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 のでご了承下さい。)
     

      「きき楽」ラジオについて

      「きき楽」テレビについて




    

聞こえにやさしいラジオ





ニュースや情報を集め、知識を吸収するのに音声は大きな働きをしています。又、テレビやラジオ、音楽、映画、
お芝居等を楽しむにも音声は欠かせません。

そして、これらを身近で提供してくれる代表的な物の一つとしてラジオがあります。スイッチを入れれば24時間、
ふんだんにニュースや情報、楽しみを提供してくれますが、悲しいかな補聴器を通しての耳には話し声はすんなり
とは入ってきません。特に、人名や地名、カタカナ言葉、短い言葉での表現、数字、無論早口も難物で、お手上げと
なります。

筆者はオーディオに興味があり、ラジオのニュースをはっきり聞きたく、かって、アンプやスピーカー、それに音声を
明瞭にすると思われる機器を様々試してみましたが、さしたる効果は得られず、結果は、かなりの無駄使いで終わり
ました。

この無駄使いの末に得た結論はラジオに“「ゆっくり」、そして「はっきり」話してもらう”以外に解決方法はないとなり、
現実的には無いものねだりである事を悟り、それっきりとなってしまいました。


が、時が経ち、今ではこんな優れた、思いやりのあるラジオがあります。

なんと、
 「ゆっくり」話してくれ、
さらに、
 「はっきり」話してくれ、
その上、
 「繰り返し」言ってくれる、
こんな頼もしいラジオがあります。


「きき楽」と名付けられたこのラジオは、
その上、
 ラジオ(AM、FM)のみならず、
さらに、
 テレビの音声(1〜12チャンネル)までも受信出来る、
なんと補聴器愛用者に暖かく、やさしいラジオではありませんか!


ラジオやテレビの聞こえで困っている方、音と楽しみのある“普通の生活”を取り戻す為に、試してみる価値はあり
そうです。

            ラジオ RA-BF3 本体画像     
     



ところで、開発、製造、販売元は、とみるに、
なんと、
 日本ビクター株式会社。

あのレコードに吹き込まれた亡き主人の声に耳を傾ける犬のロゴを持つ同社にとっては正に相応しい製品で、多くの
難聴者の支持も得、息の長い商品となっているようです。
今後とも、聞こえに不自由する者が微笑み、頷くような製品の更なる開発を期待したいものです。



さぁ、それでは「きき楽」についてご紹介して頂きましょう。

案内役は、日本ビクタ−梶@ホ−ムAV事業グル−プ AVシステムカテゴリ−、商品企画室 嶋田 正昭さんです。

それではお願い致します。




                   

この度は、弊社の「きき楽ラジオ」紹介の機会をいただきありがとうございます。

このラジオには前身があります。どんな方にも楽しく使っていただけるよう「ユニバーサルデザイン」のラジオとして、
次の点をテーマとしています。

  「高齢社会に向けて」そして「人にやさしい」
    1.操作のし易さ、使いやすさ               
    2.全ての人が認識できる表示と表現
    3.対象の方々にとっての「いい音」         

例えば、力の弱い方や指先が器用でない方でも、容易に操作できるよう、操作ボタンの大きさや形をデザインし、
表示を大きく分かり易い字体にしたり、機能や操作も触ってわかるようにしています。

また、「いい音」の追求は、本業の「音楽を聴く装置」としては永遠のテーマですが、必ずしもすべてが「音楽のための
高音質、原音探求」ではなく、本機では「対象の方々、ラジオの目的にあったいい音」を追求した所に大きな特長が
あります。


次にご紹介をさせていただきますこの商品(RA−H7,H5)は、マイナーチェンジを経て、RA−H77,H55として
発売後5年になります。現在も弊社としては数少ない超ロングラン商品となっています。






このラジオの発売後、おかげさまでお客様から多大な反響をいただき、その中で、「もっと言葉の理解度を上げられ
ないか」という、率直なご要望を多数いただきました。

ラジオは「必需品、日常品」であって、私ども主力の音楽再生(オーディオ)機器が「感性、趣味」であることと本質的な
違いがあることを知ると共に、私どもへのご期待を痛感した次第です。


「聴取補助システム」として次の3機能の開発を開始しました。
  @ ゆっくり・・・話の内容についていけない事への対応
  A はっきり・・・聞こえているが不明瞭さへの対応
  B 聞き直し・・・聞いたが覚えていられないことへの対応

A は音質制御の、B はメモリー制御のオーディオ技術を駆使して実現の目処が立ちました。

しかし、@ については「話のスピードを遅くする、話速変換」が有効である事は分かっていましたが、電話で使われて
いる従来技術では「ラジオの品位」には不十分であり難題でした。そんな中、NHK技術研究所で10数年来培った
技術の紹介を受け、その効果は「いい音」のまま効果が出せる素晴らしいものでしたが、そのまま商品化すると、この
部分だけで10万円以上しました。

この技術を、A、B と合わせ1つに集約し、安くする。この難題を克服して、本商品が誕生しました。

 【嶋田さんのコメント】
   捜し求めた「ゆっくり」機能の具現化で、NHK技術研究所の技術にたどり着けたのは幸運であったが、とても
   高価な本システムを一般民生機器(ラジオ)に搭載するため、10万円以上を2万円前後にするという技術陣の
   苦闘があった。



更に、「聴取補助システム」を対象の方々にもっと馴染んで頂けるよう、(業界発表当日、ご出席の雑誌社の方の
ご発案により)「きき楽」と命名させていただきました。


 【嶋田さんのコメント】
   家庭用ラジオにしては高価で需要も読めない「地味な存在」であったが、業界発表当日、何とNHKの「7時」、
   「10時」2回の全国版NEWSでご紹介いただき、一気に、特に、放送関係のマスコミの注目を集める存在と
   なった。



次に今回の課題と開発した「きき楽」の概要を紹介します。



<聞き取りにくい要因>







<「きき楽」の三機能>






本ラジオの3つの技術特徴についての説明を下に示します。

ポイントは次の通りとなります。

 @ 「ゆっくり」:話の最初をゆっくりし、序々に元の速さにします。
          メモリーに蓄えた遅れ分は、無音区間で取り戻します。

 A 「はっきり」:大きく次の2つの機能を組合わせています。
         T.音の高さを3分割し、帯域別に音量を調整します。
         U.小さい音は大きく、大きい音は小さくし、聞き易い音の大きさに圧縮します。

 B 「聞き直し」: 約10秒遡って、繰り返し再生します。



<ゆっくり機能>







<はっきり機能>







<聞き直し機能>






以上のように開発しました本機の基本発想は、難聴者のみならず、健聴者も加齢と共に聴覚が衰えるために、
「聴覚」機能を補正し、「対象の方々にとっていい音」を快適な状況で、長時間に渡って楽しんでいただくお手伝い
をさせていただく事でした。

実際に国際福祉機器展などでは、私どもの予測を超えて、「そのままでは聞き取れない内容が、この機能を使うと
理解ができる。これはすごい!!」とのご評価を、難聴者の方々からもいただきました。

更に、今回は補聴器ご使用の皆様より改めてご評価いただきましたことは、大きな喜びであり今後の励みになり
ました。

今後とも、宜しくお願いいたします。


                   



以上、嶋田さんに開発のご苦労や製品の特徴等について色々とご紹介頂きました。

ありがとうございました。



 ★製品紹介(同社ホームページより)
  「きき楽」には次のタイプがあり、価格はいづれもオープン価格となっています。
    RA−BF3      スタンダード版
    RC−BF10−W   ラジカセ式(白色)   製造中止となっています。
    RC−BF10−H   ラジカセ式(グレー)   製造中止となっています。
   

 ★RA−FB3


きき楽 ビクター聴取補助システムラジオ RA-BF3 本体画像
TV/FM/AMラジオ
RA-BF3
オープン価格 (イヤホン付属)
オープン価格の商品はメーカー希望小売価格を定めていません。

“ゆっくり、はっきり、聞き取りやすい”で大好評! ビクターの音声コミュニケーション技術を搭載した「きき楽」ラジオのニューモデル登場。


経済産業省の委託事業「高齢者・障害者等用情報通 信機器開発事業」の支援を受け開発


ゆっくり、はっきり、聞き取りやすい聴取補助システム「きき楽」
高齢者や、ラジオなどの音声が聞き取りにくいと感じる方のために、ビクターが「聴取補助システム」を開発。どなたにも聞き取りやすい、やさしいラジオを作りました。「ゆっくり機能」の開発にはNHK放送技術研究所の協力を得ました。
聴取補助システムボタン位置イメージ画像

ゆっくり機能(話速変換)
ニュースの早口アナウンサーも、ゆっくりと喋ってくれます。
話し始めのスピードを落とし、徐々に実際の速度に戻すことで、ゆっくりと話している感覚が得られるばかりでなく、内容も理解しやすくなります。話速変換技術により実時間を変えずに、言葉の間が確保できるため、自然でゆっくりとした話し方になります。

「ゆっくり機能」解説図



はっきり機能
ハッキリと聞き取りやすい音質です。
「小さな声は聞き取りにくく、大きな音は不快に感じる」という加齢による聴力特性に着目。音声を帯域別 に、聞えやすい音の大きさに補正することで、はっきりとした音を再現しました。

聞きやすい音声として再生、耳が若返る!?「はっきり機能」解説図


聞き直し機能(反復再生)
えっ?・・・もし聞き逃しても、すぐにくり返してくれます。
料理のレシピや電話番号、耳慣れない言葉など、もう一度聞きたい時はすぐにワンタッチ。音声信号を常時メモリーに記憶(約10秒間)しているので、もう一度押すまで聞き逃した内容をくり返し確認できます。

「聞き直し機能」解説図


大きいボタン&見やすい表示のユニバーサルデザイン
大きく見やすい書体の日本語表示。操作ボタンも大きく、シンプルだから使いやすい。誰もが迷わず操作できる、細部にまで使いやすさを追求しました。

●乾電池も使えるAC/DCの2電源方式●おやすみタイマー(60分後オフ)


FM/AMラジオはもちろん、テレビ音声も楽しめる3バンドチューナー

●TV(1ch〜12ch)/FM/AMの3バンド。

長時間聞いても疲れにくい。高感度&高音質設計
長時間聞き続けても疲れにくい、ビクターならではの高音質設計。
FM/AMラジオはもちろん、テレビ音声もはっきりクリアに楽しめます。

RA-BF3の主な仕様
■実用最大出力 800mW(JEITA/DC)
■出力端子 イヤホン端子×1(モノラル)
受信周波数 TV(VHF):4〜12チャンネル、FM:76MHz〜108MHz(TV1〜3チャンネル)、AM:530kHz〜1605kHz
■ビートカット 3段階
■タイマー 60分後オフタイマー
■スピーカー 10cmフルレンジスピーカー×1
■電源 AC100V(50Hz/60Hz共用)、DC6V(市販の単2形乾電池4本使用)
■消費電力 電源「入」時/3.5W、電源「切」時/0.5W
■電池持続時間 TV 受信時:電池長持ちモード(入)時/約82時間、(切)時/約32時間
FM 受信時:電池長持ちモード(入)時/約82時間、(切)時/約32時間
AM 受信時:電池長持ちモード(入)時/約100時間、(切)時/約36時間
■寸法/質量 幅203mm×高さ196.5mm×奥行129mm/約1.6kg(乾電池含まず)
■付属品 イヤホン、電源コード



                                             <2006年 2月12日>



  ★現在はメーカー都合により製造、販売中止となっています。
                          (2009年 夏)




       

「きき楽」テレビ





 「ゆっくり」話してくれ、
さらに、
 「はっきり」話してくれる、
そんな耳に優しいテレビがあります。

「きき楽」ラジオは多くの聞えに困っている人達にもラジオを聞く喜びと楽しみを与えていますが、ここでご紹介
するのはそのテレビ版です。

ゆっくり+はっきり+繰り返し機能を持つ「きき楽」ラジオを完成させた技術を持つ日本ビクターにとってみれば
テレビ版「きき楽」の開発など造作も無いことと思ったのですが、、、。

さぁ、それでは「きき楽」テレビの開発についてご紹介して頂きましょう。
案内役は、日本ビクタ−梶@ホ−ムAV事業グル−プ AVシステムカテゴリ− 技術部 武石 浩幸さんです。





                          


 この度は「きき楽」ラジオに引き続き、テレビにもスポットを当てていただき、有難うございます。 
私は、「きき楽」をラジオやテレビなどの商品に搭載するための開発を担当しました武石と申します。 
今回は“テレビ搭載への苦労話”ということで、お話をさせて頂きます。




「きき楽」ラジオは“ゆっくりしゃべるラジオ”として多くのメディアに取り上げられると共に、ユーザーからも喜びの
声を頂きました。 これだけ評判になりますと、必然的に『他の商品にも』という声が上がります。 ここまでは、
我々開発者も素直に喜ぶばかりでした。

◆◆◆ “初代「きき楽」ラジオ/RA−BF1  ◆◆◆





 商品展開第一号に挙がったのがテレビです。 ここからが苦労の始まりです。 障害は、大きく2つありました。 
「機能・効果」と「必要性」です。

まず初めにぶち当たったのが「機能・効果」でした。 ラジオを一躍有名にした「ゆっくり」機能も、テレビでは悪者
扱いでした。なぜなら、テレビは映像を伴うからです。テレビの映像を見ながら「きき楽」ラジオにてゆっくり音声を
聞く。 これは、実に不自然で、時には不快なものでした。

あらゆるジャンルの番組を、何度も何度も繰り返し見て、試聴・検討を重ねました。周囲の「声の遅れるテレビ
なんて有り得ない」との声援(?)を受けながら、現在の「ゆっくり」音声の実現に至ったのです。 これを、ラジオの
ものと区別するために『TV「きき楽」』と名付けました。
(実はこれが現在でも引きずっている悩みの一つでもありますが... > 後述)




◆◆◆ 「きき楽」ロゴ と TV「きき楽」ロゴ  ◆◆◆
        



 最大の難関は『「きき楽」テレビが商品として成立するかどうか』ということ!でした。そう、テレビとしての「必要性」
です。テレビはテレビゆえ「映像が命」。 音声がゆっくりになったからといって、歓迎する関係者は居ませんでした。 
我々が「ゆっくり」機能の効能を説き実演すれば、その効果・聞きやすさを論ずるより、声が遅れたことを指摘され
ました。

デモと説得を続けると共に、どんな些細な記事や評判も、コメントを添えて関係者に伝えました。 当時の私は、
技術開発よりむしろ、こういう啓蒙活動に力を注いだかもしれません。

救いだったのは、商品企画のリーダーがUD(Universal Design:共用品)理解者であり「きき楽」搭載を推進して
くれたことです。 彼は、多機能化しているテレビを使いやすくしようという取り組みを積極的に勧め、「音声リモコン・
ガイド」や「画面で見るマニュアル」など、現在のUD機能へつなげてくれた人でもあります。

そのような中、(全ての人に歓迎されたとは言い難いまでも)発売にこぎ着けることが出来ました。現在では、
当社デジタル放送対応の薄型テレビ(液晶,プラズマ,リアプロジェクション)の全てに搭載されています。

◆◆◆ 初代「きき楽」テレビ/LT−26LC50 ◆◆◆





 最後に。

先に触れました“現在でも引きずっている悩み”とは・・・ 「ゆっくり」は、これで良いのか?と。 テレビ視聴でも
違和感のないゆっくり音声であるのですが、それだけにラジオよりは効果を抑えています。 確かに、ゆっくりに
なっているのですが、この機能を必要としている人には“もっとゆっくりの方が良いのではないか?”と。

しかし、これ以上効果を上げると、それこそ不自然。 いっそのこと「画面を止めて!?」なんて思うこともありますが、
テレビはテレビなんですから・・・

補足)
 TV「きき楽」は、「ゆっくり」機能と「はっきり」機能から成っています。
 「はっきり」機能は、どなたからも評判は良いです。(ほっ)



                   




【筆者より】
  多くのビクターテレビには「きき楽」機能が搭載されていますが、その優れた技術のみならず使う人に優しい
  ユニバーサルデザインを標榜する同社製品に相応しく、こんな所にもその優しさが見受けられます。

   「音声案内、リモコンガイド、画面で見るマニュアル etc.  がいろいろついているのが特長的です。
    リモコンのボタン配置も他社に比べて格段に単純に・簡単に・分かりやすい仕様となっています。
    文字放送切り替えボタンがリモコンの真ん中のいい場所にあります。他社製品では蓋を開いたところに
    あったりしたので(その時は何とも思わなかったのですが)、ビクターに決めたのは、こういう配慮が
    あるならば大丈夫だろうとの考えもありました。」、とは本製品紹介者のコメントです。


開発に尽力された武石さんや開発担当者の方々、更にはUDの理解者である商品企画のリーダーの英断に
感謝するところです。


★ ビクター社製デジタル放送対応の薄型テレビ(液晶,プラズマ,リアプロジェクション)の全てに「きき楽」機能が
  搭載されています。個々の製品については同社のホームページをご覧下さい。
      http://www.victor.co.jp/tv/index.html      


                                               <2006年 10月14日>




 ★ 日本ビクター株式会社のホームページはこちらです。
         http://www.jvc-victor.co.jp/
        

 ★ビクターマークの由来
   ビクターマークの原画は、1889年にイギリスの画家フランシス・バラウドによって画かれました。

   フランシスの兄マーク・H・バラウドは「ニッパー」と呼ぶ非常に賢いフォックス・テリアをかわいがって
   いましたが、彼が世を去ったため、彼の息子とともにニッパーをひきとりフランシスが育てました。
   たまたま家にあった蓄音器で、かつて吹き込まれていた兄の声を聞かせたところ、ニッパーはラッパの
   前でけげんそうに耳を傾けて、なつかしい主人の声に聞き入っているようでした。

   そのニッパーの姿に心を打たれたフランシスは早速筆をとって一枚の絵を描き上げました。その時の
   蓄音器は録音・再生ができるシリンダー式でしたが、その後円盤式に画き変えられました。
   そして、「His Master's Voice」とタイトルをつけたのです。

   亡き主人の声を懐かしそうに聞いているニッパーの可憐な姿は、円盤式蓄音器の発明者ベルリナーを
   感動させ、彼はこの名画をそのまま商標として1900年に登録しました。それ以来この由緒あるマークは
   ビクター商品に美しく記され、最高の技術と品質の象徴としてみなさまから深く信頼され、愛されています。
                                                 (同社、ホームページより)


                


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