちらかと 言えば「空振りの三振」。期待が大きかっただけに、マウンド上で膝をがっくり折り、うなだれているピッチャーと 言ったところ。 でも、気を取り直し、これからも推薦出来る補聴器販売店と補聴器の“発掘作業”を続けるぞ! 少しでも皆さんの お役に立ちたいというのが本心。 最後に、今回の「いい店発掘したいキャラバン」の調査実施にご協力頂いた16名の皆様や補聴器販売店選びの 基準作りにご意見を頂いた27名の方々、更に貴重なご意見や情報をお寄せ頂いた219名の皆様にも感謝と お礼を申し上げ、“奥平レポート”を締めくくらせて頂きます。皆様、本当にありがとうございました。 又、このレポートをお読み頂きました皆様、ありがとうございました。 奥平レポート後日談 ■後日談その1. レポート掲載直後、奥平実地調査隊長、参加者より集中砲火を浴びダウン A氏 「もっと過激な内容でもよかったのでは。販売店のお粗末さはあんなものじゃなかったはず!」、 ずしりとボディーブローは長老格のお父さん。 B子 「もう少し販売店の接客マナー悪いってこと強調して欲しかったなぁ。」 奥平 「でも、一番大切なことは調整能力があるか無いかということでしょう。」 B子 「それはクリアして当然でしょう。あたしが許せないのは未成年者だと思って馬鹿にした態度なのよっ!」 とご立腹パンチの連打は最年少の女学生嬢。 『補聴器愛用会』より隊長弁護の一言 レポート中には参加者皆さんの深い怒りを込めた語調、表現も散見されましたが、当会で一部表現を変更 させて頂きました。目と耳と足で作成した報告内容は感情的な言葉など借りずとも皆さんの真意と看過できない 現状を読み手に伝える十分な力強さを持ち、けばけばしい言葉はかえってこのレポートの価値を損なうのでは、 と考えた結果でした。(B子さん、ごめんなさい。) ■後日談その2. “視聴率” 本レポート掲載後、ホームページの“視聴率”が急上昇。テレビ局なら文句無く金一封もの。1日10〜15名程度 の訪問者だったものが、掲載1週間後には1日400名強。カウンターが壊れるのではないかと心配。その後も 従来の2倍から3倍の訪問者。この情報の価値を示すもの。 ■後日談その3. 耳障りなこと、気になること 「自社製品を売らんがために」、又「お客説得材料」に奥平レポートと『補聴器愛用会』を悪用する姑息な手段を とるメーカーと販売店が最近見受けられるようになりました。 現在、当会は如何なるメーカー、販売店にも内容掲載、利用に関し許可を与えていませんが、実態を調べてみると 土台の無いところに家は建たないと同様、所詮は付け焼刃。二流、三流メーカーと実地調査での評価の低い店に 顕著に見受けられるようです。 相手より脈絡も無く、無暗に、安易に奥平レポートや『補聴器愛用会』の名を出すメーカー、販売店や店員は、 その事自体を相手を測る目安として活用すればよいでしょう。 以下、幾つかの事例。 ○出所を明らかにせず、奥平レポート内容をあたかも自社の研究であるかのように装い、販売促進マニュアルを 作成しているメーカー。 ○お客様に必要な情報や知識を提供し、納得してもらうという姿勢はなく、只、自社製品を売りつける為の手段 として「『補聴器愛用会』でも言っている通り、、」等と利用し、販売促進を指導しているメーカー。 ○販売店が『補聴器愛用会』ホームページの内容を読み合わせ的に利用しているケース。されど悲しきかな、 内容が理解出来ていない為、かえってお客様の信用をなくしているとの報告あり。 ○「全国実地調査で評価の低かった店に改めて現状調査に行くと、何だかどこかで聞いたようなセリフでの 応対、、、しかし、所詮上滑りの説明」とは実地調査関係者が苦笑ながらに語る最近の一コマ。 調査のフォローと良い販売店を求め、調査隊は深く、静かに今日も行く。 ○「『補聴器愛用会』のホームページを見て来店するユーザーというのは真剣さと切実さが違います。 生半可な付け焼刃の対応をする販売店はよけいユーザーから見放されますから」とは、心ある補聴器店 店主のコメント。 ■後日談その4. 「奥平さん、悪徳商法の実態知りたし」、とその場面の再現を依頼したところ、、、 とある大都市。何故か電車通りに好ましからぬ噂の販売店、3店あり。その内の1店での出来事。 奥平(古い耳掛タイプの補聴器を装用)「今、いい補聴器はありますか?」 店員(聴力測定後)「高音域が悪くて、低音域がまあ普通ですね。」(となかなか丁寧な説明) 「今、デジタル補聴器ではこちらのタイプがいいと思いますよ。」 奥平「デジタルって高いんでしょう。アナログの良い物はないですか?」 店員「いや、お客様の聴力ではデジタル補聴器でないと無理なんですよ。」(高い補聴器を買わせようと誘導 始まる。) 奥平「どうしてアナログでは駄目で、デジタルならいいの?デジタルとアナログってどう違うの? 店員(狼狽の色あり。どこかで聞いたような説明)「アナログですとお客様の耳に合う補聴器は無理ですので、 より細かな調整ができるデジタルがお薦めですし、お値段的にもオーダーメイドのものよりはこちらの物が お得ですよ。」 奥平(オーダーメイドをやる技術が無いことが明らかでこれ以上は気の毒と思い、“レディメイドデジタル補聴器” の説明、調整を受ける。) 店員「よかったら二週間無料で貸し出ししますよ。」 奥平(貸し出し伝票に署名し、借りる。補聴器、調整共お粗末で駄目と判断。一週間程して返却、前回の店員の 姿は見えず。) 店長「お客様、一週間以上お貸ししましたのでお買い上げということでよろしいでしょうか」 奥平「二週間貸し出し無料ということで貸し出し伝票もありますが、、、、。」 店長「お客様、大変申し訳ありませんがこちらの補聴器はオーダーメイドでして、メーカーとの契約の関係も ありまして一週間以上経ちますと返品できないんですよ。」 奥平「この補聴器はオーダーメイドではなくてレディメイドでしょう。オーダーメイドというのは耳穴の型を採り、 機械を組み込んだもの。これは耳穴式の既製品でしょう!どこがオーダーメイド?貸し出してくれた店員も レディメイドということで説明してくれましたよ。」 店長「いや、レディメイドとは申しましてもお客様の聴力に合わせるという事がオーダーなんですよ!」 奥平(詭弁を弄する悪しき代官に俄然水戸黄門が乗移ったように変身!) 「聴力にあわせる調整というのは無料でしょう。オーダーというのは耳型をとったもののことで、調整しただけで オーダーなら耳掛け式でも調整してもらえば即買い上げしなければいけないと いうことなの?」 店長(答に窮し、今度は泣き落し)「とにかく一週間以上貸し出しした物は返品もできませんので。」 奥平(黄門様はここで更に突っ込みを入れる。)「なぜ、それならば一週間と最初から言わないの。 それにオーダーでもないのに返品できないというのは納得できない。メーカーに返品できないというなら 私がそのメーカーに話しましょう。電話番号教えてくれませんか。」 店長「そんなことは出来ません。」 奥平(店長の前で、携帯に登録してあるそのメーカーの技術部に電話を入れる。) 「もしもし、私、奥平と申しますが、技術部の○○さんいますか。」 店長(店長の顔色がさーっと変わり、狼狽し出す。) 奥平(嫌味を込め)「おたくの□□というデジタル補聴器ってオーダーメイドなの?それと、補聴器を調整するだけで オーダーメイド扱いになるの?オーダーメイドって補聴器を調整する事なの?」 メーカー技術者「その製品は正真正銘うちのアナログのレディメイドの既製品ですよ。でも何ですかそれ、調整が オーダーメイドどうのこうのって、どういうこと?奥平さんともあろう人が昼間から何を寝言を!」 奥平(事の始終を説明) メーカー技術者「それ、うちで話つけるわ、そんな無茶な話はない。今、部長からその店へ電話入れ るわ。」 奥平「お聞きの通りだけれど、返品できないなんてことはないとメーカーは言ってるが、これは一体どういうこと。」 (と、その時、電話) 店長(メーカー営業部長よりさんざん叱責され、平身低頭。電話後、こわばった表情で、、、、) 「補聴器の方は引き取らせて頂きます、この件は私の独断ということで、どうか御内聞にお願い致します。」 奥平(何も知らないお客にかなり悪質な販売しているとの悪名高い店ゆえ、最後に一言。) 「不必要に高い補聴器を売りつけるのも感心しないね。とにかく今後はまず調整の腕をしっかり磨いて 欲しいね。技術と心があれば嫌でもお客は来るんだから。こんな事をしているとお宅の店だけじゃなく、 補聴器販売店全体の信用を落し、同業者も大迷惑じゃないの!」 奥平(不快な気持ちで戻り、今少しこの店の行状を洗ってみると、やはり出てくる、出てくる、、。) ・今回の押し付け販売は序の口 ・お客は何も知らないと高をくくり、アナログ補聴器を平気でデジタル補聴器と偽り暴利を貪る。 <上記やり取りの中で相手の言う“レディメイドデジタル補聴器”がこれ。デジタル補聴器にレディメイド タイプはない。> ・売れ残りのアナログ補聴器までデジタル補聴器と称して高く売りつける。 ハイ、毎度ながらのお粗末な一席ですが、貴重な教訓も得られます。 ★良いメーカー、良い製品、良い店を選べば、良くないメーカー、良くない製品、良くない店から開放されます。 ★学び、知り、賢い消費者になりましょう。 メーカー、製品、店を選ぶのはお客様です。 |