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新たな旅立ち 『補聴器愛用会』ホームページ開設2年で1万人の方々を迎え、その僅か8ヵ月後に新たな1万人を 迎えました。これは、当会の認知が広まり、寄せられる期待と果す役割が大きくなっているということ でしょうか。 個人的には、長年補聴器のお世話になり、これ無くして、趣味の音楽鑑賞、人との交流、仕事、生活 は覚束かず、補聴器あっての我人生と考え、補聴器を持たなかった時代の人達の困苦を想像し、 補聴器を愛用し、これに感謝すること多とするものです。 ホームページ開設の動機は、買い替えの都度経験させられる情報の少なさと貧弱さ、満足になされぬ 調整、販売店での対応等への私憤が昂じたもので、同じ立場にある者同士が情報、知恵を持ち寄れば、 お互いの悩みや問題の解決に役立つ筈、、、と期待したものでした。 しかし、考えるまでもなく、『補聴器愛用会』の存在は不自然です。このようなものが存在せず、必要と されないのが常態です。何処ででも、安心して、最適の補聴機器が購入出来れば、『補聴器愛用会』 など無用の長物で、早々に退散すべきものです。が、お客様の立場にある者がなぜ故に情報収集に 奔走し、なぜ故に悩みや問題を相談し合い、なぜ故に製品をテストし、なぜ故に販売店を調査しなければ ならないのでしょうか。なぜ故に、、、。 ホームページ開設来千日で『補聴器愛用会』が見聞きした現実にはほのぼのと心温まり、力付けられる 場面が多々ありました。「親身の訓練とカウンセリングが必要と考え、お店のかたわら、定期的にお客様 宅へ出向き、使用状況や不具合等を尋ね、『もう二月経ちましたから、あと一月この調子で頑張りましょう』、 と励まし、これで更に頑張ろうと気持ちを持ち直される方もいらっしゃいます」、は、その一コマ。 他方、補聴機器を取扱う者のモラル、行為には唖然とし、憤りを覚える事が多々ありました。 本文中では、各用語をそれぞれ次の意味合いで用いています。 補聴器 :薬事法、JIS規格の定める補聴器具 補聴機器 :補聴器及びそれ以外の補聴器具の総称 補聴器装用者:現在、将来の補聴機器の使用者、及びかって使用したが、現在は使用しない者の総称 ●補聴器メーカー □調整を必要とする補聴器を製造、販売する限りは、販売店員に対する調整技術の付与、維持,向上の 為の実効性ある研修を反復的に行う必要がある筈ですが、十分になされているのでしょうか。当会の 調べでは研修が行われても補聴器の仕様や取扱い要領の説明に終始し、臨床的な調整技術の研修は 皆無に等しい状況でした。適切に調整されない1台30万円余りの高価な補聴器は、数千円の“通販もの” にも劣るのではないでしょうか。 また、販売店選定にはソロバン勘定の他に、当該販売店の調整技術、能力を見極め、不適格店には 取り扱いを認めない配慮はなされているのでしょうか。未熟な調整技術がもたらす“災い調整”が津々 浦々に蔓延しており、これが「補聴器禍」を招き、補聴器普及を妨げる最大の原因となっています。 全取引販売店で調整技術保有者を確保されているのでしょうか。認定補聴器技能者のいない販売店で 広く取扱われている現実がありますが、これで自社製品、販売者及び購入者に対する責任が果たせる のでしょうか。 □“通販もの”花盛り。新聞広告を探すと、あっという間に6種類もの切抜きが集まりました。どれも低廉な 価格と、聞こえの能書きを書き立てていますが、機能は「音量調整」のみ。感音性難聴者用補聴器には、 「音量調整」と「周波数調整」の両機能が求められ、「音量調整のみ」の補聴器は不向きと考えられますが、 その旨の説明は一言も見当たりません。日本の難聴者の8、9割が感音性難聴者と言われ、音量調節 機能のみの“通販もの”補聴器の出番はそんなにない筈ですが、、、。 国内メーカーも含め高額の広告料をものともせず“通販もの”にせっせと精を出すメーカーがあれば、自ら 通販で売りまくり、自社系列販売店を泣かせるメーカーがあったりと色々ですが、「購入者の聴力を調べる ことなく、十分に説明することなく、アフターケアや返品の明示なく、確実な修理体制なく、あたかも買えば 誰もが、即、良く聞こえるかのごとき印象を与える販売方法」は健全なものでしょうか。かって、当会で 調べた幾つかの“通販もの”には「品質などお構いなし、売れればよし、壊れれば又買え」とでも云わん ばかりの粗悪品がありました。補聴機器選びに迷える者に誤った認識を植え付け、補聴機器に対する 不信感を増幅しませんか。 ●全国補聴器メーカー協議会、日本補聴器販売店協会 それぞれは、お客様と協会員への顔となるべき組織でしょうが、お客様の方にはどの程度顔を向けている のでしょうか。積極的に役立つ情報を発信してこそ、お客様の理解が得られ、これにより業界全体の発展が 図れる筈ですが、その看板である各ホームページはお客様に何を伝え、何を訴えかけようとしているので しょうか。 全国補聴器メーカー協議会の「資料」データは2000/01年度止まり、日本補聴器販売店協会の「会員数 推移」は1999年止まり(2003年7月12日現在)と、ここには、未だ21世紀の訪れはないようです。更に、 誰しもが最も知りたい聞こえや補聴機器についての疑問、問題への答えとなるべき「一問一答コーナー」の 薄っぺらな内容。一片の紙切れの重さもなし。 ●認定補聴器技能者 財団法人テクノエイド協会の定める、「補聴器装用等に関し一定水準以上の知識、技能を有する補聴器 販売店従事者等に対して資格を付与することにより、難聴者への補聴器の適切な供給に資すること」を 目的に補聴機器を取り扱う販売店の人達です。業界内ではこの資格が宝物のように考えられていますが、 当会関係者の調査では、全国的に、特に、来店者数が限られた販売店では技量を磨く機会はなく、刀は 錆び放題で、単なる自己満足的な“資格崇拝者”に少なからず出会っています。又、見栄と自らの知識不足 と未熟な技術を覆い隠す為か、ふんぞり返り、お客様を見下す態度も見え隠れすると報告しています。 次にある指摘の大半は認定補聴器技能者によるもので、報告内容を裏付けてもいるようです。 ●補聴器販売店 お客様との接点に位置し、大袈裟に言えば難聴者の人生を左右する存在です。が、当り前に商売をしていて 何か賛辞、賞賛に値するが如き印象を与えていますが、商道徳、倫理観を疑わせる販売店が少なくない為で しょうか。全国補聴器販売店調査員有志、補聴器販売店経営者の方々が語るその有り様についての声を 列挙してみます。 □知識、技術力のなさをごまかす 他店の悪口や技術不足をあげつらい、自己の知識不足、未熟な技術をごまかす。 ボリュームをただ上下させ、音量調整する事を補聴器の調整とごまかす。 質問されたくない為、忙しくなくても忙しいと言い、説明を避け、早く決めるよう催促する。 売りつければ、ボロが出ぬようにすぐ帰れとばかりに追い出す。 補聴器の使用期間を聞き、検査もせず(検査が出来ない)高価な補聴器の購入を勧める。 □お客様を人とも思わぬ言動、振る舞い 補聴器を“金のなる木”と考え、“何も知らない客に売りつけられるぼろい商売”と考えている。 福祉扱いや箱型など安価な補聴器を求めるお客をバカにする。 予算を聞き出し、懐具合で態度を変える。 難聴者を障害者として見下しており、補聴器を買えと脅かす。 お客が装用中の補聴器を外した途端、本人には聞こえないと思い、店員が悪口を言う。 「つんぼ」、「耳が壊れている」などの言葉を平気で使う。 □不健全、背信的な行い 試聴もさせず、カタログだけで機種を決め、購入させる。 お客の不安な心理や知識不足につけ込みわざと高価な製品を勧める。 廉価な商品を高価な商品と偽り販売する。(アナログ式をデジタル式補聴器と偽る) 保証書と機種が異なる。(後日、修理などを断る口実とする) 無料試聴を“エサ”に購入を迫る。 部品交換で使えるにもかかわらず、壊れていると言い新品を勧める。 修理を受けた場合、寿命でまた壊れる可能性があるのでと新規購入を勧める。 聴力検査時に防音室内の換気扇を回し、故意に悪い測定結果を出す。 お客の住所を聞き、聴力検査中に住宅地図で家の大きさを調べ、懐具合を見定める。 リンカーン曰く、 “You may fool all the people some of the time; you can even fool some of the people all the time; but you can’t fool all of the people all the time.” Abraham Lincoln 「全ての人達を、少しの間、騙しておく事はできるだろうし、また、少しの人達を、いつまでも、騙して おくこともできるだろう。 しかし、全ての人達を、いつまでも、騙し通せるものではない。」 「負」にいくら文字を費やしたところで事態の改善は望めません。幸いな事に現実は悲観的な事ばかりでは ありません。 健全な経営、営業方針を持つメーカーがあるのは事実です。 優れた補聴機器があるのも事実です。 寝食忘れ献身的に補聴器に取り組む販売店があるのも事実です。 頼れる言語聴覚士が増え、育ちつつあるのも事実です。 そして、皆がそれぞれの立場で“納得し、満足するお客様”を育てれば、補聴器装用者は普通の生活が楽しめ、 店は繁盛し、メーカーは潤います。 そして、補聴器装用者を満足させるのは容易い事です。難聴者と補聴機器に対する誤った先入観や認識を なくし、求められる優れた製品を開発し、それらを真っ当に機能させる事です。 以下、『補聴器愛用会』からの提案と希望や期待です。 ★業界全体 1.補聴機器普及を妨げる深刻な要因は難聴と補聴機器に対する人々の先入観や認識の問題であり、業界を 上げて意識改革に取組むことが急務ではないでしょうか。 <難聴者に対する認識:対販売店、補聴器装用者、社会全般> □難聴とは肉体的に、聞こえに支障があるというもので、人として精神的、情緒的、知能的、能力的に何ら 劣るものではなく、本人の人格、性格、思考、感情等にはさらさら関係ありません。只、人との円滑な コミュニケーションに支障を来たす場面があるものの、不自由な聞こえを補えば、普通の人です。そ の為に、補聴機器があるのです。 □「補聴器を使えば障害者になる」との誤った認識が見受けられ、補聴機器の使用に消極的になる人が いますが、聞こえぬままの意の伝わらぬ会話は本人自身と周りの人達に大きな負担を強いていることを 自覚させる必要があります。 <補聴機器に対する認識:対メーカー、販売店> 補聴機器類は、それを必要とする者にとっては、自らの損なった聞こえを補う為の心臓のペースメーカー と同等の物であり、それから得られる聞こえには、本人の人格形成、生きがい、楽しみ、仕事、生活等が 深く関わっており、“使いものになる補聴機器の獲得”は死活問題なのです。それが電池や蛍光灯並みの 扱いで、只、金儲けの為の商品として扱うなどは論外との認識を広く、深く徹底させる必要があります。 2.聞こえや補聴機器に関する必要な情報が質、量ともに不足しているのではないでしょうか。 <対補聴器装用者、社会全般、販売店> 豊富で活きた情報・知識を間断なく提供し、啓蒙する事が何より大切です。日々、各メーカー、販売店で 受ける山のような質問が求められている情報です。但し、読み手は学会への参加者ではなく、説明は 具体的で専門知識や用語を知らずとも理解できる内容とすべきです。 “理解し、納得したお客様”は賢くなり、製品、販売店の賢明な選択が出来る消費者となり、優れた製品 を作るメーカーは出荷台数を増やし、信頼される販売店は売上を伸ばすことを意味します。そして、賢い 消費者に選択されない製品と販売店は舞台を去るのみです。 見方を変えれば、消費者レベルが低ければ、製品や販売店のレベルも低く、前者のレベルを上げなければ (上がれば)後者のレベルも上がらない(上がる)という関係でしょう。 3.「大々大キャンペーンの実施」 <対補聴器装用者、社会全般> □目的 趣旨に賛同する全メーカー、全販売店及び関連協会が総力を挙げて、毎年、全国規模で、長期間、 楽しく明るいキャンペーンを実施し、 ・補聴機器への関心を高め、豊かな音のある生活の楽しさをアピールし、 ・補聴機器の陰鬱なイメージを払拭し、 ・新規のお客様を呼び込み、 ・補聴機器使用中のお客様には有利な条件での買い換えを促し、 ・使用経験者で補聴機器にそっぽを向くお客様を呼び戻し、 3年以内に補聴器人口を2倍に増やし、売上を3倍にし、将来的には補聴器人口を難聴者の約半数、 300万人とし、売上を2兆円超とすること。 □期間 耳の日(3月3日)から補聴器の日(6月6日)まで □内容 「無料相談キャンペーン」 対本人、対家族(店頭、メール、ファックス、電話) 「無料試聴キャンペーン」 全メーカー、全タイプ 「ウェルカム割引キャンペーン」 新規購入者対象 「買い換え促進割引キャンペーン」 既使用者対象 「もう片耳促進割引キャンペーン」 片耳装用者対象 「カムバック割引キャンペーン」 使用経験者で現在は使用しない者対象 (注)割引はそれぞれ最低30〜50%程度 ★言語聴覚士 □難聴者が求めるものは、メンタルケア、聞こえ、生活上の悩みや問題のカウンセリングから補聴器具の選択、 調整、購入等々多岐に渡っています。これらに的確に、十分に応えるには必要な知識、カウンセリング能力、 補聴器調整技術が求められます。 大きな期待が集まるのは言語聴覚士。国家試験による資格(注)を持つ人達で、難聴者のコミュニケーション 機能の向上や専門的なサービスに取組み、また難聴者の自立と社会参加を支援する為の種々の活動を行い ます。適切な補聴機器の選択、調整、販売も、無論、その取扱いの中に入っています。 (注)人間の言語・コミュニケーション行動を支える医学、心理学、言語学、音声学、音響学や社会科学等の基礎的な知識から、 言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学、聴覚障害学等の専門的な 知識を身に付け、更に、病院、リハビリテーションセンター、小児の療育施設等での臨床実習が求められる。そして、大切な 事は、知識や技術にとどまらず、言語表現が難しい人の思いを受け止められる豊かな人間性と、そうした思いを上手に引き 出す力も強く求められていることです。 制度発足は1999年と日は浅いですが、2003年7月1日現在、既に7、767人が認定されており、 今後、時と共に認定者の数が増え、経験も深まり、カウンセリングから補聴機器販売までの一貫した取扱い が期待できます。現在はまだ少々力不足気味のようですが、遠くない将来にはもっと身近な存在となる ことでしょう。『補聴器愛用会』も声を大にして応援します。 □因みに米国と比較すると次の様になります。 日 本 米 国 人口(2001年) 約1億2700万人 約2億8500万人 難聴者(推定) 約600万人 約2,800万人 オーディオロジスト 0人 約13,500人 言語聴覚士 7,767人 ー 認定補聴器技能者 610人 約6,000人(注1) (注)言語聴覚士は2003年7月1日現在、認定補聴器技能者数は2003年4月1日、371認定補聴器専門店に於ける認定者数、 米国の数値は2003年6月調べ。 (注1)Hearing Aid Specialist ・上記数値に基づき算出すると、計算上では、日本では難聴者773人に対し一人の言語聴覚士が存在して おり、米国の2,074人に対する一人のAudiologistの状態を凌駕しています。 ・一方、同様に比較した場合、日本では難聴者9,836人に対し一人の認定補聴器技能者、米国では 4,667人に対し一人のHearing Aid Specialistとなります。 この現実からも言語聴覚士への期待が高まるのは当然の事でしょう。 ★補聴器販売店 □お医者さんは自らの専門分野を耳鼻科、内科等と明示しています。補聴器屋さんは万能なのでしょうか。 どの店でも赤ちゃんの補聴器調整が出来るのでしょうか。どの店でも全てのタイプの難聴に対応する商品の 用意があり且つ、その取扱い、調整に精通されているのでしょうか。さもなくば、専門とする、或いは得意 とするもの、及び取扱わないものを明示し、お客様に選択基準となる情報を提供すべきではないでしょうか。 □難聴、難聴者を理解し、接客に心を用い、相応しい機器を選定し、的確に調整し、顧客用カルテを作り、 先々までのお客様の管理と万全のケアー体制を作り上げれば、断ってもお客様は寄ってくるもの。その結果、 隣近所の不心得な店は必然的に淘汰され、その分お客様が増え、無用な他店の尻拭いをする必要もなく なるでしょう。 □言語聴覚士が本格的に活躍するようになるまで、今しばらくは、難聴者は聞こえの問題の多く(殆ど全て)を 補聴器販売店に頼らざるを得ない状態が続くでしょう。しかし、この“頼られている間”に改めるべきを改め、 お客様の不信感、嫌悪感を払拭し、信頼を勝ち取らねば、やがて時を失する事になるかもしれません。 ★関係協会 □有志の行った全国販売店実態調査によれば全国に1、400店余の販売店があるものの、日本補聴器販売店 協会会員は約800店(1999年)<この内、371店(2003年4月)が全国補聴器専門店認定協会加盟>と、 これらの協会が販売店全体に影響を与えるには限界がありますが、情報を提供し、催し物を企画し、全力を 上げて前述の「意識改革」に汗を流し、お客様を啓蒙し、賢い消費者を育てることではないでしょうか。 □「お客様相談窓口」を設け、製品や販売店に対するコメントや苦情等を積極的に受け付け、迅速、確実に対処 していけば、やがて、製品やサービスの向上が図られ、業界の浄化が進み、補聴器装用者の信頼が得られ、 新たな補聴器人口も見込め、これにより業界の健全な発展に大きく寄与出来るのではないでしょうか。 ★補聴器メーカー □調整技術問題 不適切な調整に起因する「補聴器禍」が補聴器の普及の大きな妨げとなっていますが、調整技術問題を解決し、 補聴器装用者を守る方法は三つあると考えられます。(言語聴覚士は、ここでは対象外とする。) ア.全販売店の調整能力を必要なレベルまで引上げる。 イ.不適格な販売店を排除し、適切な調整技術を持つ販売店を選別する。 ウ.補聴器装用者自身が100%調整できる補聴器を開発する。 (ア)は非現実的、(イ)は客観的判定が困難となれば、残されるのは(ハ)。 「補聴器禍」は根本的に、補聴器の側で解決すべきことではないでしょうか。人の聞こえは数値のみでは把握 できず、又第三者には分からず、聞こえ具合や音の調整は本人が、本人の好みに合わせ行うのが本来の 姿で、且つ、自然でしょう。 新たな発想で、容易に、且つ確実に本人が調整できる“補聴器装用者を主語”とする補聴器を開発すべきです。 調整操作に危惧される点があれば、標準設定に戻すリセット機能をつけ、本人 (乳幼児、小児、高齢者等)が 調整できない場合は、家族や販売店で調整を受ければよいのではないでしょうか。 □使い分け需要 現在の “そこそこ平均点もの”や“一品全難聴・全用途対応型” 補聴機では得られる満足度に限界があり、 万能の補聴器開発の目途が無いのであれば、生活場面に即した製品を開発し、潜在的に存在する「使い分け」 需要に対応すべきでしょう。本人調整型を前提とし、無用な機能は付けず、用途・目的に特化した機能を装備し、 廉価に提供すれば、補聴機装用者は、メガネ同様、複数の補聴器を保有し、状況に応じて使い分けられ、その 選択肢は広がり、需要が増え、市場が大きくなるのではないでしょうか。 (例) 徹底的に音質にこだわる 音楽鑑賞用 言葉の明瞭さにこだわる 通常会話、ラジオ・テレビ用 静かな環境下で離れた声を確実に聞かせる 会議、講演用 職場環境下で明瞭に声を聞かせる 店員,接客業、事務所内勤務者用 雑音、騒音下で明瞭に声を聞かせる レストラン、パーティ用 環境音も取り込み自然な音、声を聞かせる 日常生活用 使いやすく、電話音声を明瞭に聞かせる 通常電話及び携帯電話用 例えば、満足すべき会議専用補聴器が開発されれば、その付加価値に対し、相応の対価を支払う用意のある 補聴器装用者は決して少なくなく、十分開発費用に見合うものではないでしょうか。 □以上により、補聴器装用者にとっては、補聴器は身近なものとなり、選びやすく、使いやすく、店頭でのピント はずれの“押付け調整”の災難からも逃れられ、又補聴器が余りに高価すぎ、正体不明の“通販もの”に手を 出さざるを得ない人達の問題解決にもなります。 メーカー自身にとっては、“調整技術問題“が解決でき、同時に、“補聴器入門者”、 “補聴器不安・不信者”、 “補聴器忌避者”や“補聴器販売店嫌悪者”の安心感、信頼感が得られ、更に高齢化社会による需要、使い分け 需要等で現在の1、000億円程度のちっぽけな市場にきゅうきゅうすることなく、当会の試算では、優にその 30倍の3兆円超の市場に成長せざるを得ない筈です。 ★補聴器購入者 □商品と店を選ぶのは購入者です。購入者が賢明な判断、選択をすれば、好ましくない製品や店の出る幕はなく なります。車やパソコン、ハンドバッグ選びと同様、自分の聞こえと補聴機器について理解し、知識、情報で 武装し、商品、店を吟味する購入者になれば、不覚を取ることはなくなります。 □簡単な販売店の見分け方は、当会が開発した「補聴器相談シート」を作成し、何軒かの販売店を訪問し、「デジ タル式とアナログ式補聴器の違いは?」、「感音性難聴の特徴は?」「(自分で数点補聴機器を選んだ上で) どれが私に一番相応しいですか?また、どうしてですか?」等々二、三質問し、相手の説明、対応を見比べ、 聞き比べれば力量の差は歴然とし、容易に自分にとって相応しい店が選べます。 と、ふと、ここで脳裏をよぎるのは、明日の姿。 補聴器装用者、言語聴覚士、販売店、メーカーのそれぞれの将来は如何に? もし、今後とも「カウンセリング機能」と「補聴機器販売行為」を販売店が行うとなると、、、? もし、言語聴覚士が身近な存在となると、、、? もし、言語聴覚士が身近な存在となり、“第三者調整型補聴器”ばかりだとすると、、、? もし、「カウンセリング機能」と「補聴機器販売行為」が棲み分けられるようになると、、、? もし、言語聴覚士が身近な存在となり、“本人調整型補聴器”が普及していると、、、? もし、言語聴覚士が身近な存在となり、“本人調整型補聴器”が普及していないと、、、? 年と共に言語聴覚士の数が増え、又臨床的な経験が豊かになり、聞こえのカウンセリングから補聴器販売、 調整までを国家試験のお墨付き専門家による取扱いが日常茶飯事となると、やがて“変革の風”が吹き始め、 現在の{ 難聴者 → 医者 → 補聴器販売店 } の流れは影響を受けざるを得ず、これからは、時の流れ として、、、等々という仮定法未来の話しは、頭の体操用のテーマにとっておくとして、最後は、 『補聴器愛用会』についてです。 |