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補聴器の使い始め




初めての補聴器との出会い お互い相手を知らぬ彼と彼女の出会いのようです。
相手に惹かれるもののあなたは補聴器を知らず、補聴器はあなたの聞こえを知らず。

この状態で、補聴器があなたの耳に入り、聞き慣れぬ音を出す訳ですから、まぁ、色々あって当然でしょう。
驚き、困惑、煩わしさ、不安、緊張、期待等々。

でも、心配ご無用。慣れるに従い多くの不具合や問題は何処へやら。デートの度に相手に愛しさを覚える
ように、、、。


■初めて補聴器を使う時のポイント
<ここでは「調整型補聴器」、「調整不要型補聴器」の区別はしていません。>

『補聴器愛用会』の相談役であるDr.Beckが補聴器を使い始める時の要領を分かりやすく語ってくれます。


人が物事に慣れるには、人それぞれのペースがあり、そのペースは異なります。補聴器も同様で、慣れるのに
一日も掛からない人もいれば、何倍もの時間が必要な人もいます。又、補聴器での聞こえについても数日で
慣れる人もいれば、数週間から数ヶ月要する人も沢山います。これでお分かりのように、誰にでも当てはまる
補聴器に慣れる方法というものはありませんが、私は次のように皆さんに薦めています。

補聴器を買った最初の日には数時間使用し、翌日にはもう一時間長く使うようにし、その翌日には更にもう
一時間延ばす、という事を繰り返し、慣れるようにします。長時間使用記録樹立などを目指さず、少しづつ、
毎日使っていれば補聴器に慣れ、やがては朝起きて夜寝る迄快適に、自然に使用出来るようになります。

補聴器の使い方ですが、最初の数日は家庭内の静かな場所で家族や親しい友人と一対一で真正面に向き
合い、はっきりと、ゆっくりと話してもらうようにします。一つ注意すべき事ですが、「聞こえ具合を試してみるか」、
といきなり騒々しい場所で補聴器を使用するような事は止めて下さい。使い始めの最初の数週間は決して
パーティやレストラン等の騒々しい場所では使わない事です。これらの場所で使い始めるのは、補聴器や
その聞こえに十二分に慣れた後の事です。

次に、補聴器やそれを通し得られる聞こえに慣れる為のポイントを列挙してみましょう。

◇はやる心を抑え、使い始めは、先ず、自宅で使用するようにしましょう。(いきなり、学校、職場や屋外等や
  大人数の中で使い始めるのは禁物です。)

◇補聴器を装用し、「音がうるさい」や「頭が痛い」等の違和感や圧迫感を覚えれば無理をせずに取り外す
  ようにしましょう。(使用後、違和感がなければ使い続けましょう。)

◇人との会話は、最初は、複数の人とではなく最も親しい人(配偶者、兄弟、友人等)と一対一で話し、慣れる
  ようにします。

◇人と話す時に、相手の話す言葉を一言一句聞き漏らすまい等と大袈裟に、堅苦しく考えず、聞えて来る声を
  聞くという軽い気持ちで聞くようにしましょう。普通の聞こえの人でも言葉を塊として捉えており、言葉全てを
  一つ一つ聞いてはいません。

◇補聴器を使用すると周りの色々な環境音が耳に入りますが、これには煩わされず、気にしない事です。
  やがて慣れます。

◇聞えて来る音(テレビ、時計、冷蔵庫のモーター音等)があれば、その音はどの方向から聞こえて来るかを
  目を使わず、耳で聞く練習をします。

◇使い始めは音量的には小さな音で使い始め、器具になれる必要がありますが、慣れた後は少しづつ大きな
  音にも慣れるようにします。

◇少し慣れてくれば何人かの人と話し、声の聞き比べをし、違いが分かるようにする練習をします。

◇相手に少し大きめの声で何か読んでもらったり、少し大きめの音でテレビやラジオの人の話し声を聞く練習を
  します。

◇話す相手の数を少しづつ増やし、3人、4人で一緒に話し、聞く練習をしましょう。

◇少しづつ、色んな条件の下で、又異なる環境の中で使うようにし、補聴器を使いこなすようにしましょう。

最後に、覚えておいて頂きたい事は、人の話しを聞く場合には耳のみならず、目も同時に働かせ、目で相手の
身振り、手振り、表情の変化、仕草、口の動き等を読み取り、そして、言葉は一言一言を追うのではなくキーワード
や話題、話しの前後関係から内容を推し量り、全体的に意味や内容を掴むようにします。

そして、聞くもの、見るもの全てを話のヒントと判断材料にすればコミュニケーション能力が一層高められます。
是非、耳と目で話しを聞くようにして下さい。
(Hearing, Hearing Loss and Hearing Aids: Issues and Answers by Dr. Douglas L. Beck)


博士が述べている点以外にも次のような留意点が挙げられます。

◇補聴器を信頼し、より良い聞こえのある生活を求める気持ちが強ければ強い程、より早く補聴器とその聞こえ
  に慣れます。

◇既述の通り、最初の話し手となる家族や親しい友人にはゆっくり、はっきり話してもらいます。
  これが聞き取りの練習の第一歩となる大切な事です。これで補聴器を通して人の声に慣れる練習をし、そして、
  聞こえが良くなるに従い、補聴器を使う自信も出て来ます。最初が肝腎です。

◇音の大きさは距離と密接な関係があり、音源に近づく程大きく聞えます。この事は常に頭に入れておき、人と
 話す場合は、出来るだけ話し手に近い位置で、相手の正面で話を聞くようにします。

◇音量調節付補聴器では使い始めは出来るだけ小さめの音で聞き、慣れるに従い少しづつ大きな音にし、聞き
  慣れたところで自分の聞こえの適音に合わせ使用します。
  ・よく聞く為に音量を大きくしがちですが、大きくし過ぎると周りの環境音もより大きくなり、又音声が割れて
   聞きづらくなります。状況にもよりますが、音量を下げるとかえって聞きやすくなる場合もあります。
  ・音の大きさを知る方法として、自分で声を出してみてその声の聞え具合で判断します。
  ・音量調整スイッチや自動調整機能のない補聴器では、地下鉄や工事現場等の大きな音がする場所では
   耳を守る為にスイッチを切りましょう。

◇テレビやラジオを使い人の話し声を聞く練習をする場合は、民放は早口で話される番組が多い為、NHKの
  ニュースや番組がお薦めです。

◇少し離れている人の声や片耳装用の場合で装用耳の反対側から聞こえてくる人の声を聞き取るのは難しく、
  それなりの練習が必要になります。

◇耳穴式補聴器で電話を掛ける場合は余り耳に強くピッタリ当てるとハウリングを起こしやすくなります。ほんの
  少し離すか、軽く耳に当てる程度が聞きやすくなります。
  耳掛け式補聴器ではマイクが耳の上に位置している為、受話器を少し上に持ち上げると聞きやすくなります。

◇手を強く叩いた音や扉の閉まる音、食器がぶつかる音、工事の音等が我慢出来なければ耳に合っていない
  可能性が大です。「調整型補聴器」では速やかに調整し直しましましょう。

◇使い始めの頃は、少しでも不快に感じる音がしたり、聞え方が思わしくないと感じる場合は、遠慮せず、何度
  でも販売店へ足を運び、相談し、調整を受けるようにしましょう。


■使い始めて気になる事、注意すべき事
使い始めは、色々ありますよ。違和感がある、気になる、圧迫感や不快感を感じる、耳が詰まった感じ、自分の
声がこもって(変に)聞える、周りの雑音がうるさい、等々、等々、、、。

◇ピーピー(ハウリング)と音がうるさい
  補聴器が自分の耳にピッタリ合っていないのが原因です。補聴器を耳型にピッタリ合うようにすれば一件落着。
  補聴器と耳の間に隙間が出来ると一度増幅された音が再び補聴器に入り、それが再度増幅されハウリング
  (甲高いピ−という音)を起こします。

  耳にぴったり合っている補聴器でも耳に手を近づけるとハウリングが起こりますが、これは正常なものです。
  きちんと耳に入れているにもかかわらず、普通に話したり、物を噛んだり、あくびをしたり、頭を動かすだけで
  ハウリングが起これば、耳と補聴器がぴったりと合っていないと言えます。オーダーメイド補聴器であれば、
  作りが悪いわけですから、何度でもやり直してもらいましょう。

  “通販もの”や既製品の場合は、ハウリングを無くすのは非常に難しいか、或は不可能で購入前に自分の
  耳型にピッタリ合い、ハウリングが起きない事を十二分に確認してから購入しましょう。
  “補聴器愛用者への路”を歩む者は事前に、無料で、返品可能な試し聞きが出来ないような“通販もの”や
  既製品を購入するのは堅く戒めるべきです。

◇補聴器を使っても直ぐには良く聞こえない
  けっこうせっかちですね。使い始めは補聴器の声に馴染めず、今まで聞こえていなかった生活環境音が
  聞こえたり、聞こえに違和感を覚えたりとかえって戸惑いを覚えるものです。

  それに、長期間「聴こえ」を司る脳に十分な音の刺激を与えず、“聴く訓練”をしていなかった訳ですから、
  補聴器で音を送り込んだからといって脳が即反応し、正常に機能すると期待するのは無理な相談では
  ないですか。脳にも色々事情があり、「新しい聞こえに馴染む迄待って!」と言っている筈です。ここまで
  来れば慌てず、あせらず、ゆったりと。

◇補聴器を使っても話し声がうまく聞き取れない
  補聴器の調整具合、それに相手の話し方や周りの環境等の要因が考えられます。
  調整に問題があると考えれば、再調整、環境に問題があれば、聞きやすい状況を作り出す工夫(雑音源に
  背を向けたり、遠ざかる等)や相手の話し方に問題があれば注文をつける(ゆっくり話す、大きな声で等)
  必要があります。

  唯、健聴者とて聞き取れないようなざわざわした場所で低い声で早口に話されては聞き取れる訳はありません。
  頭から補聴器を悪者扱いにするのは止めましょう。

◇声は大きく聞こえるようになったが、言葉が分からない
  言葉を聞き取るには、その言葉の占める音域全ての音(おん)が正常に聞き取れる事が条件となります。
  特に、感音性難聴では、低下した聴力レベルが周波数帯別に適正に補正されていなければ聞取りに問題が
  生じます。

  補正が正しく行われていないと、その周波数帯域に属する言葉の音が抜け落ちた状態で耳は脳へ音信号を
  送る結果、脳は正確に音の処理が出来ず、言葉の明瞭度が得られず、意味不明、或は聞き間違いを起こし
  ます。感音性難聴で症状によっては補聴器では補正出来ない場合もあり、100点満点の矯正は望めません。
  (「感音性難聴と聞こえ」を参照下さい。)

◇方向によっては音が聞こえない
  補聴器により異なりますが、耳に装用した状態で補聴器が音を集音出来る方向や範囲は“まだら”状態に
  なっており、“聴覚死角”ともいうべき音の聞こえない死角があります。

  少し、補聴器に慣れた段階で、固定した音源(テレビ、ラジオ)に対し、色々な角度にゆっくり首を振り、
  “聴覚死角”の有無を確認して下さい。この死角があれば、特に道路際を歩く場合は車の近づいてくる音を
  知る為に、少し首を振りながら歩き、“聴覚死角”を無くすという工夫も必要になります。

◇自分の声が変に聞こえる
  人は自分の話し声を空気を伝わって来る振動として耳で聞き(気導)、同時に骨を伝わって来る振動でも
  聞いています(骨道)。しかし、補聴器で耳が塞がれると空気を伝わって来る振動音が減少し、気導音と
  骨導音のバランスが変わり、これが原因となり“変な声”に聞こえます。

  更に、今まで聞えの悪い状態で長年聞き慣れていた“不自然”な自分の声を“普通”の自分の声として認識
  しています。この状態で、補聴器を通して聞けば、補聴器の再生する固有の音質も加わり、聞き慣れている
  自分の声とは異なって聞こえる為、変な声に聞こえ、気になります。

  慣れの問題です。暫くすれば新しい自分の“魅力的”な声に慣れます。しかし、常時使用して一週間以上
  経っても新しい音に馴染めない場合は、購入元で相談しましょう。

◇補聴器は雑音が多い
  静かなカラオケボックスでアンプのスイッチを入れた時、スピーカーから何か音や雑音が聞えますか?
  機器類が正常で、限度内の音量であれば何の音(雑音)も出ません。補聴器もこれと全く同じで壊れて
  いなければ、何の音も発していません。

  補聴器使用前には聞こえていなかった環境音(冷蔵庫のモーター音、雨の音、車が走る音等)も鮮やかに
  再生される為、「雑音がうるさい」と感じる事になります。補聴器はあなたが聞きたいと思う音声を選別し、
  再生する等という高度な芸は出来ません。
 
  環境音も言葉の音が分布する帯域の中にしっかりと入り込んでいるため、補聴器で完全に音を消す事は
  出来ませんが、環境音も豊かな音の世界の一部。暫くすれば煩わしさは軽減され、慣れます。生活環境での
  全ての音が聞こえてこそ音の世界の扉が今まで以上に広く開かれたと言えます。 メデタシ

◇風の音
  少し風の強い中を歩いたり、又風のない状態で自転車に乗ると風が補聴器のマイクに直接当り、嵐のような
  大きな音として聞こえますが、故障や異常ではありません。予防法は、風の来る方向に耳を向けない事ですが、
  これにも限度があります。

  又、風の中で人の話し声をまともに聞き取るのは至難の業で、間違いなく苦労させられます。ここは、多くを
  期待せず風を避けるか、止むのを待つか、耳元で怒鳴りあうか、清くあきらめるかのどれかを選択する事に
  なるでしょう。 声は風と共に去りぬ

◇補聴器を使うと頭が痛くなる
  必要以上にメガネの度を上げると、確かにはっきりと見えますが、まともに歩けず、頭も痛くなります。

  補聴器も自分の耳に合っていない、或は適切に調整されていないと本来の効果を得るどころか、耳を痛め、
  頭も痛くなります。例えば、必要以上に大きな音で再生されていれば、耳の中に拡声器を入れ、強制的に、
  継続的に大きな音を送り込まれる状態となり、これでは頭が痛くなり、耳を痛めて当然です。

  「調整型補聴器」では調整のやり直しが必要です。但し、調整は適切に行われていても、特に補聴器の使い
  始めの段階では、言葉を聞き逃すまいと緊張の余り頭が痛くなる事もあります。一生付き合う相手です。
  最初からそう緊張し、完全な聞取りを目指さず、「おぉ、聞こえる、聞こえる。まぁ結構聞こえるもんだ。」と
  のんびり構えてやりましょう。

◇使用時の緊張感、疲労
  聞こえない状態で人と会話する方が遥かに緊張し、疲れるはずです。補聴器の使い始め時の緊張感、疲労は
  初めての経験であり、不慣れな事から来るもので、慣れれば解決します。もし、慣れで解決しないのであれば
  補聴器を何十年と使っているベテランはとっくに血圧が上がり、神経もぷっつんしている筈です。

◇音の遮断又は耳の閉塞感
  補聴器やイヤモールド(耳掛け式で耳穴に入る部分)が耳の中に入る為、一種の“耳栓”となり耳の穴を塞ぎ、
  音が遮られるような感じになります。片方の耳に指を入れて耳穴を塞いでみると耳が「詰まったような」感じに
  なる筈で、普通この詰まった感覚に慣れるには数日かかります。

  補聴器の使い始めには必ず起こる事ですが、これは慣れの問題。補聴器によっては補聴器本体やイヤモールド
  に“通気孔”を持ち、閉塞感を抑えているものもあります。

◇調整の受け方
  既存の「調整型補聴器」での“愛用出来る補聴器”作りは調整を積み重ねる以外に方法はありません。粘り強く
  調整を重ね、少しづつ、その補聴器に慣れ、自分の望む聞こえに近づけて行く努力と忍耐が必要です。
  ・大切な事は、調整者は装用者の訴える内容に基づき、種々の調整を行う訳ですから、問題や要望は出来る
   だけ具体的に、そして情報量が多ければ多いほど、調整し易いものとなります。
   「どんな場合に、何が、どういう風になる(詰まったように聞こえ、圧迫感がある)」、或は「何を、どんな風に
   して欲しい(女性の声をもう少しはっきり聞こえるように)」、という具合に。
  ・聞えが最適(に近い)かどうかは補聴器を少し使い、何度か調整してみないと分からないもので、一度の調整
   でピタリという事はまず無いと考え、何度も時間を掛け根気よく調整を繰り返し、望む聞こえが得られるまで
   調整を行います。
  ・静かな店内で行われた調整は家庭、学校、職場、屋外での聞こえとは異なります。調整後は様々な環境や
   条件下で試し、特に日常使用する環境の中では十二分に試し聞きし、納得行く聞こえになっているかどうかを
   確認します。



最後に、「補聴器とその聞こえに慣れる」という事は補聴器を使いこなしていく上で非常に大切な事で、慣れれば
様々な不具合や問題はかなり軽減、或は解消されるという点をしっかりと覚えておきましょう。

又、補聴器を使いこなしていくには「より良く聞きたい」、「人との会話を楽しみたい」という強い意思と意欲を
持つと同時に、自分の補聴器はどんな声は良く聞こえ、どんな声は聞きづらいか、更にどんな状況でどの程度
役立ち、どんな状況では役立たないかを実地体験を通して知るように努め、早い段階で自分の補聴器の効果と
限界をしっかりと把握しておくのも大切な事です。



  ★お願い
   「こんな事もある」、「これも知っておくと役に立つ」というあなたのその声を是非こちらへお寄せ下さい。




   

より良いコミュニケーションについて



会話は言葉のキャッチボールです。一方が話し、他方が聞く、その繰り返しで話は進みます。聞き手はその話しを
聞くべく耳を傾け、話し手は相手に話を理解してもらうべく努めますが、一方が相手の話しがよく聞えず、内容が
十分に理解出来ないと会話のキャッチボールは支障を来たします。

補聴器愛用者にとっては補聴器で聞こえが改善されたと言っても聞こえが完全に元に戻った訳ではなく、依然、
良く聞こえなかったり、言葉が不明瞭で意味が分からない等「聞く」事にも「聴く」事にも困難を覚えるのが
実情です。


本人は補聴器を愛用しても解決されぬ悩みや問題の影響を受けますが、忘れてならないのはその影響は本人
のみならず周りの人達にも及ぶ事です。

特に初めて接する相手や普段話す機会の無い相手は補聴器愛用者と話す時に困難に直面する事になります。
難聴(補聴器)は見えません。補聴器愛用者は車椅子を使うでも無く、耳穴式補聴器を装用すれば外見上は
何の特徴もない為、聞こえに不自由さがあっても本人が黙っていれば相手は分からず、勢い、普通に話しかける
事になるからです。

そして、家庭では日々本人と接する家族は補聴器を使っているにもかかわらず聞こえの問題が存在する事に
釈然とせず、更に会話に不自然さと負担が伴いフラストレーションや苛立ちを覚える事となります。


通常、誰であれ話しの途中で何度も聞き返えされたり、反応がとんちんかんであれば、相手を分からせる為に
大きな声で話す事になります。一般的に、大きな声を出すのは人の注意を引く時と怒りを表す時で、例え相手の
聞こえのせいで大声で話していても、この状態が続くと話し手は本当に“怒った”状態に陥ってしまいます。


会話のキャッチボールを円滑に行うには、補聴器愛用者とその話し相手、双方の配慮と協力が不可欠となり
ますが、先ず、補聴器愛用者側がこの問題に積極的に対応する責任があります。補聴器を使った自分の聞こえを
十分に把握し、人と話す場合には少しでも聞こえを良くする為の工夫と努力をし、話し手に対する配慮をした上で、
話し手にも配慮と協力を求める必要があります。

円滑な会話を確保する手段として補聴器を使用しますが、それはあくまでも会話のスタートラインにつく為の
必要要件に過ぎず、この器具を使ってどうすればその目的であるより良い「聴こえ」が得られ、会話がし易く
なるかを真剣に考える必要があります。


  補聴器愛用者自身
    より良く聞く為の工夫と努力、それに話し相手への配慮と感謝の念

  家族や周りの人達
    ほんの僅かな気配りと話し方への工夫と配慮



☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆

補聴器愛用者へ





■補聴器愛用者の責任
聞こえ具合を最も良く知るのは他ならぬ本人です。聞き易い、或は聞きにくい話し相手(声の質、話し方)や苦手と
する場所及び状況は例え家族や親しい友人でも分からず、本人のみが知る事です。

ですから、補聴器愛用者自身の責任として、先ず、やっと手に入れた愛用の補聴器を存分に使いこなし、愛用器の
“威力”と限界をしっかりと把握する必要があります。色々な話し声や話し方の人達と話し、様々な環境や状態で
試し、聞こえがどう変化するのか、そして、聞こえの悪い場合はどうすればその聞こえを良く出来るのか、或は
どうすればどの程度聞こえが改善するか、更にはどういう条件の下では完全にお手上げか等、愛用器の特徴や
クセ、特に弱点は十二分に把握しておく必要があります。

そして愛用器の“実力”を把握した上で、自分自身が最も聞き易いように話す状況や環境を自分の聞こえに
“有利”にするように積極的にお膳立てし、管理する必要があります。

□話す環境の整備、管理
◇話す状況や環境、場所はより良く聞く上での非常に大切な要因である為、自分にとって最も相応しい場所
(環境)を確保します。明るい場所(相手の表情を読み取る為)で騒音が少ない、或は 雑音の無い場所、更には
聞く事を邪魔されないような場所を積極的に探し出します。

◇可能な限り不要な音を軽減する、又は無くすようにする。
  ・話しは料理中やかたずけ中の台所ではなく居間でする。
  ・車の中のラジオや音楽のスイッチを切る。
  ・BGMを低くするか止める。
  ・外から音が入って来るようであれば窓や扉を閉める等。

◇話しは目と耳で聞きます。相手の身振りや仕草、表情等も言葉以上に雄弁に話しの内容を語ります。又健聴者
  も会話では相手の話しをより良く聞き取る為に無意識のうちにも読話(唇の動きで言葉を読み取る)を行って
  います。ましてや、補聴器愛用者となれば、目も耳ほどに働かせる必要があります。

◇相手の表情や口の動きを見る為に、話し相手には顔が良く見えるような場所に座ってもらい、照明の陰に
  ならないように配慮します。
  ・話し手が蛍光灯やライト等の光源を背中に背負うような位置に座らせない事。
  ・自分自身は光源が後ろに来るような位置に座り、その光が話し相手に当るように座る。


□より良く聞く為の工夫
◇話しの途中で、大切と考えられる言葉や数字、内容が十分に理解出来ない場合は、反復してもらうか、紙に
  書くよう依頼します。誤った内容で理解し、話しが進めばそこから先の話しは正しく理解出来ません。

◇聞いた内容で大切と思われる事柄は、必ず復唱し、相手に確認します。(特に金額、電話番号、日時等の
  数字や人名や場所)

◇聞くのは大仕事です。聞く為に神経を研ぎ澄まし、集中させ、話しを聞くわけですから疲れて当然ですが、
  話しが長びくような場合は、適時、休憩や息抜き時間を取るよう提案しましょう。
  少しくつろげば、又話しに集中出来ます。疲れると聞こえが悪くなる為、補聴器を使って、神経を集中して
  連続で聞ける時間の限界を知っておく必要があります。

◇話しは聞こえれば、分ると言うものではありません。講演や会議、セミナー等では聞こえても法律的な内容や
  医学的な話しは、その基礎知識が無ければ理解出来ません。話したり聞いたりする話題について十分な
  知識がなければ、その内容やよく使われる言葉等は前もって調べておきます。特に話しのポイントとなる
  事柄やキーワードを十分に理解しておくと「聴こえ」の助けとなります。


□話し手への注文
◇相手、状況にもよりますが、事情が許せば、早い段階で、話し手に“注文”をつけておくのが賢明です。
  ・大きな声ではっきりと話す。
  ・口に手を当てたり、肘をつきながら話さない。
  ・真正面を見て話す。
  ・数字は指で示したり、繰り返す。
  ・答えがハイやイイエの場合は首を振るなどジェスチャーを交える。
  ・話しの要点部分は正しく理解した事を確認した後に続ける。
  ・言い直す場合は表現を換えて話す。
  ・状況に応じて筆談も交える。
  ・質問や答えは一言二言の短い表現ではなく理解を高める為にヒントとなる言葉を含め出来るだけ一つの
   文章として言い表す。
    X 「あそこでいい?」
    ○ 「今度の食事会は先月行った駅前のフランスレストランでいい?」

◇内容が分からない状態で話しが進むと先に行けば行くほど話しが分らなくなり、一人取り残されます。そして、
  相槌や返事のピントがづれて来ると会話のテンポが乱れ、雰囲気が損なわれ、全体へ影響を与える事に
  なります。話し始めた後に環境の変化(例:周りで人が騒がしく話し出した)や、体力的に疲れて聞こえが悪く
  なったような場合は、聞き辛くなった旨を説明し、話しを保留するか、時や場を改める事も含め申し出る事も
  考えます。

◇状況によってはどう工夫、配慮しても聞き取れない場合も十分考えられ、場合によっては後程個別に話し合い、
  確認するようにします。


□話し手への気遣い、配慮
◇初対面の人達や会議の席では場合によっては聞こえの悪い事を最初に、爽やかに全員に明らかにしておけば
  負担が軽くなります。話しが進み出した後に「実は、、、、」と言うのは、言い出しにくく、又雰囲気を壊す事もあり
  あまり好ましいものではありません。

<筆者の取っておき技>
 「最近どうも耳の調子が悪く、又悪い事に声のえり好みが激しく、特に美声には弱く聞き返す事もありますが、
  その時は宜しく。今日は美声の持ち主が多そうなので心配ですが、これは私の方の問題と言うよりはどちらかと
  言えば皆さんの方の問題ですので、、、。」)

◇相手の話しを聞く必要を無くす為に自分一人で最初から最後まで話し、会話を独占するような事は止めましょう。

◇聞き返す場合は、唯、「何?」、「えっ?」、「分からない」、「聞こえない」ではなく、「日時のところをもう一度
  お願いします」、或は「、、、、、の次の部分をもう一度お願いします」、「、、、の部分はこれでいいですか?」等と
  聞き取れなかった部分を相手に良く分るように具体的に聞きます。

  例えば「次回の会合場所はAさん宅で、日にちは20日との事ですが、時間は何時とおっしゃいました?」の
  ように聞けば、相手は、聞き手の分かった事柄と分からない事柄が明確になり、説明しやすくなります。
  これは話し手への欠かせぬ配慮です。

◇紙とペンは何時も肌身離さず持ち歩くようにします。何度聞いても自信が持てない場合や聞き取れない時は、
  筆談が非常に有効で確実な手段となります。いざとなり手元に紙やペンが無いようでは心構えが疑われます。

◇補聴器で聞こえが良くなったと言っても完全ではなくどこかに問題があるもので、これが原因で無意識のうちに
  コミュニケーションを妨げている場合があり、周りの人達にとっては負担やストレスとなっている事もあり得ます。
  分らなければ「分らない」とはっきり言い、又相手の言う事が理解出来れば話しの途中でうなづく等きちんと
  合図し、会話の流れの確保に注意を払えば話し手の負担は大幅に軽減されます。   

◇人との話す時の心構えの基本として、常に周りの人達の気遣いや気苦労への配慮と感謝を忘れぬ事が大切です。



☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆

補聴器愛用者と話す方へ





■話し手の方へ
<補聴器愛用者自身が話し手へ“注文”を付ける事は容易ではありません。その為、「補聴器愛用者と話す方へ」
  と同内容文を印刷出来るようこちらに準備しました。相手により、状況により必要であればこの紙を手渡せば
  気持ちの負担も少なく、伝えるべき内容が確実に伝えられます。
  ご利用下さい。>



聞こえの不自由な人達にとって補聴器は聞こえを改善する大変役立つ補聴の器具ですが、残念ながらこれを
使用しても「普通(元)の聞こえ」に戻るわけではありません。聞こえ具合は人により、話される状況により異なり
ますが、その聞こえが十分とは言えない場合が往々にしてあります。

しかし、どんな環境で、どんな方法で話してもらえればより良く聞き取れる、或いは逆に聞きづらいかは本人が
一番良く知っています。ですから、話す場所や座る位置、環境の確保、話し方に至るまで色々と注文が出る事と
なりますが、これらは「あなたの話しをより良く聞く」為のもので、出来る限り、本人の希望や要望に沿うよう
配慮や協力をお願いします。それが、お互い、最も少ない負担で、最も話しやすく、最も話しが楽しめる方法
だからです。


□話す場所や状況
◇特別な訓練を受けなくても、顔の表情や口の動き、身振りからも沢山の話しの内容についての役立つ情報が
  得られます。ですから、座わり方は次のような方法でお願いします。
  ・一列横並び式の座り方は避け、お互い顔を見ながら話しが出来るように対面式で
  ・照明が必要な時や場所では、話し手の顔や口元が良く見える場所へ
  ・お互い、余り距離を離さないで(3m以内)
  ・来客を交え話す場合は、本人を来客の顔が見える最も近い場所に
  ・雑音のある場所では本人を雑音、騒音から最も離れた場所に

◇補聴器愛用者が最も苦手とする環境は周りの雑音や騒音です。可能な限り不要な音を軽減する、或いは
  無くすようにして下さい。
  ・話しは料理中やかたずけ中の台所ではなく居間で
  ・車の中のラジオや音楽のスイッチを切る
  ・BGMを低くするか止める
  ・外より音が入って来るようであれば窓や扉を閉める等


□話す時の心構え
◇「補聴器を使えば聞こえるようになる」という誤った、或は過度な期待は持たないで下さい。補聴器で聞こえは
  向上しますが、例え最高の補聴器を使っても取り戻せる聞こえには限度があり、普通の(元の)聞こえには
  戻りません。ですから、「補聴器を使っているのに聞こえないの?」という類の発言は止めて下さい。とても
  補聴器愛用者を傷つける言葉です。

◇補聴器愛用者にとっては、内容を理解する前に、話しを聞く事そのものに通常以上の注意と集中力が求められる
  大変に疲れる大仕事なのです。聞き手に疲れが見えるような場合や、話し合いが長引くようであれば適度の
  休息時間を取るようにして下さい。そうすれば又、聞こえが戻ります。

◇あなた(健聴者)が人に話し掛けられ、たまたま聞こえず「えっ、何?」と聞き返し、相手が、「いや、別に、何でも
  ないの」や「いいの、いいの、大した事じゃないから」、と繰り返して言ってもらえないとすると、あなたはどう感じ
  ますか?

  補聴器愛用者も聞き取れない時に「えっ、何?」と聞き返し、返って来る返事が「何でもないの」や「たいした
  事じゃないからいいの」であればどう感じるでしょうか?言われた本人には精神的にこたえる言葉で、場合に
  よっては感情的にもなり得ます。これが繰り返されると努力して相手の話しを聞こうという姿勢が失われる
  ようになります。一端口にした言葉は、一度で通じなければ繰り返す、言葉の表現を換える、少し大きめの声で
  はっきり話す、紙に書く、忙しければ「後でゆっくり話すから」等と会話の確保に努めて下さい。

◇補聴器愛用者の多くは、聞こえない場合、聞き返す事に対し程度の差はあれ間違いなく躊躇します。そして、
  聞き返す事は相手に悪く、失礼と思い、その結果、分からなくても聞こえたフリをする事になります。反応が
  鈍い、ズレがあると感じたら、さりげなく確認するか、表現を換え、相手が理解するまで繰り返して下さい。
  特に大切な内容の話しは、節目節目で確認しながら、話しを進めて下さい。

◇話し方を変えても余り効果が見られない場合は、相手にもよりますがどうすれば聞こえが良くなるかをさりげなく
  聞いて下さい。最初は相応しい環境でも、いつしか周りが騒々しくなっている場合もあり、又聞き疲れで一息
  入れれば解消する場合もあります。


□補聴器愛用者への配慮<
◇話しは出来るだけ近づいて話して下さい。音声は距離が離れれば離れるほど弱く、小さくなります。そして、
  離れた別の部屋や、間仕切り等の裏側から話し掛けるのは止めて下さい。本人は聞く為にやりかけのものも
  中断し、話し手の近くまで移動する必要が生じます。

◇話し始める前に、先ず、相手があなたの話しを聞く準備が出来ているかどうかを必ず確かめて下さい。この
  確認をせずに話し始めると、必ず先で話しを繰り返す事になります。

◇特に大切な内容の話しを始める場合は、その環境(夕食時ならテーブルの準備が全て終わった状態)とその
  タイミング(皆が着席し、ざわざわした感じが収まった後)を見計らって話して下さい。

◇学校や職場で終日補聴器を使い、人と接した後では精神面や集中力の面で低下があり、この状態で複雑な
  内容の話しをするのは好ましいものではありません。緊急事でなければ大切な内容の話しは帰宅直後は避け、
  くつろいだ気分になった時に話し合うようにしましょう。又、緊急事の場合も、本人のこの状態を理解、配慮した
  上で話し合うようにして下さい。

◇補聴器愛用者との話しにはほんの少しの忍耐と寛容さで自然に接して下さい。驚くほど良い結果をもたらします。


□話し方、話すコツ
★出来るだけ向い合い、食べ物やガム等を噛みながら話さず、又口元が見えなくなるのでコーヒーカップを口元で
  持ったまま話さないで下さい。専門的に訓練を受けていなくても、顔の表情や口の動き、仕草、身振りからも
  話す内容についての様々な情報が得られます。

★話す声の大きさと速さは大切な要素です。心持ちゆっくりと、そして口の中でモグモグと話すのではなくメリハリを
  付け、普通の声の大きさ、或いは少し大き目の声で話して下さい。

★相手が聞こえないと思い、大声で怒鳴るように話さないで下さい。怒鳴るように話しても、音が歪むだけで、
  かえって聞き取り辛くなります。 大声を出すのとハッキリ(明瞭に)話すのとは全く異なります。

★必要に応じて間を取りながら話して下さい。取分け、話す内容に幾つかの話題が含まれる場合は、一つの話題を
  終え、少し間を置き、そして次に進むようにして下さい。相手にとっては会話の流れについて行くのも一仕事で、
  突然に、或は次から次へと話題を変えられるとついて行けません。
  このような場合は、往々にして最初の言葉(文章)を聞き漏らしやすく、その為にその後に続く内容の理解が
  難しくなります。話題を変える場合には、「ところで、話しは変わるけれど、、、」や「別の話しになるけれど、、、」
  等必ず一言添え、一呼吸置き、相手の聞く心構えを確かめた上で話し始めて下さい。


マサチューセッツ工科大学の研究で、状況によっては以上の★印の4点がしっかり守られれば、難聴者は補聴器を
着けなくても一定の聞こえが得られる事が確かめられています。

その他の注意点としては、

◇身振り手振り、首を振る(肯定や否定の場合)、数字は指で表す、顔の表情等表現豊かに視覚へも訴えかけ
ながら、真正面を見て話して下さい。

◇質問や答えは一言二言の短い表現ではなく、ヒントとなる言葉を含め出来るだけ文章として表現して下さい。
  内容の理解が高まります。
    「これでよかった?」 → 「赤色のセーターを買っておいたけれど、これでよかった?」

◇話そうとする内容の要旨や結論を先ず最初に伝え、相手がそれを理解した事を確認して下さい。何の話しか
  分からず、起承転結型でだらだらと話されては唯でさえ普通の人以上に緊張し、神経を研ぎ澄ませて聞いて
  いる者にはとても大きな負担となります。話される内容が分かった上で聞けば、理解力は飛躍的に増え、
  負担は遥かに軽減されます。

◇相手が十分に理解出来ていないような場合は、
  @話した内容をゆっくり、はっきり繰り返す。
  Aこれで通じなければ、同じ内容を別の表現で言い換える。これは効果的です。
    (7時に出るの? → 19時に外出するの?)
  Bこれで不十分な場合はキーワードや要点を紙に書く。
  Cこれで通じなければ文章化し、紙に書く。(少し忍耐が必要ですが、、、)

◇複数で話し合う場合、あちこちで別々の話しを同時にしないで下さい。この状態では、結局、どの話しにも
  ついていけない事になります。


                        少しばかりの気配りと配慮をお願いします。



☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆     ☆ ☆ ☆

年配の補聴器愛用者と話す方へ

 



■年配の補聴器愛用者との接し方
年配の補聴器愛用者との話し合いには何よりも気長で寛容な気持ちで接する事が求められます。一般的には、
反応が乏しい為、ややもするとついつい話す事が面倒になり、簡単に要件のみで済ませるか、話し掛ける事
そのものを諦めるケースも出てきがちです。しかし、これが繰り返されると、唯でさえ会話不足気味の年配者に
とっては音情報が少なくなり、生活態度が受身的となり、ひいては痴呆の進行を早めかねません。


次のような点に留意すると負担が少なく、より話し易くなります。是非お試し下さい。

◇何よりも先ず、話しの妨げとなる周りの雑音や騒音を少なくする、或いは無くすように話す環境を整備する事が
  大切です。 (例:テレビ、ラジオを消す。窓やドアを閉める。静かな場所へ移動する。)

◇話し始める最初の話題は本人にとって馴染みがあり、興味を持つ話題を中心に進めるようにしましょう。

◇ある話題で話し始めたら、しばらくはその話しを続けます。次から次へと話題を変える事は避けます。

◇内容のある、或は大切な話しをする場合は、話しの初めから核心部分に触れないで、最初は軽い話題(気候や
  散歩の様子を尋ねる等)から話し始め、相手に聞き、話す心構えが出来てから本題に入るようにします。

◇話しや質問は短く、分かりやすくするよう心掛けましょう。話し(文章)が長くなると、内容を追いかけ、理解する
  のが難しくなります。起承転結でだらだら話すよりも結論を中心に、重要な点を繰り返し、要領良く話しを進める
  事が大切です。

◇話しの途中で、(様子を見ながら)相手がその話題について、過去を思い出したり、追憶するようであれば、
  少し間を取るようにします。

◇話す内容が相手に十分に伝わらない場合は、筆談も交え、視覚に訴える為に身振り手振りも存分に使い、
  意を伝えるようにしましょう。

◇相手の返事や反応が必要な場合は、考える為の時間を十分にとり、決してせかさないようにします。そして、
  返事が得られれば、その内容を確認します。

◇幾つか質問がある場合は、次から次へと質問するのではなく一つの内容に対し返事が得られてから、次の
  質問をするようにします。

◇質問の形としては相手に説明や答えを求める質問形(「飲み物は何がいい?」)よりも(「お茶がいい?」)と
  問い掛ければ、相手はイエス、ノーで簡単に答えられます。

◇相手の返事の意味が分からない場合、「はっきり言って!」、「何、よく聞こえない!」等は禁句です。相手の
  目の動き、ちょっとした仕草や動作、返事の中の言葉等をヒントに最大限の想像力を働かせ、言葉を換えて、
  言葉を添えて相手に聞き返してみましょう。「えっ、なぁ〜に?今のテレビのニュースについての事?」、
  「今晩のおかずはお魚がいいの?    お魚の焼いたのがいいの、   それともお刺身がいいの?」

◇いつも話していれば、本人の聞き取りにくい言葉や表現が分ってきます。そして、家族で本人が苦手とする
  言葉や表現を確認し合い、会話ではこれらの言葉や表現は避けるようにします。
    (例:1と7の聞き分けが良くないので、7は「ナナ」と表現)


★お願い
  あなたの「コミュニケーション秘術」を是非こちらへにお寄せ下さい。





      

補聴器の取扱い



■補聴器の取扱い
補聴器は分身です。大切に使い、管理しましょう。

それには、補聴器は大変に「繊細で、複雑な精密器械」であるとの認識を持つ事が出発点となります。この認識を
持ち、次のような点に気をつければ、良い状態で、長く補聴器を愛用出来ます。


補聴器が最も嫌うものは次の三つでこれらは大敵です。
◇振動
 ・精密器械ですから、落としたり、乱暴な取扱いをしたり、強い衝撃を加える等は補聴器の故障の原因となります。
 ・特に小さな耳穴式補聴器の着脱時は落としやすい為、椅子に腰掛け、下がジュータンや布団の上で取り外しを
  行います。下がタイルの洗面所で立ったままでの着脱等は最も避けるべき事です。

◇温度
 ・ストーブの近くや、直射日光に当てる、夏の炎天下の車内等高温な場所へ置いておいたり、保管するのは
   避けます。
 ・エアコンや冷蔵庫の中等の低温の場所も避ける必要があります。
 ・補聴器を装用しながらのヘヤードライヤーの使用は好ましくありません。
 ・補聴器が水で濡れた場合、オーブンやドライヤーで乾かす事は厳禁です。

◇水(水気や湿気)
 ・シャワ−や入浴時、それに室内プール等の湿度の高い場所、それに勿論泳ぐ時には補聴器を外します。
  もし濡れた場合は速やかに拭き取り乾燥させます。そして、念のため購入店で調べてもらうのが賢明でしょう。
 ・真夏に屋外からエアコンの効いた室内に入る等、温度差の激しい場所を行き来すると補聴器の中で、湿気が
  凝縮され水滴になり器械を傷つける事になります。
 ・補聴器をつけたままでヘア−スプレ−や噴霧タイプの香水の使用は禁物です。
 ・補聴器の保管には専用の容器も販売されていますが、ドライケ−スに入れるのが相応しく、乾燥剤のシリカ
  ゲルは色が青から白に変わると効果が無くなった事を示しており、取り替える必要があります。

◇その他
 ・使い終わった後は常に乾いた布で綺麗に拭き、ブラシがけで耳垢を取り、乾燥剤の入った保存箱に入れて
  保管する事です。このように良く手入れし、保管された補聴器の寿命はより長いものとなります。
 ・補聴器は赤ちゃんや小さなお子さんが苦手です。乳幼児は補聴器を口の中に入れてしゃぶったり飲み込む
  ケースもあります。その為、補聴器は必ず子供の手の届かない決まった場所で保管します。もし、誤って
  飲み込んだ場合は速やかに最寄の大きな病院へ。(医療相談室で相談:時間外は救急外来:一般開業医
  では、異物を除去するのは難しい場合が多い。)
 ・補聴器は犬も苦手です。犬が家族の一員となっている家庭が多いですが、犬にご用心。犬は補聴器を噛む
  のが大好きです。(程度によりますが、運悪く、犬の玩具になり壊れても修理は可能)
 ・MRI(磁気共鳴画像診断装置)検査を受ける際は補聴器を必ず外して下さい。補聴器が壊れます。
 ・補聴器の調子がおかしい場合は、即、購入店へ。決して自分で補聴器をこじ開け、弄繰り回す事の無いように。


米国の調査によれば、修理に出される補聴器の75%以上は湿度の高い場所に置いておいたり、誤って水を
かけた等の水関係とたまった耳垢が原因となっており、耳を清潔にし、注意深く取り扱い、日頃十分に手入れ
していれば大半のケースは修理の対象とはならないとの事です。


■症状からみた補聴器の状態
◇補聴器がうんともすんとも言わない場合
 ・電源スイッチが入っているかどうかを確かめる。
 ・電池が入っているかどうかと、正しく入っているかどうかを確かめる。(+と−の位置)
 ・電池の寿命があるかどうかを確かめる。(補聴器で聞えないという殆どの場合はこれが原因となっており、
  電池の有無は市販のバッテリーチェッカーで簡単に確認出来ます。)
 ・補聴器の中に入っている電池が腐食していないかどうかを調べる。
 ・補聴器の音の通り道が耳垢で詰まっていないかどうかを調べる。

◇聞えてくる音がいつもより弱いと感じる
 ・電池の電圧の低下が考えられます。電池を取り替え、試してみる。
 ・耳穴式や耳掛け式補聴器の場合イヤーモールド(耳栓部分)やチューブのひび割や水滴の付着を調べる。
 ・イヤーモールドが耳垢で詰まっていないかを調べる。
 ・イヤーモールドが補聴器本体にしっかりはまっているかどうかを調べる。<

◇ガリガリ音がしたり、音が聞こえたり聞こえなかったりする
 ・スイッチを二三度入れたり、切ったりして試してみる。
 ・電池が正しい位置に入っているかどうかを調べる。定位置に入っていなければ、正しく入れ、試してみます。
  又、電池と接触器具が正しく接触するかどうかを確認します。
 ・イヤーモールドに不具合(ねじまがる、割れている)がある時はこれを取り替えます。
 ・湿気の多い場所に居た後にこの症状が出る場合は、補聴器を乾燥させ、その後試してみる。

◇ハウリング(ピーという音)がする
 ・補聴器の耳への入れ方に問題があるかもしれません。一度取り出し、もう一度やり直してみます。
 ・何度か補聴器を着け直してもピー、ピー音が消えない時は補聴器自体が耳型にぴったり合っていない事が
  考えられます。速やかに購入店で相談しましょう。
 ・補聴器が耳垢で詰まっている場合にもピー、ピーと音が鳴ります。補聴器を点検し、耳垢があれば取り除きます。
  又、外耳道に耳垢が溜まっていてもハウリングの原因となる為、これを除去します。
 ・音量調整付補聴器の場合、音量を上げすぎるとハウリングを起します。音量を下げて試してみます。
 ・器種によっては電波を発生させる家庭電化製品(蛍光灯やモーターを持つ製品)の傍ではハウリングを起します。


自分に合った補聴器を愛用していても聴力は年と共に衰え、低下し、又長い間には耳の形も変わり、補聴器も
部品が劣化したり、能力の低下を来している事もあります。年に一度は聴力検査と愛用器の点検を受け、最適の
状態で使用するように務めましょう。


■補聴器用電池
◇電池について 
 ・使用前にほこりや湿気を取り除く為に軽く布で拭くようにしましょう。
 ・使用中に短時間内に補聴器のスイッチを入れたり切ったりを繰り返すと電池の消費量が増え、寿命が短く
  なる為、無用なスイッチ操作は控えるようにします。
 ・就寝前や一定時間補聴器を使用しない時は電池を取り出しておきましょう。そうすれば補聴器の電池収納
  部分の乾燥に役立ち、又電池の長寿命にも役立ちます。
 ・寿命の切れた電池は直ちに補聴器から取り出すようにします。
 ・電池の寿命は、一般的に小さい電池程寿命は短く、大きくなればなるほど寿命は長くなりますが、使用器種、
  使用方法、温度(季節)により寿命は異なります。
 ・電池はメーカー、タイプにより寿命が大きく異なります。『補聴器愛用会』の電池テスト結果(「製品テスト:
  補聴器用電池」参照)も参考に寿命の長い電池の購入を心掛けて下さい。
  (一パック数百円のものでも、両耳装用で何十年も購入し続けるとなると、この差は軽視出来ません。)
 ・通常状態で使用した時の電池の平均寿命を確認しておき、使用中早めに突然電池が消耗し、寿命が尽きる
  場合は、補聴器側に問題があるとも考えられ、購入先で調べてもらう必要があります。
 ・補聴器用空気電池は長期間の保存は出来ず、良好な状態で保存された未使用の電池で寿命は2〜3年
  程度と考えられますが、例え使わなくても放電で寿命が短くなる事から、予備として保有する電池は半年間で
  使い切る量を目安として購入するのが賢明です。
 ・空気電池の仕組みは、電池に貼ってあるシールを剥がすと、電池の内部が空気中の酸素と触れ、これで
  空気電池のスイッチが入る仕掛けとなっており、一旦シールを剥がすと、例え貼り戻しても電池の働きは
  止められず、寿命を長らえる事は出来ません。
 ・電池の使用推奨期限の読み方ですが“05.2006”と表示されている場合、製造段階では2年先を表示する
  ので製造は2004年5月となります。
 ・電池は補聴器の“生命”ですが、思わぬ時、思わぬ所で無くなるのが電池です。常に予備の電池を携行
  するようにします。

◇電池の管理
 ・補聴器同様、電池の管理にも十分注意を払う必要があります。決して乳幼児の手の届く場所には保管しない
  事です。電池は飲み込むと有害で、そのような場合には直ちに最寄の大きな病院へ。
  (医療相談室で相談:時間外は救急外来:一般開業医では、異物を除去するのは難しい場合が多い)
 ・電池は薬(特に錠剤)と混じりあうような場所では決して保管しないようにしましょう。




  ★お願い
   「こんな事もある」、「これも知っておくと役に立つ」というあなたのその声を是非こちらへお寄せ下さい。





   

「調整型補聴器」の今日






「聴こえる」補聴器を求め二つの路を歩いて来ました。

「調整型補聴器」は
   未熟な調整技術のせいで確実に「聴こえ」が得られる可能性は極めて低く、

「調整不要型補聴器」は
   性能的に使える難聴者が全難聴者の1割程度と限られるものでした。


この状態が常態として延々と続いているのは異常と言えないでしょうか? 
今まで誰も何も言わず、何もやらなかった結果なのか、それとも様々試みた結果なのかは分りませんが、路々で
見聞きした補聴器事情の劣悪さは、恐らく、今日のような補聴器が出現した当初と比べ、何ら進歩していないか、
却って後退しているのではないでしょうか。
補聴器の技術面の進歩を除いては、、、。


“補聴器愛用者への路”は難所の連続で疲れませんか?ここまで来るともうぐったりです。
格好の木陰が見えてきました。一休みとしましょう。   


      おゃ、立て札が立ってますよ   何か書いてありますね。



皮肉なり

  「調整型補聴器」は人に問題あり、「調整不要型補聴器」は物に問題ありとは。


悲劇なり

  多くの認定補聴器専門店は「補聴器」は売れても、「聴こえ」が売れぬとは。


皮肉なり、そして悲劇なり

  最新技術の傑作、「調整型補聴器」を台無しにするのは、製造者と販売者自身とは。



その昔、時の政治や社会を鋭く、或は面白おかしく風刺する為庶民は落首を作りましたが、当時の作者が昨今の
補聴器事情を素直に言い表したものでしょう。


* * *           * * *



補聴器は耳の一部です。今日の補聴器を取り巻く現状は、補聴器愛用者として、その家族として、又消費者として
決して看過出来ず、又すべきものではなく、皆で真剣に考えるべき問題と言え、皆で考えれば何かヒントや答えが
引き出せるでしょう。その為には先ず、現状を正しく把握し、認識する必要があります。


■補聴器環境の現状
最初にお断りしておきます。世の中、決して好ましくない、信頼出来ないメーカーや販売店ばかりではありません。
「より豊かな音のある生活と人生を」を標榜し、「聴こえ」を求める者の声に耳を傾け、開発を続けるメーカーが
あり、又食事時間を切り詰めてまでより良い「聴こえ」の為に調整に打ち込み、遠方より飛行機で来店するような
補聴器販売店があるのは事実であり、現実です。しかし、圧倒的に少数です。

多くは、こんなところでしょう。メーカーにとある販売店を紹介され、そこで購入したものの調整に納得出来ず、
その不具合を当該メーカーに訴えたところ、一流とされるこのメーカーは自社社員をその店に送り込み、調整を
試みたものの不首尾に終わった、等は氷山の極々一角。


販売者の多くは無資格で、難聴も分からず、補聴器も分からず、技術も持たず、設備も持たず、自らのお粗末な
調整により製品が不適格品となったとの認識すら持たないのが実態です。
他方、メーカーはこれらの販売者の資格、技術、設備を問う事もせず、又調整技術を審査、評価する体制も持たず、
満足に調整されない“販売不適格”「調整型補聴器」を市場へ垂れ流し続けています。

この結果、一部では本来は優しく手を差し延べるべき立場の者が、寄ってたかって弱き者、困まっている者へ
不適格商品を高額で売りつけ、これを食い物にしている様が今日の姿となっています。


□補聴器購入者
今日の補聴器問題には補聴器購入者側の責任も大きく影響しています。 

メーカーや製品を選び、販売店(店員)を選ぶのは購入者です。購入者が自社製品に責任を持たぬメーカーや
資格の無い店を選ばず、又不適切に販売される役立たぬ製品を買わなければ問題は起きません。

賢い消費者は要らない物や使えない物、役立たぬ物には「NO」と言い、それらには決して手を出さない筈です。
そして、これがメーカーや販売店に反省を促し、製品、技術、品質、サービスの維持、向上に大きく役立ち、
ひいては市場の浄化にもつながって行きます。
「買ってもらえない製品は造られる事もなく、又売られる事もない」からです。


補聴器は、自らの生活と人生をかける製品です。購入者にとって難聴と補聴器の基本的な知識と怠り無い準備が
あってはじめて補聴器を購入する“資格”が出来ると言えます。知識と準備なくして、丸腰でふらっと販売店へ
入ったり、安易に“通販もの”に手を出していませんか?

もしそうなら、これが今日の補聴器問題の根源と言えます。これでは、店頭で伝えるべき事は伝えられず、
確認すべき点も分からず、適切な判断は出来ず、結果として相手のペースで話が進み、不心得な売り手で
あればこれ幸いとばかりにつけ込まれます。又“通販もの”では歯の浮くような言葉に踊らされ、知識さえあれば
簡単に自分には合わないと分る使えない補聴器を押し付けられ、泣きを見る事になります。

補聴器購入者は自分の難聴や補聴器について十分理解し、情報を集め、足で適切な店と店員を探し出し、
メーカーの販売店への調整技術指導や研修実態にも鋭い批判の目を向ける賢い消費者となり、「聴こえない」
補聴器に対してはハッキリ「NO」と言う事です。そしてこの「NO」の数が増え、声が大きくなれば現状は否応無く
改善されます。

補聴器購入者の“賢さ”レベルが10点満点の3点なら、メーカー、販売店の考えや、営業方針もその程度の
レベルに留まり、不健全な販売環境を助長する事になります。このレベルが7、8点以上になれば、「最高」、
「優良」な者のみが市場に残れ、「普通」は青息吐息、「それ以下」は退場となります。


            これからは補聴器購入者がメーカーや販売店を賢く、厳格に選ぶ時代です!!



□補聴器メーカー
自社の製品に誇りと責任を持つ企業は販売店選定に当っては、例外なく資格要件を厳密に審査し、選別し、
取引開始後は厳しく管理、監督の目を光らせるのが常ですが、メーカー自ら十分な調整技術の研修体制と
要員を持たず、又聴力検査や相談、試聴、修理、保証体制等無頓着に“通販もの”補聴器で安易にその場
限りの売り切り商売に励むような企業、業界では馬の耳に念仏でしょうか

◇聞こえに困窮する購入者が何十年も劣悪な環境、状態に置かれているにもかかわらず、現状に背を 向け、
  何ら具体的な改善策を打ち出さず、その結果、購入者が高価で役立たぬ製品を買わされ続け、或はだまされ
  続け、或は泣き寝入りさせられ続け、そして難渋させられ続けている状態を放置し続けている業種、業界は
  他にありますか?

◇一部を除き殆ど適切に調整出来ない「調整型補聴器」を販売させる結果、品質保証付き製品を売る店は全国で
  たった3割程、残り7割程の店では欠陥品を平気で、堂々と売る“いかさま商売”を続けている業種、業界は
  他にありますか?

更に、加えれば、
◇メーカーによる薄っぺらな知識偏重型講習で実践的な調整技術が身につきますか?
  「参加すれば調整技術が習得出来る」や「修了書をもらったので調整技術はマスターした」との誤解を参加者に
  与えていませんか?その修了書は寝ていても貰える紙切れではありませんか?

◇あなたの取引販売店でこんな考えがまかり通っていませんか?
  「聞こえ」と「聴こえ」の違いも分からず、調整技術も無く「メーカーの言う要領でオーディオグラムに基づき
  補聴器を機械的、事務的に設定すれば調整は完了。それで文句を言う客は、客が間違ってる」、という考えを
  持つ店員は取扱店の中にはいませんか?

◇本末転倒的な補聴器開発を行っていませんか?
  現場の調整レベルの低さを十二分に認識するが故に、その低〜い調整技術レベルに合わせ、せっかくの
  高性能のデジタル補聴器の性能をぐ〜んと落とした製品を開発し、市場への投入を目論んでいるメーカーは
  ありませんか?(色々と小耳に挟む話の中でも最低次元での最高傑作)

◇基本に立ち戻らないのですか?
  いやしくも対価を受取り補聴器を販売する事業を営むのであれば、新たな調整技術が必要となる新型補聴器の
  開発を止めてでも、先ず、現状の調整環境を整備し直し、既存品を本来の「聴ける」販売“適格”商品として
  売れるようにするのが企業のお客様に対する姿勢、態度、責任ではありませんか?


                  メーカーの考課表が必要かもしれませんねぇ
                  どんな結果が出てくるのでしょうか?     



喜劇なり

  技術が進み、「聴こえ」が取り残されるとは。


悲劇なり

  ハード(補聴器)万能、ソフト(調整技術)不在に泣く日本の難聴者。




* * *           * * *


「調整型補聴器」の問題点と対応策




■問題点
「調整型補聴器」は最新のテクノロジーが作り上げた素晴らしい逸品で、聞こえの向上に大きく貢献し得るもの
ですが、その素晴らしさが分かっていてもそれを選ばない、或いは選べない人達が大勢いる現実をしっかり
認識し、何故なのかを考えてみる必要があります。

この問題を認定補聴器専門店の所在地と製品価格、補聴器の調整方法の三つの観点から考えます。

□その1 認定補聴器専門店の分布
「調整型補聴器」は全国の認定補聴器専門店(以下、認定店と表記)の中の更に“3割店”で購入するのが必須
となりますが、その前に全認定店の分布状況を調べてみましょう。

◇認定店の少ない都道府県
 認定店の少ない都道府県は次の通りで、県内に5店未満の県は26県にも上ります。

 県内に1店  岩手   滋賀   奈良
    2店  茨城    山梨   徳島   宮崎   沖縄
    3店  石川   三重   佐賀   大分
    4店  秋田    山形   富山   福井   鳥取   島根   高知   熊本
    5店  青森   群馬   山口   香川   愛媛   長崎

◇認定店の所在地
 当然の事ながら各都道府県とも人口の多い県庁所在都市及び第二、第三の大きな街に集中しており、それ以外
 の場所には殆ど存在しません。
   県庁所在都市にある認定店舗数     193店 (52%)
   県内第二、第三都市にある認定店舗数  178店 (48%)

 そして、全国の認定店の存在する街(市)の居住者総数と認定店の無いその他の地域(市)に住む居住者総数の
 人口を比較するとこうなります。
   認定店のある市に居住する総人口  約62,575,000人(49.1%)
   認定店のない市に居住する総人口  約64,860,000人(50.9%)>
                       (2002年国勢調査:日本の人口127,435千人)

◇“3割店”の存在
 以上より、凡そ全難聴者の半数は認定店を生活圏内に持たない地域に住んでいる事が分かります。そして、例え
 生活圏に認定店があっても、そうです、その店が「“3割店”か否か」という大問題が立ちはだかります。特に限ら
 れた大都市を除く地方都市には認定店が一店舗のみという所も多く、生活圏内に“3割店”を持たない難聴者が
 あちこちで溢れ返っていると考えられます。


結論としては、難聴者の半数強は認定店が生活圏内に無く、物理的に「調整型補聴器」が買えず、残り半数程の
者の相当数は「調整型補聴器」を買いたくても生活圏に“3割店”が無い為に聴こえる「調整型補聴器」が買えない
と言う現実の姿が浮かび上がってきます。


□その2 補聴器の価格  
◇価格構成
 補聴器の価格は大きく分けると、メーカー利潤を含む補聴器本体の価格と、販売店用の主として調整の為の
 費用(人件費、技術料、耳型採り)から成り立っています。メーカーにより器種によりこの構成比率は異なり
 ますが、米国の資料等から判断して、補聴器本体の価格は定価の何分の一であり、非常に安価なものと
 言えます。

 一方、価格のかなりの部分を占めるのが調整料で、これが問題の温床になっていると考えられます。調整料は
 補聴器価格の中に含まれる包括型となっている為、当該金額は単独では表れず、補聴器購入者はその調整が
 どんなに素晴らしくても、逆に、世にもお粗末なものであっても一律に同じように高額な調整料を支払わねば
 ならぬと言う不合理なものとなっています。

 調整技術を持たない、或いは軽んじる店(調整者)にとってこれ程有難い価格体系は無いでしょう。調整結果は
 客観的に評価出来ない為、資格や調整技術が無くとも調整の“真似事”をし、売れば価格中に占める割合の
 大きい調整料がそっくりそのまま棚ぼた式で、あぶく銭として転がり込んで来る訳ですから、何を好んで額に
 汗して学び、研鑽する必要があるでしょう。無知な“カモ”が一歩店内に入れば、専門用語やもっともらしい口上
 を並べ立て、高価な「調整型補聴器」を押し付ければ、売上げは伸び、笑いが止まらず、止められない商売と
 なります。

◇販売台数
 経済原則では、「製品をより多く作り、より多く売れば、量産効果で製品単価は下がります」。 しかし、現状は
 今までのメーカーと販売店の悪しき姿勢、対応、取組みの結果、お客様に見放され、販売台数は伸びず、需要に
 対し供給が極端に少ない為、量産効果によるコスト逓減の経済原則が全く活かされず、これが価格の高止まりの
 一つの要因となっています。

◇購入者の事情
 「調整型補聴器」の多くは高額で、両耳装用となれば車も買える金額となり、簡単に購入に踏み切れません。
 ましてや、高齢の難聴者になれば深刻な問題となります。人は歳を取れば難聴になる可能性が高くなり、
 補聴器を必要とする年配者は年々増えますが、多くは年金生活者です。

 厚生労働省が想定している標準世帯(平均的な賃金で夫が40年間サラリーマンで、妻は勤労経験なしの夫婦)
 の場合、年金の月額は約23万8千円で、一方、夫婦一ヶ月の平均消費額は25万円としています(2003年11月
 現在)。そして、今後給付水準は下がり続け、生活が圧迫され、これからは年配の難聴者の方々も生活費を
 得るべく補聴器を耳に働かざるを得ない事も十分に考えられます。

 片耳装用、20〜30万円、両耳装用、40〜60万円
 年金生活の夫婦共々両耳に装用するとなればこの方達はどう生活すればよいのでしょうか?


□その3 調整について
◇調整風景
 『あ〜、あ〜、聞こえますか?』      (「ハイ。」)
 『あ〜、あ〜、これは聞こえますか?』    (「聞こえます。」)
 『聞こえ具合はどうですか?』       ( 困ったなぁどう答えればよいものやら、、、?)
 『先程の聞こえと比べるとどうですか?』  ( 変わったような、変わらぬような、、、。)
 『どんな具合に聞こえますか?』      ( どう表現すればいいものか、、、?)
 『これで聞こえが変わりましたか?』    ( 、、、、何か変わったかな?)
 『高音を調整しましたがどうですか?』   ( はて?)
 『今度は少し低音を調整しましたが?』   ( まぁ、こんなものと返事しておくか
 『これでどうですか?』          ( 、、、? )

 『、、、??? 』            (「二度目のをもう一度お願いします。」) 

 以上は筆者の体験を踏まえた調整風景ですが、最先端技術の粋を凝らした「調整型補聴器」も調整段階になると
 この有り様。スーパーコンピューターで探査機を火星に送り込む時代に、まるでソロバンパチパチかせいぜい
 計算機の世界。

 「聴こえ」は感覚的、主観的なもので料理の味同様、言葉や数字で的確に表現出来ません。ましてや、子供や
 お年寄りの場合、どの程度の適切な反応や返答を期待し、そしてそれがどの程度の確実性、信頼性のあるもの
 として調整を行っているのでしょうか?

 成人の場合でも聞こえの適切さが分からぬ不確かな状態で本人が発する断片的な言葉に従い、調整者があれ
 これ弄繰り回し、最後は、「これで、良くなった筈です」と言われたところで、本人は調整の適切さの判断と評価は
 出来ません。そして、「こんなものなのかなぁ?」、「もっと良くなるのでは?」との疑念を抱きつつ店を去り、
 数日経たずしてまた店に舞い戻り、これを繰り返す事となります。

 「調整で自分の『聴こえ』を創る」と理屈では分かっていても、普通の神経の持ち主ならやがて調整に“付き合う”
 意欲を失い、そのまま使い続けるか、机の引出し行きとなり店から足が遠のきます。しかし、店側では「最近、
 あのお客さんは見えなくなったが、どうやら調整は上手く行ったようだ」となり、とんだすれ違い。

◇調整の基準
 調整には「基準」が必要です。その基準とは補聴器使用者の「聴こえ」具合と選択した補聴器が最適に調整されて
 得られる「その聴こえ」であるべきですが、これを知り、客観的に表すのは物理的に不可能です。

 よって、調整者は絶対的基準が無い状態で最終的には調整者の独断も交えた判断で調整を繰り返し、一方、
 補聴器装用者は本来得られる(期待出来る)「聴こえ」が分らず、単に調整の都度聞かされるその範囲内での
 比較に終始し、日々の体調や気分で変わる「聴こえ」と、その時の雰囲気や調整者の技術力、経験により大きく
 左右される不安定、不確実な調整を押し付けられる事となります。

◇調整技術
 音響工学、電子工学、通信工学、情報工学、解剖学、薬理学、生理学、生体工学、大脳生理学、心理学、
 社会学、発達心理学、物理学、生物学、冶金学、耳鼻科学、自然科学、、、  
 
 人の「聴こえ」の理解と補聴器の調整技術を究める者に必要と考えられる知識を列挙したものですが、これらの
 知識の他にパソコン操作や調整器の取扱い、更には、これが問題になってきますが、音に対するこだわりや
 認識のあり方、或いは感性や音感の良さ、それに人に興味を持ち、人の機微に通じている事等も必須の要件と
 なります。

 この辺りの事情を調整のエキスパートに言わせれば、
  「調整の世界は感性が物を言う世界で、駄目な人はいくらやっても駄目だと思います」
 となります。

 又、基本的な知識や技術を修得したと言っても車の免許同様出発点に過ぎず、実際に幾人もの補聴器購入者を
 “モルモット”に調整訓練しなければ技術は本物にならず、又保有する技術も磨かねばペーパードライバーと
 なります。
 

■問題点への対応策
ではどうすれば良いのか、、、、、、
                     がポイントとなります。

「調整型補聴器」は製品としては性能、品質は優れているが、問題は、第三者が調整するという「その調整方法」と
「その技術」にあると言え、対応策としては次の三つが考えられます。

□〔対応策 その1〕
  【全調整技術者の技術を満足いくレベルまで引き上げる】

う〜ん、、、理論的には、、、そうなんでしょうがねぇ、、、しかし、、、考えるだけで、、、
ぞっとします。又こちらもそこまでは暇でもなく、直感的に言えば、人類を火星に送り込み、
無事地球に戻す方が遥かに容易いでしょう。


□〔対応策 その2〕
  【第三者が全販売店の調査を行い、信頼出来る調整技術を持つ者を選び、公表する】

この実現には
 @審査実施の為の組織(中立的なもの)、人員、資金の確保  
 A合理的、且つ客観的な審査基準の設定
 B全店舗での同等の審査環境の確保
 C知識、経験、資格を有する複数の同一人物による公正無私な審査の実施
等が必要と考えられます。

これは【対応策1】にも当てはまるものですが、どれ一つとっても要件を満たすのは極めて困難、或は不可能と
考えられ、実施検討に入る遥か手前で話しは立ち消えになるでしょう。


* * *           * * *

号外!!


          【対応策1】と【対応策2】が実現しないと言う事は、、、

              『中途難聴者に希望の明日は来ない


☆第三者の調整を前提とした「調整型補聴器」の延長線上では、全難聴者が待ち望む「何処ででも、確実に、
  安心して『聴こえ』が買える明日は何年、何十年、何百年待っても来ない」と言う事です。


☆第三者の調整を前提とした「調整型補聴器」では、必然的に、難聴者はいつまでも「難聴の負担」と「第三者に
  よる調整の災い」の二つの重荷を背負い続けなければならないと言う事です。

* * *           * * *



□〔対応策 その3〕
  【性能、品質が優れ、操作の容易な「本人調整型補聴器」を開発する】

残る対応策はこれのみとなります。


あなたは、身近な両親、兄弟や自分の子供、或いは恋人や親しい友人の「聴こえ」が分かりますか?
  分かります?
  分かりませんか?

分からなければ、同様に、誰もあなたの「聴こえ」は分からないと言う事です。


◇「聴こえ」の基準と補聴器の調整方法 
 「聴こえ」は主観的、感覚的なもので山ほど理論、図、数字、を並べ立てたところで本人の「聴こえ」は客観的に
 説明出来ません。

 それ故に、他人が他の人に行う調整の基準は作れず、又存在しません。

 しかし、「聴こえ」が主観的、感覚的なものであれば本人が自分で自分の「聴こえ」の基準を作るのは容易な
 事です。本人が感覚的に快適で、聴感覚的に納得し、聞く負担がなく、好ましく、満足と感じるその「聴こえ」が
 その人にとっての相応しい「聴こえ」であり、この「聴こえ」こそが正にその本人にとっての「聴こえ」の基準と
 言えます。

 〔問〕 どうすれば本人の「聴こえ」の基準に補聴器を合わせられますか?
 〔答〕 本人が補聴器を調整すれば出来ます。そして、これ以外に方法はありません。

 〔結論〕補聴器の調整は、補聴器愛用者本人がすべきです。



然るに、現実は、僅かな回数店を訪問し、緊張を覚える雰囲気の中で、店員に遠慮し、気を使いながら、自分の
「聴こえ」の基準も分からず、数分から数十分程度の時間で、もういい加減にしろと書いてある顔を見ながら、
不確かな言葉で依頼し、不安、不信感を持ちながら調整を受けなければなりません。
そして、その結果に不満、不具合を感じても全く手が出せず、自分の「聴こえ」を信頼も出来ぬ店に預けっぱなしに
しなければなりません。

   こんな調整方法が正しいのでしょうか?

     こんな調整方法があるべき姿なのでしょうか?

       これからもこんな調整方法を続けるのが適切なのでしょうか?


* * *           * * *


                                 『びっくりです

丁度この章を作成中に、お便りが舞い込みました。ご本人自身が難聴で補聴器を使用する補聴器販売店の
現役店員の方です。ご本人の了解を得、ここに原文のままご紹介します。

「仕事で13年前から無理やり補聴器を扱っていました。がある日を境に補聴器を必要とする身になりました。
当時補聴器にはあまりよくないイメージがありました。現在仕事中だけ使用しています。

しかし調整に不自由を感じた事はありませんでした。それは自分で調整出来るからです。毎日調整器で体調に
合わせて調整しています。 

* * *           * * *

◇調整の実態

皆さん

相手の「聴こえ」の分からぬ第三者が現実的に
どのようにして
調整を行っているかご存知ですか?





『第三者による「調整型補聴器」の調整の実態』

 調整者はオーディオグラムに基づき、種々の調整を行いますが、オーディオグラムで分かる事は、七つの周波数の
 最小可聴閾値(音が聞え始めるレベル)のみです。真にその人がどういう聴こえ方をしているかは、調整者は全く
 知る由も無く、経験と相手の表情、反応、その場の雰囲気、状況から想像するのみです。

 又、調整に当って適用されるルール的なものがありますが、これは過去の経験値や統計的な数値に基づき、
 「そうすればより相応しい結果が得られたケースが多かった」と言うものに過ぎません。

 よって、調整は、「聴こえ」のすべての特質を理論化、数値化するのは不可能なので、仕方なくこれらをオーディオ
 グラムに“代表”させて使用しており、オーディオグラムの数値で補聴器を設定した後は、調整者の想像力と経験と
 勘によって微調整を繰り返しています。

* * *           * * *



如何ですか?

これで補聴器にオーディオグラムの数値を設定するだけでは最適の「聴こえ」が得られない理由がお分かりに
なったでしょう。


現在行われている第三者による調整方式は、次の二つの段階で調整が行われています。
そして、問題となるのは第二ステップです。

★第一ステップ
  補聴器にオーディオグラムの数値を設定する。

   → 調整技術の基礎知識があれば誰でも出来る。

★第二ステップ
  第一ステップ後、補聴器使用者の反応を見ながら微調整を繰り返す。

   → 調整者の感性、音感、想像力、勘、経験、性格、意欲、関心等が関係し、更に研究心、努力、忍耐力等が
      求められる。

   → 調整技術を磨くには場数を踏み経験を積む必要がある為、店で調整訓練用の“モルモット”となる補聴器
      購入者が多数確保出来る事が必要となる。


  第二ステップでは本人の天分や持って生まれた性格的な要素と努力、意志、意欲が関わり、
  且つ、十分な調整技術の練習が出来る環境が求められます。

  そして、この条件下でのみ、
   → それなりの数の平均的な調整が行える調整者が育つ。
   → この中の一部は常に高い確率で確かな調整が行える調整者に成長する。
   → この中の極一部は、緻密で“芸術的”な調整が行える“人間国宝”的調整者となる。



以上が教える事は、
  ・知識、技術付与のみでは調整技術者は養成出来ない。
  ・本人に感性や適性、研究心がなければ腕の確かな調整者が育つ事はあり得ない。
  ・販売台数の少ない店で一人前の調整者が育つ事はあり得ない。
  ・時計やメガネ、電化製品販売の片手間仕事で調整者が育つ事はあり得ない。

よって、以上から容易に現状を見通す事が出来ます。
  巷で“調整問題”が溢れ返っているのは何ら驚くに値せず、至極当然の事であり、もし現状で“調整問題”が
  起こらなければ奇跡としか言いようがないでしょう。



〔まとめ〕

  「聴こえ」は本人以外には分からない。

  調整者用の絶対的な調整基準やルールは作れない。

  調整には調整者の天分、感性、性格的な要素の占める割合が大きいが、現在の調整技術者養成は知識、
  技術付与に偏重しており不適切で、内容的に不足している。

  しかし、その不足分は講習や研修では補えない。  

  故に、
   第三者の調整では最適な「聴こえ」は保証されない。

  故に
   補聴器愛用者自ら調整を行う必要がある。




     

「調整型補聴器」の明日




今日の補聴器問題は、中途難聴者の圧倒的多数が対象となり、「聴こえ」の補正に必要欠くべからざる機能を
提供する「調整型補聴器」の調整を第三者が行うと言う「その方法」と「その技術」に尽きると言えます。

分からぬ他人の「聴こえ」を、
 絶対的な基準も無く、
 単に本人の音の聞こえ始めのタイミングを示すに過ぎないオーディオグラムの数値と、
 経験や統計値に基づく調整ルール的なものと、
 本人の感覚的、主観的な反応と、
 調整者の経験、感性、感覚、勘等に基づき
第三者が調整を行うが故の必然的な問題です。


現在“満足”とされている調整も、実態は、
 一部は“人間国宝”的調整者が行った芸術的調整によるものと、
 一部は補聴器愛用者と調整者の粘りと頑張りと汗で創り出した共同作業的調整によるものと
 一部はたまたま上手く行ったと言うまぐれ的調整によるものと
 一部は不適切な調整にもかかわらず本人が“満足”としている調整によるもの
の結果と言えます。


現在の販売店での調整は、商品販売の為の“通過儀式的”な行為でしかなく、多くは幼稚園児が精密器械を弄ぶ
ようなもので、その調整技術の巧拙が問われず、補聴器購入者に不適切な調整を一方的に押し付け、“調整料”を
返金せず、何ら責任は負わず、痛痒を感じず、他人事で済ましている事が問題とされるべきものです。

この調整方法では、例え本人が「ぴったりです」と言っても、たまたまその場で、その雰囲気の中で、その時の
体調、気分、感覚でそう感じただけで、この条件が変われば、「ぴったり」が「合点が行かぬ」、「何かおかしい」に
いつでも変わり得るものです。

それ故に、現在の調整方法では、何度も店通いせねばならず、又調整回数を増やせば「聴こえ」が確実に高くなる
保証もなく、調整の度に変わる「聴こえ」に困惑と不満、不信を積み重ねる事となり、自分の「聴こえ」の管理すら
出来ない理不尽な状態となっています。

現在の「調整型補聴器」は十分な性能を備えており、新製品の開発を遅らせ、止めてでもソフト面(調整技術)の
充実を図るべきではないでしょうか。例え、より優れた製品が開発されようとも最適に調整されなければその能力や
機能は猫に小判です。

現状では10の能力を持つ「調整型補聴器」も低い調整技術故に5程度の能力しか引出せていないとすれば、
15の能力を持つ新製品を開発し相変わらずの低い調整技術で7.5の能力を引出すよりも、調整ソフトを充実し、
扱いやすくすれば能力10の「本人調整型補聴器」で容易に9や10の能力が得られます。

この目的達成には、補聴器愛用者本人が簡便に、且つ確実に調整出来る調整技術の確立が求められます。この
技術が確立されれば、希望する本人が自分で調整出来るのみならず、必然的に販売店での調整も改善され、
自己調整を希望しない、或いは不安を覚える人達は販売店で現状よりは遥かに信頼出来る調整が受けられる為、
より満足出来る「聴こえ」に大きく近づきます。


「聴こえ」に満足すれば製品に満足します。
 製品に満足すれば満足した消費者となります。
  満足した消費者が増えて始めてメーカーと販売店は消費者を味方とする事が出来ます。


■「本人調整型補聴器」について
□本人による補聴器の調整
本人自らが補聴器の調整を行うとどうなるでしょう?

現在、店頭での調整は次の二段階で行われています。
   ★第一ステップ
      オーディオグラムの数値に基づき補聴器を設定する。

   ★第二ステップ
      その後、調整者が補聴器使用者の反応を見ながら微調整を繰り返す。


◇第一ステップ:オーディオグラムの数値の設定
 オーディオグラムの数値を補聴器に設定するのは、所定の方法で行えば店員が行っても本人が行っても何ら
 変わりはありません。

◇第二ステップ:微調整
 ここが大きなポイントとなります。そして、ここが肝心なポイントです。
 この部分では本人調整と他人調整ではその内容と調整結果に対する判断と対応に大きな差異が出ます。

 本人が自己の責任に於いて行う最適の「聴こえ」探しの調整は真剣そのもので、間違っても耐え難い「聴こえ」に
 調整し、この状態で使い続ける事はあり得ず、不具合を感じれば毎日でも納得いく迄手軽に調整出来ます。
 又、子供や年配者に対しては両親や家族が身近で、こまめに何度でも気心の知れた者を相手に本人が納得
 する迄、たっぷり時間を掛け、しっかりした親身の調整が出来ます。そして、もし自分の調整に疑問や不具合を
 感じれば、速やかに資格ある販売店で相談或いは調整を受ければ解決出来ます。


 どちらが安全で、確実で、納得出来る、相応しい調整方法でしょうか?

 A方式
  調整は販売店でのみ取り扱われ、補聴器使用者は調整者の調整技術、経験、感性を含めた適性を客観的に
  確かめられず、他方、調整者は本人の「聴こえ」が分からず、調整基準も持たず、緊張を強いる環境下で、
  不確かな断片的な言葉や反応に基づき、短時間で、商行為の一環として行われる調整

                    と

 B方式
  販売店での調整が受けられると同時に、本人も自らの責任で、自宅でくつろいだ気分で、自分の耳で、自分の
  ペースで、自分の「聴こえ」の基準に合わせ、納得いくまで試み、その調整結果を即、確実に自分で判断出来、
  納得が出来ない場合は、何度でもやり直しがきく調整


B方式が求められ、且つ本来あるべき調整方法と考えて何ら異論は無いでしょう。
これで補聴器愛用者は納得出来る「聴こえ」が得られます。
そして、これが出来ない事そのものが今日の調整問題なのです。



「とんでもない、こんな複雑で難しい調整など本人に出来る訳はない」や「素人が調整するとかえって耳を痛める」
との声が聞こえて来そうです。

                あって然るべき反論です。

但し、それを問題とするのであれば、「現在及び将来とも第三者による調整には決して過ちが無く、何処の、誰が
行ってもその調整は常に最適、最善、最高のもので、全ての『調整型補聴器』愛用者を満足させる調整が出来る」
事を客観的に証明する必要があります。


□「本人調整型補聴器」の開発
ところで、「本人調整型補聴器」は技術的に開発は可能でしょうか?

この製品は既にあります。

「調整型補聴器」は既にあり、これに調整者が使用する調整器や調整用ソフトを補聴器愛用者が扱い易い様に
改良するだけで、「本人調整型補聴器」は出来上がりです。そして、同じ音や声を連続して聞きながら調整が
出来るように基準的な音声を録音したCDがあれば、それを聞きながら調整すれば「聴こえ」具合が確認出来ます。

調整器や調整用ソフトは使い手視線での開発に徹し、大前提として調整ミスを抑える万全の安全対策を講じる
事です。オーディオグラムの数値を入力した時点で必要以上の音圧が出ない設計とした上で、操作の容易さを
最大限に追及したものであれば補聴器愛用者のみならず、調整に戸惑う多くの販売店の方々にとっても大いなる
福音となります。


□価格
既存の調整器や調整用ソフトは販売店専用のものである為、需要が限られ現状では高価です。補聴器愛用者用
調整器やソフトが開発されれば、当然、新たに大きな市場が開拓出来、新規需要が見込め、価格もこなれたものと
なります。 少し、補聴器市場を見てみましょう。

◇補聴器市場
 ♪顧客数
  補聴器業界にとっての顧客は難聴者でありその難聴者の数が顧客数となります。各国の統計(「聴こえと
  補聴器」を参照)によれば、先進諸国では種々の実態調査に基づき難聴者の数を人口の約10%強として
  いますが、我国はかなり以前より5%(約600万人)となっています。
  高齢化社会を迎えている我国では必然的に老人性難聴者が増えており、従来以上に難聴者の数が増えて
  いる筈ですが、未だ5%です。我国には難聴者が少ないと判断出来る固有の要因や理由があるのでしょうか?

  そうでなければ、我国の難聴者数も人口の約10%、約1、200万人とするのが妥当な筈で、顧客数は現在
  考えられている約600万人の優に二倍の凡そ1、200万人と考えられます。

 ♪補聴器の必要性
  難聴者は誰しもより良い「聴こえ」を希求しており、難聴の治療が出来なければ補聴器が唯一無二の対処方法
  となります。故に、補聴器の必要性は絶対的です。

 ♪補聴器の市場
  製品の必要性は絶対的であり、それを必要とする対象者は人口の約10%、1200万人程度と考えられ、
  諸事情により補聴器を使用しない(出来ない)人達を減じても優に1000万人程度の消費者が存在する魅力
  たっぷりの“黄金の市場”です。


<参考> 
2003年度の補聴器市場(13メーカーが加盟する日本補聴器工業会発表)
   出荷台数       447、757台
   出荷金額   267億4、900万円

 *補聴器一台当りの金額
   267億4、900(万円)÷447、757(台)    = 約59、740円
                        (アクセサリー類も含むと考えられる)
 *一社当りの出荷台数
   447、757(台)÷13(社)            = 34、443台
 *一社当りの売上高
   267億4、900(万円)÷13(社)        = 20億5、800万円

本来の購買対象者と考えられる約1、000万人の難聴者の内7割の700万人が一人一台購入
するとすれば、 
 *一社当りの売上高
   59、740(円)x7、000、000(人)x1(台)    =4、181億8、000万円
   4、181億8、000万(円)÷13(社)       =  321億6、800万円 


◇価格
 今ある調整器や調整用ソフトを基に、補聴器使用者仕様の製品を開発し、これをあまねく普及させれば量販
 効果が得られ、年金生活者でも容易に手の届く商品となります。ハイビジョンも薄型テレビも出始めは3桁万円
 台と高価でした。

 そして、価格は器機類と調整技術を明確に分離し、三本立てとし、調整技術は有償とすべきです。
   器機類
    ☆ 補聴器本体
    ☆ 調整器、又は調整ソフト及び調整用“基準音声”CD

   技術
    ☆販売店での調整

 このように器機類(ハード)と調整技術(ソフト)を完全に分ければ、器機類は販売が伸びれば量販効果で単価を
 容易に下げる事が出来、価格の低廉化で新たな需要の呼び込みも期待出来ます。そして、当然の事ながら
 購入者は希望に応じた必要な商品が購入出来ます。但し、調整は対価に値するレベルの技術がある事が
 必須で、調整者の資格、技術を客観的に厳格に審査し、それを満たす者のみが取り扱えるものとする必要が
 あります。

◇補聴器購入者と調整と商品選択
 例え「本人調整型補聴器」が広く市場に出回っても全ての購入者が自分で調整する事はあり得ず、子供や
 高齢者、“器械オンチ”や自己調整を望まない人等最初から販売店で調整を希望する人達 と自分で調整して
 みたものの上手く行かず販売店に調整を依頼するケースが無数にあると考えられます。

   自分で調整を希望する人
    ☆補聴器本体 + 調整器、又は調整ソフト及び調整用“基準音声”CD

   販売店で調整を希望する人
    ☆補聴器本体 + 店頭調整

   自分で調整を希望したものの上手く行かず販売店で調整を希望する人
    ☆店頭調整

◇販売店と調整
 「本人調整型補聴器」は補聴器愛用者にやさしい製品であると同時に、販売店にもやさしい製品となります。
 調整ソフトは補聴器愛用者を基準に開発されたものである為、調整は当然販売店員にとっても容易なものとなり、
 店頭での調整の信頼性が高まります。 そして、「本人調整型補聴器」は多くの中途難聴者の賢い選択の対象
 となり、市場が何倍にも拡大し、販売店の経営は軌道に乗り、専業店が主流になると考えられます。

 しかし、販売店側の事情として如何に調整器や調整ソフトが扱いやすくなったとはいえ、調整の取扱いを希望
 しない店や、又希望しても適性、技術に欠ける店もある筈です。

 【調整取扱い店】
  「本人調整型補聴器」を開発・販売するメーカー間で調整技術者育成の為に共同で知識偏重とならない実践的な
  研修の基本内容を策定し、これに基づき各社が固有の内容を盛り込んだプログラムを開発し、必要且つ、十分な
  研修を行う必要があります。

  同時に各社間での統一された販売店の資格要件、並びにその評価基準と審査要領を定め、標準化する事が
  求められます。そして、取扱いメーカーは当該審査基準に基づき調整取扱い販売店を審査し、合格店を公表
  します。

  「本人調整型補聴器」販売に当たっては、医師の診断書及びオーディオグラムを確認し、本人が調整を希望する
  場合には診断・検査結果に基づきその購入者に相応しい調整要領についての十分な説明や指導が出来る
  ものとします。
  
  認定後は定期的に研修と評価を行い、不適格となれば即、資格を取り消すと同時に、認定店で調整を受けた
  補聴器愛用者から相談や異議申し立てがあれば、速やかに対応、対処する為の窓口と体制が必要な事は
  言うまでもありません。

 【調整非取扱い店】
  この種別の店では「調整型補聴器」の取扱いは一切行なわせず、「調整不要型補聴器」の取扱いに限定します。

  かといって無責任に「調整不要型補聴器」を取扱わせるのではなく、業界全体として「調整不要型補聴器」が
  適合する難聴について十分な研修を行い、販売時には購入希望者に難聴の種類を明示した医師の診断書と
  オーディオグラムの提示を求め、その購入者に適するか否かの確認と書類の写しの保管を義務づけ、メーカー
  は納品の都度販売台数に応じた写しがある事を確認する必要があります。


この環境が整えば、補聴器愛用者は安心してメーカーと、製品と、それに相応しい店が選べます。 


「調整型補聴器」の
取扱いをしない店
「調整型補聴器」の
取扱いをする店
「調整型補聴器」 相談
耳型採り
調整指導
店頭調整
修理・アフターケア
「調整不要型補聴器」 相談
修理・アフターケア
    ○:取り扱いが出来る   X:取り扱いが出来ない


□「本人調整型補聴器」の効果
「本人調整型補聴器」は本人参加型補聴器です。現在の販売店による一方通行的な調整ではなく、本人自身に
よる調整への路を拓き、これにより
   ♪ 本人による調整
   ♪ 販売店による調整
   ♪ 本人+販売店による調整
と、調整の選択の幅を大きく広げます。


その結果、
◇調整はソロよし(本人か販売店任せ)、又デュエットもよし(本人+販売店)で理想の双方向調整が実現し、
  調整問題は過去のものとなります。

◇調整禍を振りまいた第三者「調整型補聴器」は消費者の賢明な選択の対象とはならず、やがて舞台からの
  退場を余儀なくされます。

◇自分の「聴こえ」探しが容易で確実となる為、大多数の難聴者の「聴こえ」が飛躍的に向上し、補聴器が身近な
  ものとなり、補聴器愛用者で溢れかえります。

◇生活圏内に認定販売店が無くとも自作の確かな「聴こえ」が得られます。

◇補聴器愛用者と家族や周りの人達にコミュニケーションと笑顔が戻ります。

◇補聴器の調整に関わる負担が軽減され、今後カウンセリング活動が期待される言語聴覚士の負担も軽くなり、
  活躍しやすくなります。

◇販売店員の調整技術の習得が容易となり、調整に対する信頼性が向上します。

◇調整が対価に値する技術となり認定販売店では新たな“商品”として収入源となります。

◇より良い製品を廉価で提供するメーカーは補聴器愛用者とその家族から感謝の金メダルと大きなビジネス
  チャンスが贈られます。

◇「本人調整型補聴器」は多くの新たな顧客を獲得し、メーカーや販売店を潤し、補聴器愛用者に“普通”の
  生活をもたらし、社会を明るくします。

◇「本人調整型補聴器」は補聴器市場を健全化し、活性化し、補聴器普及を推進し、我国の補聴器先進国
  仲間入りの望みを容易に叶えます。


□「本人調整型補聴器」への取組み
明日の補聴器とでも言うべきこの補聴器は造り手と売り手と使い手の三者がそれぞれの立場で力を出し合い、
より良い「聴こえ」を勝ち取ろうとするものです。

          そして、この明日の補聴器は今日の技術で造れます。

「本人調整型補聴器」は究極の“夢”の補聴器開発迄の間の最善の“つなぎ”製品と位置付けられ、何十年も
報われずに待ちわびている者への「聴こえ」の切り札として早期の開発が望まれます。


「本人調整型補聴器」を2年以内に市場へ

飛行機は人手を借りずに確実に、安全に離着陸をやってのけます。
“素人様ご用達”の「本人調整型補聴器」は既存の販売店仕様を使用者仕様へ変更するだけのものであり
「開発」等と言う仰々しい二文字にも値せず、もう完成したも同然の製品でしょう。



♪♪ 熱烈歓迎、新規参入メーカー
 人の痛みが分かり、マーケティングを解し、既存の発想や規格に一切囚われず、ひたすら『聴こえ』の確かさと
 操作の簡便さにこだわり、貪欲に秀逸な製品開発に取り組む新規参入メーカーを大いに歓迎したいものです。
 「本人調整型補聴器」の開発者は確実に、そして永続的に報われます。  


♪♪ 熱烈歓迎、既存メーカー
 補聴器愛用者を見据え、足元の調整問題を直視し、志を高く持ち、自社製品に誇りと責任を持ち、持てる
 優れた技術を「本人調整型補聴器」に活かす既存メーカーは大いに歓迎したいものです。「本人調整型補聴器」は
 近未来の補聴器中の補聴器であり、その果実は甘く、成果は大きなものとなります。



『補聴器愛用会』も陰ながら力強く応援したいものです。


* * *        * * *    




『補聴器愛用会』の提案する「本人調整型補聴器」に対する反対や賛成意見、その他コメントをこちらへお寄せ
下さい。より良い「聴こえ」を得る為に共に考えましょう。




    

「調整不要型補聴器」の今日・明日



調整不要型補聴器」にはスーパースター「みみ太郎」のように難聴の種類を問わず柔軟に、弾力的に「聴こえ」を
提供する非常に優れた製品があり、特にお年寄りや音楽を楽しむ人、その他余り動きを伴わない状態で使用する
人には顕著な効果を発揮し、貴重な存在となっていますが、現状ではこれは例外中の例外的な存在で、殆どの
製品はリニア式補聴器で狭い周波数帯域内で、単純に一律に音を大きくするばかりです。
しかし、「調整不要型補聴器」の最大の特徴はその名が示す通り、調整が一切要らないという点で、購入し、
装着すれば音量調節程度で「聴こえ」が得られると言う非常に大きな利点があります。

しかし、問題もあります。
その販売のされ方と対象者が非常に限定されていると言う事です。


■販売方法
□問題点
調整が不要と言う事は調整の為に第三者が介在しないと言う事を意味します。
そして、これは製品のみの販売を可能とします。
そして、これは補聴器販売の基本を踏み外させます。
そして、これが通信販売を横行させます。
そして、これで「聴こえ」が乱売されます。


* * *           * * *


『曲者、“通販もの”』

事実その1
  “通販もの”補聴器は「調整不要型補聴器」である。

事実その2.
  「調整不要型補聴器」は伝音性難聴者と一部の感音性難聴者にのみ効果がある。

事実その3.
  “通販もの”補聴器は全難聴者中の1割程度にのみ効果がある。


“通販もの”補聴器とは、
  1割程度の難聴者にのみ適合する製品を、購入者の「聴こえ」に適すか否かは一切お構いなく、聴力を
  確認せず、且つ買い手との接点を絶ち、相談も受けず、一部では試聴もさせず、返品も受けず、保証、修理
  体制も不確かな状態で、新聞、雑誌等で反復的にあたかも「全ての難聴者に効果があるように」耳障りの
  良い言葉で宣伝し、電化製品やアクセサリーと同様に人の「聴こえ」を乱売し、“買わせれば勝ち”で荒稼ぎ
  しようという下心を持つ補聴器である。


【消費者心理】
  医者に行くのはかったるいし、かと言ってこのままでは一寸不安だし、この“通販もの”なら、店員とあれこれ
  話す必要も無いし、耳型を採ったり、調整する必要も無いし、人にも知られず試せそうだし、ここに書いてある
  通り良く聞こえそうだし、価格も小遣い銭程度で、まぁ、ダメでもあきらめがつくし、こりゃ〜あ買わない手は
  無いよな。よし、決めた。 これにて一件落着


【メーカー心理】 
  この技術ではもう十ニ分に元を取らせてもらったし、コストはタダ同然で、売値は安く設定出来、少し外見を変え、
  焼き直しで新製品のように見せかけ、耳をくすぐる言葉で売り込めば落ち込んでる店頭販売の実績もカバー
  出来るし、やるぞ

  それに、有難い事に調整は要らないし、これ又有難い事に客は難聴や補聴器の事などな〜んにも知らないし、
  安値の撒き餌をし、新聞、雑誌でど〜んと宣伝すれば一網打尽で、、、、
  うふふふふ、、、堪えられない、、、バンザ〜イ。

  こんなもんだろ、、、お〜ぃ、出来たぞ、宣伝文句が
   ・あっ、私の耳、よく聴こえる    はっきり聴こえる   気持ちがはずむ
   ・煩わしいハウリングもなく、大きくクリアに聞こえる
   ・難聴気味で悩んでいる方にお勧めの高感度
   ・あつらえたようにぴったり。感激の高性能で、画期的な低価格。
   ・抜群の聴こえを実現した耳穴形補聴器の決定版
   ・日本耳鼻咽喉科医会取扱商品
   ・喜びの声続々
   ・大きく聴こえる 毎日が楽しくなる
   ・聴きたい時だけクリアに聞こえる
   ・装着しているのを忘れてしまうくらい自然に聴こえる


“補聴器愛用者への路”を歩む者は決して宣伝文句や一見安いと感じさせる価格の誘惑に惑わされる事無く、
必ず自分の耳の形にピッタリ合いハウリングがしないかどうかと品質、性能、「聴こえ」の効果を確かめる為に

 その1)一定期間の無料試聴が出来、
 その2)相談や疑問点があれば問い質し、満足行く回答が得られ、
 その3)無条件で返品出来、
 その4)確実な製品保証があり、(数年程度)
 その5)修理体制がある

商品以外には決して手を出さず、1〜5の条件の一つでも満たさないものは躊躇無く敬遠するのが正解です。

又、1〜5の条件を満たす場合も、実際に試してみて少しでも不具合点や満足出来ない点があれば確実に返品を
行う事が大切です。 

尤も、そのメーカーや通販業者に寄付したいという奇特な考えを持つ方は別ですが、、、、。

* * *           * * *



□対応策
◇購入者へ
 「これは人の『聴こえ』を売るに相応しい販売方法ですか?」とメーカーや通販業者に問う前に、購入者側の購入
 態度に問題がある点は反省すべきでしょう。

 いくら「調整不要型補聴器」はバカチョンカメラ的と言っても、その製品には自分の「聴こえ」と生活がかかっており、
 テレビやカタログショッピング感覚で選び、購入するのは相応しい購入方法とは到底考えられず、難聴や補聴器に
 ついての十分な知識と賢明な判断無しに、あっさりと手を出す事が“通販問題”を許す原因となっています。

“通販もの”補聴器は非常に単純明快な補聴器です。>
  効 能       :入ってくる音を一律に大きくするのみ
  効果が期待出来る難聴:全ての周波数に於いて同程度に聴力が低下している難聴
  オーディオグラム  :全周波数で聴力が均等に低下し、線がほぼ直線を示す<
  適合する難聴の種類 :伝音性難聴と一部の感音性難聴のみ
  適合しない難聴の種類:殆どの感音性難聴と混合性難聴、及び老人性難聴&
  適合する難聴者数  :全難聴者の約1割
  適合しない難聴者数 :全難聴者の約9割

 「私にピッタリ!」となれば、10人に1人という幸運を射止めた方ですが、例え調整が要らない補聴器と言えども
 オークションでの商品購入とは全く異なるとの認識を持ち、販売店での購入を心掛けるべきです。
 
 「調整不要型補聴器」の購入では販売店の調整技術を懸念する必要は毛頭無く、もし、事情により本人が販売店へ
 足を運べなければ、医師の診断を受けた後に家族の方が本人の希望や相談内容を聞き、代わりに店頭で求める
 事も出来ます。

 店では店員と色々な相談が出来、助言も得られ、又あれこれ実際に手に取り、試し聞きも出来、使い勝手や保管
 方法等の説明も受けられ、更には後々の修理も保証される為、“補聴器愛用者への路”を歩む者は必ず販売店で
 購入しましょう。

 販売店で買えば「補聴器」と「聴こえ」と「安心」が買い求められます。


■対象者
□問題点
外見を変え、宣伝文句を換えても既存の「調整不要型補聴器」は基本技術が変わらない為に性能、効能は変らず、
その昔から利用可能な対象者は非常に限定されたままとなっています。

「調整不要型補聴器」は一般的にリニア式となっており入ってくる音の大きさに関わり無く音量を均一的に増幅する
のみで、この効能が効果的な難聴は主にどの周波数でも聴力が一律に同程度低下している伝音性難聴者にのみ
有効で、その対象となる難聴者数は全体の凡そ1割程度に過ぎず、非常に限られます。

「調整不要型補聴器」は一切の調整を必要とせず、簡便に使える補聴器として重宝出来、特に補聴器に引っ込み
思案な人達や安心して「調整型補聴器」が買えない人達にとっては重みのある存在となりますが、如何せん恩恵を
もたらすのが全難聴者の1割程度では焼け石に水に過ぎません。


□対応策
◇メーカーへ 
 理由を問わず「調整型補聴器」を購入しない(出来ない)圧倒的多数の難聴者や補聴器に躊躇する人達、自分の
 殻に閉じこもり補聴器販売店に足を運ぶ事すら覚束かない人達の為には、第三者の調整を必要としない
 「調整不要型補聴器」が唯一の助けとなり、閉ざされた「聴こえ」の世界から開放され、筆舌では言い表せない
 救いをもたらします。

★今日的には、、、、
 万能の補聴器が存在しない現状では、異なる機能や性能を持つ補聴器を組合わせて使うという考えがもっと
 打ち出されても良いのではないでしょうか。「調整不要型補聴器」の対象者は全難聴者の約1割と言っても
 その数は凡そ百万人。これだけの需要があれば、新たな発想で開発に取組むに値する筈です。

 ポケット型補聴器は一定の大きさを持っており、これを中途半端に小型軽量化するよりはこの大きさを活かし、
 或いはもう少し大きくしてでも特定の目的や用途に特化した「調整不要型補聴器」があれば新たな市場の開拓も
 見込める筈です。 丁度、読書と運転でメガネを使い分ける様に

 「遠くの音をピンポイントで捕捉型」や「携帯電話機内蔵型」、「ラジオ内蔵型」、「録音機能内蔵型」、「テレビ、
 音響機器へ直結型」やこれら全ての機能を併せ持つ「重装備型」等使い手を驚かせたり、喜ばせたりする製品が
 登場しても良いのでは、、、、。


★★将来的には、、、、
ここで一つ夢のある提案を披露しましょう。

           『神経細胞を読み取る補聴器』

音に対する神経細胞の反応を読み取る調整不要型補聴器、、、
来るべき新世代の補聴器の可能性を秘める先進的な補聴器、、、

現在の補聴器は気道補聴器と骨導補聴器ですが、音神経に反応、対応する調整不要型補聴器が出来れば正に
次世代の“夢”の補聴器。現在、神経反応で動く義手義足があり、聞こえの世界にも応用が可能では、、、?

この実現には聞こえの神経(状態)の検出方法や音圧の問題が絡むと思われるもののデジタル技術を駆使し、
必要な新たな技術を開発すればその“夢”が実現するのでは、、、、

発明の始まりは“夢”です。

とは、既にご紹介した毎日自分で愛用器の調整をしながら補聴器販売に携わるKouichiro.Iさんが想いを馳せる
明日の補聴器です。



♪ 既存メーカー
 何年も補聴器を造り続けるメーカーにして、金太郎飴もビックリするようなリニア式一点張りの枠にはまった
 「調整不要型補聴器」しか造れないものなのでしょうか?補聴器メーカーの面目と意地にかけ、傍目も振らず、
 知恵を絞り、最新テクノロジーを駆使し、難聴の種類や症状に関わらずもっともっと弾力的に、幅広く対応出来る、
 気の利いた「調整不要型補聴器」が開発されてもよさそうなもの。

 開発出来ぬ事は無い筈ですがねぇ、、、

 文句や言い訳があるなら「みみ太郎」君にどうぞ。あそこでにっこり微笑んでいますよ。



♪♪ 熱烈歓迎、新規参入メーカー
 「みみ太郎」は異業種からの新規参入メーカーが開発した逸品です。「みみ太郎」は窮屈な規格の枠内では
 決して誕生し得なかった傑作です。

 斬新で革新的な補聴器は固定観念、マンネリ化した発想、規格、既存の技術を超えた所で生まれます。
 「調整不要型補聴器」こそ“ノーベル賞”的な補聴器の誕生が期待出来る格好の分野。

             全中途難聴者が期待を寄せています。


 規格に安住するのは最も容易で安易な製品開発方法です。規格に囚われると「聴こえ」が忘れられ、規格死守が
 目的となり、得てして夢やアイディアが押しつぶされ、壊されます。より良い「聴こえ」を何よりも優先させ、
 「うっそっ!」、「まさかぁ!」や「バカバカしい!」的着想を大切にし、その実現の障害になるものは全て遠慮会釈
 なく脇に置き、自然で明瞭度の図抜けて高い「聴こえ」を追求すれば明日の“夢”の補聴器への路が拓け、
 その先で大きく開花します。


         『補聴器愛用会』も陰ながら力強く応援したいものです。




   

明日の補聴器愛用者の姿




中途難聴者は聴力低下を知り(知らされ)、驚愕し、不安を覚え、動揺し、精神的、情緒的にも不安定な状態に陥り、
やがて心理的な葛藤を始め、学校や職場、日常生活等で多大な影響を受ける事になりますが、独力でこの内面的
な悩みや問題を解決するのは容易な事ではなく、又短時間で克服出来るものでもありません。

長期間に渡る自己との“格闘”に打ち勝ち、やっとの思いで気持を整理し、低下した聞こえに現実的に対応すべく
補聴器に手を伸ばそうとしても、聴こえる補聴器と相応しい補聴器店探しに振り回されます。

更に、悲しい事に艱難辛苦の末にやっとの思いで手にした補聴器で聞こえが改善されたとは言え、現在の補聴器
では完全に元の聴こえに戻らないケースが多く、その為に、又ままならぬ聴こえに新たに悩まされ、人との会話や
交流で支障をきたす事となり、依然として聴こえの問題が尾を引きます。

そして、補聴器使用前と同様、使用後の聴こえの問題は本人のみならず、家族や周りの人達をも巻き込む事と
なります。

このように、人生の途中で背負い込む難聴による悩みや問題は例え聴こえる補聴器が手に入ったとしても全て
解決出来るものではありません。これらの悩みや問題には精神的なものや情緒、性格的な要因も絡み、人により
複雑で深刻な症状となります。取分け、内面的な悩みや問題は本人、並びに家族にとっても重くのしかかるもので
自助努力のみで簡単に解決出来ず、専門家による適切なカウンセリングやリハビリテーションが求められます。



難聴となった中途難聴者やその家族が必要とするものには次のようなものが考えられます。

  ★難聴や補聴器についての活きた、役立つ情報

  ★難聴の検査や診察、治療<

  ★聞こえの悩みや生活上での問題に対するカウンセリングやリハビリテーション

  ★聴こえる補聴器と信頼出来る販売店



■活きた、役立つ情報
□今日の姿
難聴や補聴器、補聴器販売の実態等についての活きた、役立つ、十分な情報が極端に少ない状況と言えます。
本人や家族が知りたいと思っても、分かりやすく中途難聴者の視点で書かれた国内の情報や資料は殆ど
見つかりません。

特に補聴器及び補聴器と聴こえの関係、補聴器の効果と限界等の情報は中途難聴者とその家族が強く欲して
いるものでありながら補聴器の製造者や販売者及びその関連団体による啓蒙活動は見当たらず(あるので
あれば不徹底、不十分)、必然的に難聴と難聴者に対する認識や理解は深まらず、補聴器への嫌悪感や
後ろめたさも一向に払拭されない最大の原因となっています。

十分で適切な情報が無いばかりに難聴者や家族は無用な心配や誤解を持つ事となり、補聴器と聴こえが遠い
存在となり、又「客に余計な知識をつけず、とに角売ってしまえば勝ち」という不心得な店がはびこり、補聴器
流通の不健全さと悪質商法を横行させる土壌ともなっています。

『補聴器愛用会』ではこの現状を直視し、海外の情報もふんだんに取り込み、中途難聴者とその家族の視点から
この「補聴器愛用者への路」をまとめました。

知って当然、知らねばならない聴こえの仕組みや難聴と補聴器についての基本的な知識のみならず、今日の
補聴器に関する実態や問題にも触れており、これでやっと「読む人それぞれが自分の立場で、難聴と補聴器と
現実を自分の問題として体系的に知り、考え、判断する」為の一つの参考資料が出来上がったと言えます。

   良く「知れば」心配する必要のない事が沢山あります。    (心配するだけ無駄)

    正しく「理解すれば」悩む必要のない事が沢山あります。   (悩むだけ無駄)

     適切に「判断すれば」迷う必要のない事が沢山あります。   (迷うだけ無駄)

大いに活用して下さい。


□明日の姿
従来は業界内部に顔を向けた“内輪指向”であった各メーカーが「お客様を満足させ、お客様を味方にして初めて
企業の繁栄と存続がある」との基本原則を理解し、難聴者とその家族を見つめ、積極的に語りかけるようになった
メーカーとその団体の「重ねられた強い努力」の約束が空手形とならず実現し、時と共に情報や知識が広まり、
難聴に対する認識が深化し、補聴器に対する関心が高まり、補聴器愛用者に対する理解が深まり、本人のみ
ならず家族や社会も無用な悩みや心配、問題から開放されているでしょう。

曰く、
『私たち「有限責任中間法人日本補聴器工業会」は、補聴器とその関連機器を通じて社会福祉事業の一端を担い、
高齢者や聴覚障害者のコミュニケーションの問題に取り組んでいます。そして、補聴器利用者の自立と社会参加を
支援し、「きこえ」の未来を一歩一歩と築き上げ、これからのシルバー社会の充実と豊かさに貢献すべく強い努力を
重ねていきます。』 
                                   (2004年3月5日 同工業会ホームページより)


あっ、そうでした。もう一つありましたよね。  「有限責任中間法人日本補聴器販売店協会」こちらは何と言って
いるのでしょうか?

、、、?、、、??、、、??? あれっ、、、
こちらは弄くったのは看板の名称の文字だけですか?取組み姿勢や今後の方針は、、、?
れ、れ、れ、れっ、、、? 会員数データは1999年止まり、、、?
恐らく今準備中でしょう。皆さんも、気にかけて時折見に行って下さい。いづれ決意や取組み方針が打ち出される
筈ですから、、、。



■難聴の診察や検査、治療
□今日の姿
これは中途難聴者側の問題。
難聴の診察や検査は全国の殆どの病院や開業医で受けられる体制が整っていますが、病院に行かねば診察も、
検査も受けられません。少しでも聞こえがおかしいと感じたり、他人からそのように言われれば間髪を入れず、
「先ず、医者へ」という認識が本人及び家族の方々にもまだまだ不十分なようです。


□明日の姿
難聴や補聴器についての活きた情報がふんだんに提供されるようになり、少しでも聞こえに不安や不満を感じれば、
その足で気軽に病院へ行く人達が増え、その結果、街の耳鼻咽喉科医院の外来患者数は大幅に増え、待合室は
患者で溢れかえり、待ち時間が格段に長くなっているでしょう。

そして、診察を受ければ必要な知識を持つ本人や家族は、診断と検査結果を十分に理解し、補聴器使用を勧め
られれば、悩まず、迷わず補聴器愛用者への路を真っ直ぐに歩む人となっているでしょう。



■聞こえの悩みや問題のカウンセリング、リハビリテーション
□今日の姿
聞こえの問題には精神的なものや感情、気持ちの問題が含まれ、又日常生活での人間関係やその他生活上での
様々な問題も含まれ、意外と身内には打ち明けにくいものですがこれらの問題を持ち込む相談窓口がありません。

勢い、藁にもすがリつく思いで補聴器を商う店員に話し掛ける事になります。しかし、店頭での“相談”の実情は
補聴器販売の為のお付き合い的なものでカウンセリングとは言えず、又相談相手として適任者とは考えられ
ません。

信頼出来る専門家による相談が不可欠となりますが、現状では資格を持つ専門家として言語聴覚士に期待する
ところ大ですが、残念ながらその顔は中途難聴者や補聴器愛用者の方を向いているとは言い難い状況です。

言語聴覚士は元々「言語療法士」、「言語訓練士」として長く医療・教育の場で活躍していた人達を対象に、
1999年に国家資格化されて誕生したと言う背景や経緯を持っており、この関係もあり活躍の場は病院(医療)が
7割、残りが福祉・教育・養成学校・研究機関となり、仕事内容は嚥下、言語療法、聴覚検査、人工内耳、補聴器
と分かれるようですが、聴覚系に携わる人達は少ないのが実態です。 
 

□明日の姿
新しい制度の下で、新たに生まれた言語聴覚士が羽ばたくまでには当然の事ながら相応の時間が必要です。
中途難聴者の為のカウンセリングやリハビリテーション環境は一朝一夕に整うものではなく、明日に於いても
取組み課題となっているでしょうが、幸いな事に、現在、少数ではありますが聴覚系の仕事や中途難聴者、
補聴器へ関心を向ける人達も見受けられるようになっており、明るい明日が期待出来そうです。

年々資格保有者が増えていますが、「日本言語聴覚士ニュース(2004年1月20日)」によれば同協会に所属する
正会員数は4,458人(2003年11月23日現在)で、性別では男性は18%、女性が82%となっています。又、
同ニュースにあるアンケート結果(複数回答)で一つ興味を惹くのは、対象とする障害の割合を見ると成人言語・
認知が最も多く65.9%となっていますが、「聴覚を対象にしている」と答えた人達は19.2%、人数で833名と
なっています。

誰に、何を、どうカウンセリング或いはリハビリテーションするか等の基本的な事柄から取組み、時間を掛け、
試行錯誤する事になるでしょうが、例えば中途難聴者を次のようにグループ分けし、取組めるものから着手
するのも一つの方法と考えられます。

  ◇難聴になり、パニック状態に陥っている人とその家族
  ◇補聴器嫌悪症、忌避症等補聴器に手を出さない人
  ◇補聴器を使った経験があるが、必要であるにもかかわらず使用しない人
  ◇補聴器を使っても人と上手く会話が出来ない、或いは交流出来ない人とその家族


一つ付け加えるべき事は、「本人調整型補聴器」が普及すれば調整に関わる問題や負担は少なくなり、言語
聴覚士は本来の聞こえに起因する悩みや問題を中心に保有する知識や能力が活かせる為、朗報となります。
そして、時と共に聴覚へ関心を向ける言語聴覚士は必然的に増え、あちこちで中途難聴者の良き相談相手となり、
身近で頼れる存在となっているでしょう。



■「聴こえる」補聴器と信頼出来る販売店
□今日の姿
 既述の通りです。


□明日の姿
『補聴器愛用会』の提案する「本人調整型補聴器」が普及し、調整が簡単で確実となった為、調整問題は過去の
語り草となっており、補聴器愛用者は確かで満足出来る「聴こえ」を手にしているでしょう。

「本人調整型補聴器」の登場と共に、何処に隠れていたのか製品を求める購入者が跡を絶たず、お客様を味方に
付けたメーカーは生産が追いつかず、お客様の信頼を勝ち得た販売店は数ヶ月先までの予約客を抱え、対応に
苦慮する光景があちこちで見られ、適者生存の法則に則りお客様が顔を背けたメーカーと販売店はいつのまにか
姿を消しているでしょう。



■明日の補聴器愛用者の姿
聞こえに疑問を感じれば速やかに医師の診察を受け、聞こえの悩みや問題があれば気軽に言語聴覚士の
相談を受け、賢い消費者としてメーカーと補聴器と販売店を厳格に選び、補聴器を愛用する人となり、より良い
「聴こえ」を手にし、人との会話にはコミュニケーションマナーを忘れず、快適な「聴こえ」の真っ只中で日々、
“普通”の生活を楽しむ人となっているでしょう。



    誰しもが前を向き、真っ直ぐに“補聴器愛用者の路”を軽やかに歩んでいます。



                                          2004年 8月 7日





【文責】 
  『補聴器愛用会』 松谷 明人 会長


【監修】 
  原田耳鼻咽喉科(大阪) 原田昌彦 医学博士
    「補聴器愛用者への路」に含まれる医学、医療関連の内容については医師としての見地からの多くの
   ご助言やご指摘を頂き、又これと平行して補聴器取扱いの豊富な経験に基づく臨床的な取扱いについても
   同様に色々とご指摘やコメントを賜りました。これにより、「補聴器愛用者への路」は他では見られない広い
   間口と深い奥行きのある現実的で具体的な内容を持つ充実したものとなりました。

   診察、学会、研究、それにシーズン週末は欠かす事の無かったスキーの合間を縫ってのご指導、ご協力に
   対し、この場をお借りし、当ホームページに接する中途難聴者及びその家族を代表し深く、厚く御礼を申し
   上げます。


【協力者】
  色々な方々にお世話になりました。この場をお借りし、深謝致します。(敬称略)

  『補聴器愛用会』 Dr. Douglas L. Beck   Special Adviser
     鎖国時代の長崎出島的な相談相手

  坂野さん 言語聴覚士
     中途難聴者と補聴器に熱い眼差しを注ぐ言語聴覚士

  某補聴器販売店 Kouichiro.I 努力型補聴器販売員
     補聴器の今日を憂い、明日を信じ、調整に励む補聴器愛用者

  株式会社シマダ製作所 掛川清明 技術部長
     聞こえの神秘と「みみ太郎」効果の語り部

  Widex マーケティング部 
     補聴器用語と補聴器先進国デンマーク情報の提供者

  『補聴器愛用会』 応援団一同 補聴器不要者や補聴器愛用者の紳士、淑女
     調べものやあれこれ口出しに活躍のサポーター 

  その他大勢
     アクセスカウンターに足跡を残し、陰ながら応援して頂いた「あなた」


【参考文献】
  「補聴器愛用者への路」は主に次の情報や資料を参考に作成しました。

   ◇『補聴器愛用会』に寄せられた声

   ◇筆者が個人的に収集した情報、資料

   ◇下記にあるホームページや資料
     Alexsander Graham Bell Association for the Deaf and Hard of Hearing
     American Academy of Audiology
     American Hearing Aid Associates
     Audiology Online
     Dr. Ross on Hearing Loss
     Healthy Hearing
     Hearing Exchange
     Hearing Loss Network
     H.E.A.R. hearnet.com
     Help for Hearing Foundation
      −Mumbles/hear
      −How to Buy Hearing Aids
     Help for Hearing Loss
     HIA(Hearing Industries Association)
     International Hearing Society
     League for the Hard of Hearing
     Self Help for Hard of Hearing People
     The Hope for Hearing Foundation
     Welcome to Jan Christensen's Site


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