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アドフォフクス社製補聴器試聴テスト □NP-1200試聴テスト結果 □NP-1500試聴テスト結果 □NP-2000試聴テスト結果 □np606(ヘッドフォン型補聴器)試聴テスト結果 「NP−1200」試聴テスト結果 ■試聴テスト ◇試聴テスト対象器種 (株)アドフォクス製「NP−1200」 ◇テスト実施日 2003年3月13日〜同年5月15日 ◇比較対象器種 オーティコン社 アダプト(デジタル補聴器) ベルトーン社 インビザKプロ(アナログ補聴器) シマダ製作所 「みみ太郎」(遠聴支援機 SX007) ◇試聴テスト責任者及び報告者 奥平智明(『補聴器愛用会』副会長) ◇試聴テスト参加者 5名 (感音性難聴者2名、伝音性難聴者1名、混合性難聴者1名、健聴者1名) ■室内での試聴テスト ◇テレビの試聴(2m離れた場所で同一音量でのテスト) 三つのそれぞれ異なる部屋で音響効果の変化をチェックする為に2m離れた場所で、同一音量でのテレビの 視聴テストを行いました。 ・アナログ補聴器では少しこもった音で環境雑音に音声がやや埋もれている感じとなる。 ・デジタル補聴器では室内にいる別の人の声はよく聞こえるが、テレビの音はキンキンとした機械音声になり 非常に聞きづらい。 ・「みみ太郎」ではテレビの音もまわりの人の声、更に雑音すら自然にすっきり聞こえる。 ・「NP−1200」の場合は従来のデジタルとアナログ補聴器の中間のような感じがするが、メリハリがあり、 静かで聞きやすい。 ◇音楽鑑賞 使用機器:CDラジカセ(CASIO社のCD−33C)、及びシステムコンポ 音 源 :ラジオ及び音楽CD(曲目:平井堅「大きな古時計」、ジリオラ・チンクェッティ「雨」、ラヴェル「ボレロ」) ・デジタル補聴器は音としては聞こえているが音の情感や感情を感じ取るのは無理で、アナログ補聴器で どうにか音楽としては聞けるが、聞こえない生耳で聞くよりは音としては鮮明に聞こえるという程度の レベルです。 ・「みみ太郎」では平井堅の伸びやかな音質と情感豊かに歌い上げる音の感情が脳まで伝わります。 ・「NP−1200」でシャンソン風ながら軽快な女性の高音域の曲のジリオラ・チンクェッティ「雨」を聞くとサビの 部分のコーラスはデジタル補聴器よりは臨場感が出ています。又、「NP−1200」で聞くラジオや音楽CDの 再生音はデジタル補聴器よりは自然に近い音で聞こえるが、やや弱い音になります。 ・クラッシックのラヴェル「ボレロ」は各種補聴器の性能テストに最適の曲で、同じ曲想が段階的に高くなり、 最初は低音ながら聞こえるか聞こえないかの音量で始まり、オーケストラの呼吸が合わねば駄曲と成り 下がるほど演奏も難しい曲といえ、それだけに緻密な各演奏者の技量と表現力が問われる曲です。 −デジタル補聴器では曲の部分によってはCDラジカセのボリュームを段々小さくしないと音が大き過ぎて 最後まで聞けません。 −アナログ補聴器でどうにか最初に想定したぎりぎりの低い音量で聞けますが、この曲の豊かな曲想から 音の伸びやかさまでを味わうには限界があります。 −「みみ太郎」では音量は低めでもそのまま最後まで聞け、フィナーレの音の乱舞もきちんと調和のとれた 音割れしない情感豊かな音のハーモニーが良く分かります。 −「NP−1200」では音の周波数域が音声に特化しているとはいえ、デジタル補聴器では真似の出来ない 音楽のひろがりが実感出来ます。しかし、主成分の周波数帯をカットしているという感じで(100本束ねた 鉛筆の40本程を抜き空間が出来た感じ)、聞こえるべき音の周波数帯はふわふわと逃げる感じはしない ものの肝心の音楽の情緒を担う部分が欠落して、ニートプロセッサの長所が欠点と化する音の平板化 現象が発生し、情緒までは充分に楽しめないのが残念でした。 ・一言でその特徴を言えば、従来の音響電子回路にはない、音をセーブしつつも明瞭性を出そうとする働きが ニートプロセッサの最大の特徴だと考えられます。 ◇その他 ・室内では洋室、和室、部屋の広さに関係なく音のこもりやハウリングはよほどの事がない限りありません。 また二重窓を通して室内で外の車の音やふざけあいながら歩く子供達の声が聞こえます。 ・「NP−1200」で目を閉じて音を感じると、時計の規則正しい音、パソコンやオーディオ機器の作動音、 エアコンの振動音等様々な生活音が音による風景として脳内に鮮やかに再現されます。音が聞こえるという 事はこれほどまで心に豊かさをもたらしてくれるものなのだと実感する一時です。 ・唯、欲を言えばきりがないのですが、メリハリの効いた音で聞いて明瞭感はありますが、音の感情が読み 取りづらい音に変化しているきらいはあります。しかし「NP−1200」は音声部分の明瞭性をはっきりさせる のを主眼として開発された製品で、アナログとデジタルの補聴器とは異なる新しい感覚の音の世界をもたらす ものと感じられました。 ■屋外での試聴テスト ◇街中でのテスト ・野外のような解放空間では音がかなり拡散する為、雑踏の中での聞き取りというのは健康な耳であっても、 時々聞き間違いや聞き漏らしをするものです。 ・札幌市内の大通り公園や北一条通や市街地の交通量の多い場所などの解放空間であっても、会話の声や その他の雑音も頭に響く事無く自然に聞こえ、会話をいわゆるダンボ耳、聞き耳立てるという芸当も出来ました。 唯、声の質によっては聞き辛さがありました。 ・会話の聞き分けや音源の空間的な把握は個人差があると思いますが、非常に楽に自然にどこから音が 聞こえて来るかという音源特定は可能です。多少小鳥のさえずっている場所がやや見つけにくい傾向が ありました。唯、残念なのは時計台の鐘の音の響きが消えたようなこもった音になりました。これはこれで 聞きやすいのですがなんとも不思議な感がぬぐえませんでした。 ◇道路歩行でのテスト ・道路歩行テストは、JR札幌駅から行きつけの喫茶店までの旧石狩街道の約六キロの区間でパチンコ店や 自動車の騒音や救急車のサイレン、道行く人々の会話の聞こえを中心にテストしました。 ・パチンコ店内の騒音環境でも人の声はよく聞き取れました。唯、聞きやすい事は聞きやすいのですが雑音 だけを逓減するという機能を持っている訳ではないようなので、何か特定の音を集中して聞く能力の訓練は ある程度必要な気がします。これも長時間パチンコ店のような騒音環境にいると脳の働きで騒音を感じなく するような感覚です。 ◇乗り物内でのテスト ・電車やバスの社内に於ける会話はほぼ問題なく楽に聞き取りも、聞き耳を立てることも出来ます。自分が 会話に参加しているグループの声は人数に関係なく無理なく会話が出来ます。唯、あちこちにいる幾つかの グループの会話を同時に認識するという芸当は相当訓練をしないと難しいでしょうが音声はきちんと脳まで 入ります。チャンネルを切り替えるようにそれぞれのグループの会話を聞き耳立てるということは慣れれば 誰にでも出来ることで、健康な耳の人は自然にこれを行っていますが、「NP−1200」では従来の補聴器 よりもこの可能性を高めているといえます。 ・バスは交通機関の中では車内騒音が一番うるさいものですが、ドアーのブザーとエンジンに近い位置に 立っての「NP−1200」の性能チェックでは後方座席の人同士の会話の内容は把握出来るのですが、 位置が特定しにくい面がありました。色々な音がかぶり過ぎても会話など特定の音に集中して聞き取りを 行なうことは可能です。 ・札幌の地下鉄は自動車と同じゴムタイヤの為騒音と振動が少なくなっており、聞き取りはさほど苦労は ないですが、風を切る音がややうるさいような気がします。 ・札幌にはモーター駆動の市街電車がありますが、振動がややあり、並行して走る車等の周辺騒音もある為、 バスほどではないにしろ車内はややざわつきがあります。座席が通路をはさみ対面となっており、車内空間 が狭いこともあり音響がJR等の電車とはまた異なる特性があるので確認の為テストしましたが、人の会話に ついては全く問題なく聞き取れました。雑音についても苦労することはありませんでした。警笛はかなり大きく 通常の補聴器や「みみ太郎」では警笛音は耳にきついですが、「NP−1200」は和らげてくれるような感じで 聞こえました。 ◇施設内でのテスト ・地下鉄のホームはかなり閉鎖空間として音がこもってうるさい環境ですが、JRのホームの場合は空間が 解放されており音はこもらず、うるさくない環境と言えますすが、どちらの空間に於いても音声が鮮明に聞こえ、 さほどやかましい感じはなくむしろ弱い程です。 ・行きつけの知人経営の広い喫茶店と知人が店長を努めるデパート内テナントのブランド販売店でのテストの 結果です。知人の声は非常に特徴がある為に、比較しやすいので二人と会話しながら、「NP−1200」と 従来の補聴器をテストしました。二人とも男性ながら声が比較的高く響き、声の伸びに独特の癖があり、 場合によっては耳が良くても聞き取り辛い声質です。 又、補聴器によってはこの二人の声がしっかりと拾えないという事があり、アナログとデジタル補聴器の一部の 器種では必要以上に音が変化し過ぎて聞きにくいという現象が出て、音量をあげて聞こうとすると音割れが 発生し、尚更聞き取り出来ないという笑えない悪循環が発生する為、二人には悪いが補聴器の性能を試す には最適の声なので利用させて頂いています。 「NP−1200」ではこの二人の声は充分聞きやすく再現されました。唯、本来の声の綺麗さが少し失われて いました。100本程束ねた鉛筆の40本程度が抜けて空間が出来た感じのいわゆる音の空洞化現象が 感じられます。雑音に埋もれやすい声質の二人の声は美声でもあり、透明感と言うかつやのある声をして いるので少し残念でした。 ・喫茶店とデパートは共に天井高があり、音が上に拡散する傾向とデパートは床が硬い為音が乱反射気味 ですが、雑音に左右される事も無く、会話はよく聞き取れました。更に喫茶店内では後ろ向きのまま顔を見ず 2m後方の席の知人との会話もスムーズに行えました。目で座っている位置を確認していますが、後ろに 目がついているような感覚で会話が楽しめました。この芸当はアナログ補聴器ですと訓練次第で出来ますが、 デジタル補聴器では音声は確かに聞こえるものの、音の全体的な立体的方向感覚を感じる事は非常に 難しく、つまり音源が把握出来ないので、振り向いて位置を確認しないと会話に不安があります。 アナログ補聴器は音全体のつながりが保たれているので音の全体的な立体感覚はまだ感じられますが、 これも訓練しないと無理があります。 「NP−1200」では補聴器に慣れた方であれば音を全体的に、そして立体的に感じられ、より自然に感じ られると思います。しかし、例えば後方音の感知は個人差はあるにしろ室内等の閉鎖空間だとわかりやすい が、屋外等の解放空間だと音が分散する為、ニートプロセッサ特性で音の周波数の選択的なカットがかかり、 立体的に空間把握する為の音の情報は少なく脳に届く為に立体的な把握の能力は落ちるものと考えられ ます。室内の場合は壁などの反射音があり、この影響が良い意味で手助けしてくれ、空間の把握が出来る だけの音の情報が脳まで届けられるようです。 ・美術館は音の環境としては非常に静かな環境で試聴チェックする意味がないと考えられがちですが、空間 としては広いため、静的室内解放空間に於ける音声の聴取り能力テストにはもってこいなのです。美術 鑑賞者の小声のささやきがどの程度聞き取れるかというテストです。 アナログ補聴器とデジタル補聴器とも周囲1〜2m程度の範囲のささやき声しか聴取出来ないのに対して、 「NP−1200」の場合はそれよりもやや広い範囲で、明瞭性はやや落ちますがささやき声も結構きれいに 聞こえます。「みみ太郎」の場合はほとんど盗聴器といった性能ではっきり聴き取れます。 ・コンサートホールと200名収容と400名収容の二つの映画館内でのテストではアナログ補聴器とデジタルの 補聴器を交互に装用し、同じコンサート曲と映画を鑑賞して比較テストを行いました。結果は「NP−1200」は オーケストラの伸びやかなフルハーモニーは平板であるものの理解出来ました。映画もかなり自然に近い、 うるさくない鑑賞が出来ました。 ■総合評価 ・モニターの意見も総合すると、「NP−1200」は従来のアナログ補聴器とデジタルの補聴器に比べると、 「みみ太郎」は別として疲れにくいという特徴があります。これは補聴器使用者にとっては音の聞きやすさに 次いで求められる性能といっても良いと思います。 ・従来の補聴器は広がっている音を網を投げて集める、つまり圧縮するというシステム効果で音に勢いをつけ、 これだけでも音は大きくなるのに更に利得を与える為に収束させてとでも言うのでしょうか、音を“凶暴化” させて耳や脳に伝える為に大変疲れるわけで、必ずしも明瞭、且つ明晰な音ではないといえます。 ・現在のデジタル補聴器は確かに性能は向上しました。チャンネルが細かくなり今やマルチチャンネルの器種も ありますが、耳の聞こえの周波数帯域を分断、細分化させて聞こえの機能不全を起こしているレベルに細かく 合わせるという調整が高度に出来るようになっています。しかし、現実的には補聴器販売店の調整能力はこの デジタル補聴器の高度な性能にとても追いついておらず、低レベルに留まったままでせっかくのデジタル補聴器 が宝のもちぐされとなり、本来の役割を果たしていません。しかし、デジタル補聴器の性能に向上が見られても、 構造的には音を加工していることには変わりがない為に耳や脳への負担は無くならず、聞き疲れの問題は 解決しません。 ・ところが、「NP−1200」のニートプロセッサは音の補正のシステムが違い、このシステムのイメージは前述の 通り、束ねた100本程の鉛筆の40本程度を抜き、空間をもたせることによって音の明瞭化と明晰性を出して いるという従来とは全く逆のシステムで、難聴の種類とレベルによっては使用満足が得られにくい事もあり 今後の改良点ではありますが、聞きやすく、疲れにくい音を聞かせるシステムであると言えます。 ・感音性難聴者向きの補聴器とはいえ老人性難聴者にも充分使用出来ると思います。伝音性難聴者と混合性 難聴者の場合は物足りなさや音量がもう少し必要という意見があり、これらの方々には「NP−1500」や 「NP−2000」が相応しいと言えます。 ・「NP−1200」は電話やオーディオ機器に直接接続出来る外部入力端子がついており、テレビやオーディオ 機器と接続して使え、聞こえは不思議にもいずれの種類の難聴者及び健聴者も唯ヘッドフォンで聞くよりも 非常に音が柔らかく聞きやすいという意見で、明瞭感が高く、聞こえが楽なのと全体的な音が煩わしくないと いう評価でした。 ・「NP−1200」の最初の装用使用時における印象としては、デザイン的には従来のボックス型補聴器の無骨な デザインよりは見栄えがすることと、イヤーホンと一体型のマイクのデザインに関してはデザインセンスを感じ ました。 ・ボックスタイプでありますが、軽量でありデジタルではないが、耳に優しく補聴器の加工された音としての違和感が 軽減された音質が得られるニートプロセッサシステム搭載のアドフォクス製補聴器は試聴する価値があると 言えます。 「NP−1500」試聴テスト結果 ■試聴テスト ◇試聴テスト対象器種 (株)アドフォクス製「NP−1500」 ◇テスト実施日 2004年1月8日〜同年2月17日 ◇試聴比較対象器種 アドフォクス 「NP−1200」 ベルトーン社 インビザKプロ(アナログ補聴器) シマダ製作所 「みみ太郎」(遠聴支援機 SX007) ◇試聴テスト責任者及び結果報告者 奥平智明(『補聴器愛用会』副会長) ◇試聴テスト参加者 7名(感音性難聴者2名、伝音性難聴者1名、混合性難聴者1名、老人性難聴2名、健聴者1名) ■室内での試聴テスト ◇テスト内容 テレビの試聴と音楽鑑賞 使用機器:CDラジカセ CASIO社のCD−33C)、及びシステムコンポ 音 源 :ラジオ及び音楽CD(曲目:平井堅「大きな古時計」、ジリオラ・チンクェッティ「雨」、ラヴェル「ボレロ」) ・「NP−1500」は「NP−1200」の後に開発された事もあり、両者を同一音源で比較した時の顕著な違いは 「NP−1500」では感情と情緒の表現力が格段に向上していることが特筆されます。 ・「NP−1200」では明瞭性は出ていましたが感情や情緒面では平板な感じになっていました。 デジタル補聴器に比べれば合成音声的な無味乾燥さは感じられず、まだ人間的な音でしたが、音の息吹を聞き 取るには難しいものがあったのに対し、「NP−1500」ではピュアさと生き物としての音の躍動感と情緒が感じ られるようになっています。一部の音域ではゆがみが感じられるのと、音階はイコライズ効果で高くなって いますが、バランスの取れた自然な音質を再構成出来ているものと評価出来ます。 ・音量と聞こえを表すと次のようになります。 音量 イメージ 0〜2 明瞭感はあるが物足りない 2〜4 明瞭感が安定し始める 4〜6 明瞭感が最大でバランスが最も良くなる 6〜8 ややうるさい感じ、明瞭度はあまり落ちないが、音域によっては音割れあり 8〜10 高度難聴者には余裕のある聞こえをもたらすが少しづつ微調整が必要な音量 −各ボリュームレベルで音質が変化しますが、「NP−1500」はニートプロセッサーで音質調整する結果、 音質の歪以外に音響的なものと電圧出力による変化のリニア的、直線的な増幅が入るせいで、明瞭性に 差が生じていると思われます。但し、全ての難聴者が細かく音の聞き分けが出来るかというと無理がある為 許容範囲内と言えるでしょう。 −4〜6のボリュームの範囲は非常に完成度と明瞭性の高い音を聞かせてくれます。但し、8を超えると少し 高音域で音割れ気味になる感じがします。報告者の場合は2〜4でも充分納得出来る音ですが、面白い ことに「みみ太郎」も音量4というのは安定した最小の音量レベルのようです。 −「NP−1500」の場合は、オーディオ機器と直接コードをつなげない音源音を本体のイヤホンマイクで聞くと 4で完成度の高い自然な音になっていますが、テレビの音声は少しこもる感じがあります。6がニートプロ セッサの調整能力と相性が良いとみえて明瞭感が最もはっきりします。音楽の場合は周波数同士の連続感が 切れない為に自然で、曲のサビがかなり純粋に楽しめます。こうして聞き比べると「NP−1200」が霞む 感じで、「NP−1500」は段違いに性能が向上した聞こえとなっています。 −「NP−1500」をオーディオ機器やテレビに直接接続コードでつなげた場合の聞こえもやはり4〜6で一番 明瞭感があり安定した自然な音声に近いものとなっています。唯、テレビの音声で低音がやや金属的かな という印象がありますが、周辺の環境音に埋もれた音声を少し引き出す効果としてはデジタル補聴器と同じか 近い性能となっています。女性の高音については少し歪みを感じますが、デジタル補聴器の合成音から 比べると格段に自然です。 −オーディオ機器やテレビに接続した場合、これらの音声と外部の音源の音も同時に聞き取り可能ですが聞く 訓練が必要かもしれません。但し、漠然とした意識の中でも両方間違いなく明瞭に聞き取る場合は音量が 6あれば大丈夫です。使用者の難聴レベルにもよりますが6以上の音量は微調整が必要ですのでむやみに 音量をあげない方が無難です。 ・「NP−1200」は濃すぎる音を間引いて聞きやすくしてくれる半面、音量との相性が今一つの為に明瞭感が 弱々しいのが欠点でしたが、「NP−1500」はこの欠点を補って余りある性能です。 ・音量と音質のバランスは「NP−1200」と比べ物にならない程、高利得での安定感と明瞭性が出ています。 難聴の種類とレベルによっては利得の音量で8以上の出力でも聞き取りが出来ないケースと出来るケースに 分かれました。デシベルレベルで70が「NP−1500」の安定利用の限界ではないかと考えられます。 ・「NP−1500」は完成度も高く、適応範囲が相当広く期待出来る製品であることは間違いありませんが、 難聴は一筋縄ではいかないもので、一つの製品で全ての難聴と環境に対応するのは無理です。高度難聴や デシベルレベル80の難聴者が使用する場合は適合者と使用が不可能とは言わないまでも不適合者に二極 分化します。販売する場合は高度難聴も使用可能とするのは信頼性に問題が生じますので、対応可能な 範囲を「聴力測定でデシベルレベル70以上の方は試聴した上でお買い上げください」等と明確に表記し、 販売される事をお勧めします。 ■屋外での試聴テスト ◇街中でのテスト ・大通り公園や市街地の交通量の多い場所等の解放空間であっても、会話の声やその他の雑音も頭に響く 事無く自然に聞こえ、会話に聞き耳立てるという芸当も出来ました。「NP−1200」は声の質によっては 聞き辛さがありましたが「NP−1500」では平均的な聞き取りの良さに改良されています。 ・会話の聞き分けや音源の空間的な把握は個人差があると思いますが、非常に楽に自然にどこから音が来るか という音源特定は可能で、「NP−1200」ではさえずる小鳥の居場所が見つけにくい傾向があったものが、 半径3m、高度3m内外という条件では「NP−1500」では判別が可能です。唯、カラスの鳴き声は耳障りな 声に変質していました(甲高いようなくぐもったような不快感のある声)。 ・「NP−1200」では残念な事に時計台の鐘の音は響きが消えたようなこもった音でなんとも異様な感じが ぬぐえずどこか空虚な響きだったのが、「NP−1500」では時計台の鐘の連打(六点鐘)による音響確認では 伸びやかな響きと連打によるハーモニーが的確に捉えられ、やや高音化はしますがなかなか澄んだ音色と なっています。 ◇道路歩行でのテスト 道路歩行テストは、JR札幌駅から行きつけの喫茶店までの旧石狩街道の約六キロの区間でパチンコ店や 自動車の騒音や救急車のサイレンや道行く人々が交わす会話の聞こえを中心にチェックしました。 パチンコ店内の騒音環境でも人間の音声はよく聞き取れました、唯、聞きやすい事は聞きやすいのですが 雑音だけを逓減するといったシステムを搭載しているわけではないようなので何か特定の音を集中して聞く 能力のトレーニングはある程度必要なのは「NP−1200」も「NP−1500」も同じです。 ◇乗り物内でのテスト ・「NP−1500」の場合、鉄道とバスの車内に於いても会話はほぼ問題なく楽に聞き取りも、聞き耳を立てる ことも出来ます。自分が会話に参加しているグループ内であれば人数に関係なく電車とバス車内での会話は 無理なく出来ます。唯、幾つかのグループの会話を同時に認識するという芸当は相当訓練しないと無理の ようですが、音声はきちんと脳まで入ります。 チャンネルを切り替えるようにそれぞれのグループの会話に聞き耳を立てるということは慣れれば誰でも 出来ることですが、「NP−1500」は「NP−1200」よりもこの可能性を高くしています。 ・車内騒音の一番うるさいバスの場合ですが、敢えてドアのブザーの近くでしかもエンジンに近い位置に立ち 「NP−1500」の性能テストをしたところ、後方に座っているお客さん同士の会話の内容も位置も把握出来る ようになりました。いろいろな音がかぶり過ぎても会話など特定の音に集中して聞き取りを行なうことは 可能です。 ・アナログやデジタル補聴器の場合、他の音もかなり気になるのですが、「NP−1500」の場合は雑音を意識 して無視出来ます。「NP−1500」は「NP−1200」よりも初心者には雑音の無視に関してはかなり柔軟に 対応する製品ではないかと思います。 ・地下鉄車内ですが、ゴムタイヤの為騒音と振動が少なくなっており、聞き取りはさほど苦労はないですが、 風を切る音がややうるさいような気がします。 ・振動や車内のざわつきのあるモーター駆動の市街電車では人の会話については全く問題なく聞き取れました。 雑音についても苦労することは無かったですが、通常の補聴器や「みみ太郎」だと警笛音は耳にきつい ですが、「NP−1200」同様「NP−1500」では音を和らげてくれるような感じで聞こえました。 ◇施設内でのテスト ・閉鎖空間として音がこもり、うるさい地下鉄ホームと開放空間と言えるJRのホームでテストをした結果、どちらの 空間ででも音声が鮮明に聞こえ、さほどやかましい感じはなくむしろ弱い程です。 ・行きつけの知人経営の広い喫茶店と知人が店長を努めるデパート内テナントの販売店でテストをしました。 知人は声に非常に特徴があるために、比較しやすいので二人と会話しながら、「NP−1500」と「NP−1200」 を比較テストすると、「NP−1200」はこの二人の声は十分聞きやすく再現されていたものの本来の声の 綺麗さが少し失われていたものが、「NP−1500」では本来の綺麗さが相当忠実に再現されています。この 二人の声の透明感というか、つやのある声をしている部分もよく感じられ、雑音に埋もれやすい声質にも かかわらずクリアな感じになっていました。 ・天井の高い喫茶店とデパートでは音が上に拡散し、床の硬いデパートでは音が乱反射気味でしたが、雑音に 左右される事無く、会話はよく聞き取れました。更に喫茶店内では、後ろ向きのまま2m後方席の知人との 会話がスムーズに行なえ、後ろに目がついているような感覚で会話が楽しめました。 「NP−1200」の場合だと補聴器初心者には不安がありますが、「NP−1500」であれば補聴器に慣れて いない人でも音を全体的に、立体的に、そして自然に感じ取れると思います。 「NP−1200」の場合は音の立体的な把握の能力は落ちますが、「NP−1500」では全体的な把握が 半径3m内外まで可能だと思われます。 ・空間としては広く、静的室内解放空間に於ける音声の聴取能力テストにはもってこいの美術館と図書館では 小声のささやきがどの程度聞き取れるかというテストをしました。アナログ補聴器とデジタル補聴器のいずれ もが、周囲1〜2m位の範囲のささやき声しか聴取出来ないのに対し、「NP−1200」ではやや広い範囲での ささやき声が明瞭性は落ちるが結構綺麗に聞えていました。しかし、「NP−1500」ではボリューム調整に よりかなり盗聴器的な性能に向上していました。 図書館の場合は小声の会話でも聞き取りの精度は素晴らしくボリュームの4で充分でした。 ・コンサートホールと映画館内でのテストはアナログとデジタル補聴器を交互に装用し、同じコンサート曲と 映画を鑑賞して比較テストを行いました。結果は「NP−1200」はオーケストラの伸びやかなフルハーモニー は平板であるものの理解出来、映画もかなり自然に近いうるさくない鑑賞が出来たというレベルから「NP− 1500」は「みみ太郎」に近い性能で音が軽く、聞きやすく、疲れないという特性がいかんなく発揮されました。 唯、ボリュームは2〜4でも良いくらいであり6以上だと鮮明さと音の自然さについては落ちないまでも利得が 上がることによる微妙な音割れと一部周波数帯域のゆがみが出ます。通常使用に於いては特段の不備や 問題はないと考えますが、やはり全体的に音階として上がった感じが残ります。よほど音はこうあらねばなら ないという神経質な方でない限りは製品としての完成度は高いと思われます。 ・強いていうと、難聴の種類とレベルによって適合する適合しないという問題はどうしても発生します。より オールマイティな補聴器に仕上げるとすればトーン調整機能は必要だと思います。特に混合性難聴と老人性 難聴の場合、ボリュームと同じくトーンの微調整機能が付いていればより適合性が高くなるものと考えます。 ■総合評価 ・「NP−1200」と「みみ太郎」とアナログ補聴器の比較データについては「NP−1200」の試聴レポートと 変わりがありませんが、「NP−1500」と「NP−1200」との性能差は非常に大きいことが判明しました。 ・「NP−1500」は「みみ太郎」とアナログ補聴器の音質に非常に近く、両者の中間的な高性能の域に達して います。ニートプロセッサのイコライザ機能は具体的に表現すると100本束た鉛筆を約40本抜いて空間が 出来、質量的な密度が薄くはなっているものの音の質と響きを損なわない状態に音圧と音の密度の間引きを していると言えます。この特徴的な機能は「NP−1200」と比べると格段に改良されており、「みみ太郎」に 近い集音と音を感知させる性能とデジタル補聴器では不可能な周波数の連続性のある自然な音をアナログ 補聴器と同じように聞かせてくれる性能に仕上がっています。 ・「みみ太郎」と比較した時に「みみ太郎」は非常に濃厚な音の為に既存の補聴器の中で完全に聴かせるという 性能に於いては完全ですが、聞き疲れしやすいという欠点があります。ところが「NP−1500」は明瞭性が高く、 利得をあげても音が崩れず維持出来ている上に、軽く疲れ難いという優れた点があります。 ・ボリュームによってやや音質がぶれる特性があるのと、デジタル補聴器のように極端に音を合成して聴かせる というシステムではありませんが、特定周波数帯域で音のゆがみはありますが、許容出来る範囲内で問題は ないと思います。 ・おおよその音声の歪みの周波数帯域ですが、報告者の直感で申せば、低音域では200〜600Hzの範囲と 高音域では2000〜3000Hzの辺りではないかと思います。気になる程ではないですがボリュームの6〜8と 特にテレビに接続した場合にゆがみが感じられます。通常のオーディオ機器だと相性の問題があるかもしれ ませんが、「NP−1500」では特段気になりません。 ・音楽についてはCDのデジタル録音の影響もあるかもしれませんがかなり綺麗であり、鮮明感があります。 言語の構成要素の周波数としては第二ホルマントで歪んでいると推測出来ます。音声的には「ま」行と「か」行で 聞き取り間違いが起きるケースがあります。 ・騒音環境としての札幌駅の雑踏、バス及び地下鉄、JR車内に於ける集音は半径3m範囲であれば聞く訓練を すれば聞き分けが可能です。又、半径1mであれば音声の識別はほぼ360度死角が無い状態で聞き取れ、 一般的な使用状況においては問題ないと考えます。 ・時計台の鐘の連打(六点鐘)による音響確認ではデジタル補聴器については綺麗と言えば聞こえは良いですが、 完全に合成音で感情も情緒も全くありませんし、器種によっては雑音扱いでカットされて表現しようのない変な 音になります。 「NP−1500」では伸びやかな響きと連打によるハーモニーが的確に捉えられ、やや高音化はするもののなか なか澄んだ音色です。「NP−1200」の場合は妙に寸づまりのような“ぼすん”という鈍いような音でしたが、 「NP−1500」は100年前の鋳物の不純物混じりの重厚な音が単音化されてはいますがきちんと澄んだ音で 聞けました。 「みみ太郎」ではフルサウンドで、“ガンっ、があぁぁ〜ん〜っ”という響きで「NP−1500」だと“カンっ、 カあァーン〜”という単音化して4分の1から半音くらい高くなって澄んだ響きとなっています。アナログ補聴器の 場合はまるみと連続性があって抑制が効いた感じで、“ガンっ、かあ〜ん”という感じです。 「NP−2000」試聴テスト結果 ■試聴テスト ◇試聴テスト対象器種 (株)アドフォクス製「NP−2000」 ◇テスト実施日 2004年7月5日〜同年8月6日 ◇比較対象器種 ベルトーン社 インビザKプロ(アナログ補聴器) オーティコン社 アダプト(デジタル補聴器) アドフォクス社製 NP−1200 アドフォクス社製 NP−1500 シマダ製作所 遠聴支援機 SX007(以下、「みみ太郎」) ◇試聴テスト責任者及び結果報告者 奥平智明(『補聴器愛用会』副会長) ◇試聴テスト参加者 7名 (感音性難聴者3名、伝音性難聴者1名、混合性難聴者1名、健聴者2名) ■室内での試聴テスト ◇テレビの試聴テスト 2メートル離れた場所で同一音量でのテスト 音楽鑑賞 使用機器:CDラジカセ(CASIO社のCD−33C)、及びシステムコンポ 音 源 :ラジオ及び音楽CD(曲目:平井堅「大きな古時計」、ジリオラ・チンクェッティ「雨」、ラヴェル「ボレロ」) ・「NP−1200」は音の明瞭性は出ていましたが感情、情緒の面では平板な感じになっていましたが、デジタルの 合成音声風の無味乾燥さからはまだ人間的な音ではあるが、音の息吹を感じるのは難しいものがありました。 ・「NP−1500」ではピュアさと生き物として音の躍動感と情緒が感じられました。一部の音域では歪みが感じ られるのと、音階的にはイコイライズすることにより高くはなっていますが、バランスの取れた自然な音質を 再構成出来ています。 ・「NP−2000」はその「NP−1500」と比較すると感情と情緒の表現力が格段に向上しており、音の軽快な 再現性が高いものと評価出来ます。 ・音量と聞こえを表すと次のようになります。 音量 イメージ< 0〜2 明瞭感はあるが物足りない 2〜4 明瞭感が安定し始める 4〜6 明瞭感が最大でバランスが最も良くなる 6〜8 ややうるさい感じ、明瞭度はあまり落ちないが、音域によっては音割れあり 8〜10 高度難聴者には余裕のある聞こえをもたらすが少しづつ微調整が必要な音量 −4〜6のボリューム範囲は非常に完成度と明瞭性の高い音を聞かせてくれます。ただし8を超えると少し 高音域で音割れ気味になる感じがします。オーディオ機器やテレビの聴こえもやはり4〜6で一番明瞭感が あり安定した自然な音声に近いものとなっています。テレビの音声で低音がやや金属的かなという印象が ありますが、周辺の環境音に埋もれた音声を少し引き出す効果としてはデジタル補聴器と同じか近い性能と なっています。女性の高音については少し歪みのあった「NP−1500」から比べると改善されており、 デジタル補聴器の合成音から比べると格段に自然です。 −明瞭に聞き取る場合は音量は4あれば大丈夫です。唯、使用者の難聴のレベルにもよりますが6以上の 音量は微調整が必要でむやみに音量をあげない方が無難なようです。 −「NP−1200」は濃すぎる音を間引いて聞きやすくしてくれる半面、音量との相性が今一つの為に明瞭感が 弱々しいのが欠点ですが、「NP−1500」はこの欠点を十分に補っているのに対して「NP−2000」は 性能的に更に改善されていると言えます。 −音量と音質のバランスは耳掛け型の特性がボックス型の「NP−1200」や「NP−1500」と比べ物に ならない低利得での安定感と明瞭性が出ています。難聴の種類とレベルによっては利得の音量で8以上の 出力でも聞き取りが出来ないケースと出来るケースに分かれました。 デジベルレベルではやはり70が安定利用の限界ではないかと考えられます。 −高度難聴やデシベルレベル70の難聴者の場合は使用可能者と不可能とまではいわないまでも不適合者に 二極分化します。販売する場合は高度難聴も使用可能とするのは信頼性に問題が生じますので、「聴力 測定でデシベルレベル70以上の方は試聴した上でお買い上げください」という但し書きは「NP−1500」 同様に必要と考えます。 ■屋外での試聴テスト ◇街中でのテスト ・時計台の鐘の連打(六点鐘)による音響確認では伸びやかな響きと連打によるハーモニーが的確に捉えられ、 温かみのある自然なむしろ明瞭感のあるなかなか澄んだ音色となっています。 「NP−2000」は「みみ太郎」と同様、フルサウンドで、「ガンっ、があぁぁ〜ん〜っ」という澄んだ響きで、自然で 明瞭感のある軽いながらも存在感のある素晴らしい音色で聞こえます。 ・大通り公園や北一条通や市街地の交通量の多い場所などの解放空間であっても、会話の声やその他の雑音も 頭に響く事無く自然に聞こえ、聞き耳を立て会話を聞き取るという芸当も出来ました。 「NP−1200」の時には声の質によっては聞き辛さがありましたが、「NP−1500で平均的な聞き取りの 良さになり、「NP−2000」では会話の聞き分けや音源の空間的な把握は非常に楽に、自然に出来ます。 ・どこから音が来るのかという音源特定性能は耳掛け型の特性もあり、小鳥のさえずる場所も半径3mで高度 3m内外では判別出来ます。「NP−1500」でカラスの鳴き声は耳障りな音で甲高く、くぐもったような不快感の ある声に聞こえますが「NP−2000」では違和感は感じません。 ◇道路歩行テスト 他のNPシリーズ製品テストと同様にJR札幌駅から行きつけの喫茶店へまで続く旧石狩街道の約6kmの 区間でパチンコ店や自動車の騒音、救急車の音や道行く方々の会話の聞こえを中心にチェックしました。 パチンコ店内の騒音環境下でも人の声はよく聞き取れました。唯、聞きやすいのは聞きやすいのですが雑音 だけを逓減するといったシステムを搭載している訳ではないようなので、何か特定の音を集中して聞く能力の トレーニングはある程度必要となるのは「NP−2000」も他の二器種と同じです。 ◇乗り物内でのテスト ・電車とバスの車内での会話はほぼ問題なく、楽に聞き取りも、聞き耳を立てる事も出来ます。会話に参加して いるグループ内であれば人数に関係なく車内での会話は無理なく出来ます。唯、あちこちに散らばる幾つかの グループの会話を同時に認識するという芸当は無理ですが、音声は間違いなく脳まで入ります。チャンネルを 切り替えるようにそれぞれのグループの会話を聞き耳立てるということは慣れれば誰でも出来ることですが、 「NP−2000」は「NP−1500」よりもこの可能性を高くしています。 ・交通機関の中で車内騒音の一番うるさいバスですが、ドアの乗降ブザーの近くでしかもエンジンに近い位置に 立ち「NP−2000」の性能チェックしたところ、後方座席の人同士の会話の内容も位置も楽に把握出来ました。 アナログやデジタル補聴器の場合他の音もかなり気になるのですが、「NP−2000」ではいわゆる雑音を 意識して無視する事が出来ます。 ・地下鉄車内ですが、ゴムタイヤになっている事もあり聞き取りについては問題ありません。唯、風を切る音は やはりややうるさいような気がします。 ・モーター駆動の市街電車内はざわつきがありますが人の会話については全く問題なく聞き取れ、雑音に ついても苦労する事はありませんでした。警笛はかなり大きく通常の補聴器や「みみ太郎」だと音の響きが 耳にきついのですが、「NP−1500」同様、「NP−2000」は和らげ、そして明瞭性も出ています。 ◇施設内でのテスト ・地下鉄やJRのホームのいずれの空間に於いても鮮明な音声が聞こえて、さほどやかましい感じはせず、 むしろ弱いくらいです。 ・「NP−1200」、「NP−1500」の時と同様に行きつけの知人経営の広い喫茶店と知人が店長を勤める デパート内テナント販売店で「NP−2000」テストをしました。 −「NP−2000」では本来の声の綺麗さが相当程度再現されています。この二人の声は美声ですが、 透明感と言うか艶のある声をしている部分も良く出ていました。ある意味では雑音に埋もれやすい声質 なのにクリアな感じで聞き取れました。 −喫茶店とデパート共に天井に高さがあり音が上に拡散する傾向とデパートは床が硬いため音が乱反射 気味ですが、これらに左右される事無く、会話は良く聞き取れました。更に喫茶店内では、後ろを見ないで 2m後方席の常連客の知人との会話もスムーズに行えました。一応目でも座っている位置は確認して いますが後ろに目が付いているような感覚で会話が楽しめました。 唯、アナログ補聴器では音のつながりが保たれているので音の全体的な立体感覚がまだ感じられますが、 訓練の必要があります。 −「NP−2000」は耳掛け型ということもあり、補聴器に不慣れな方でも音全体を立体的に方向を自在に、 より自然に感じられると言えます。 −「NP−2000」の場合、室内等の閉鎖空間だと立体的に音を把握しやすいが、屋外等の解放空間では音が 分散する分ニートプロセッサ特性で音の周波数の選択的なカットがかかり、脳に送り届けられる空間を把握 する為の音の情報量が少ないせいで立体的な把握の能力は落ちます。 室内の場合は壁等の反射音がありこの影響が良い意味で手助けしてくれ、音の全体的な空間の把握が 半径5m内外まで可能だと考えます。 ・美術鑑賞者の小声のささやきがどの程度聞き取れるかというテストでは、アナログ補聴器とデジタル補聴器の いずれもが、周囲1〜2m位の範囲のささやき声しか聴取出来ないのに対して、「NP−2000」の場合は それよりもやや広い範囲でのささやき声が聞き取れ、且つ明瞭性も確かめられます。 ・「NP−2000」ではボリュームとの相性とマイクの位置が自然である事によりかなり盗聴器的とも言える性能を 有しており、図書館では小声の会話も聞き取り精度は素晴らしくボリュームの4で十分でした。 ・コンサートホールと映画館でのテストはアナログとデジタルの補聴器を交互に装用し、同じコンサート曲と同じ 映画を鑑賞しての比較テストを行いました。 結果は「NP−1200」はオーケストラの伸びやかなフルハーモニーは平板であるものの理解出来、映画も かなり自然に近く、うるさくない鑑賞が出来たというレベルから「NP−1500」では「みみ太郎」に近い性能で 音が軽く聞きやすく疲れないという特性があります。 「NP−2000」では「NP−1500」の特性に更に臨場感と軽やかさが感じられ、これらが無理なく両立して いました。唯、ボリュームについては2〜4でも良い位であり、6以上では鮮明さと音の自然さについては低下 しないまでも利得が上がる事による微妙な音割れと一部周波数帯域の歪みが出ます。通常の使用では特段の 不具合や問題はないと考えますが、やはり全体的に音階として上がった感じは残ります。よほど音に対して 細かい神経質な方でない限りは製品としての完成度は高いと思われます。 ■総合評価 ・騒音環境としての駅の雑踏(札幌駅)、バス、地下鉄及びJR車内における集音は半径5m範囲であれば訓練は 必要ですが、聞き分けは可能です。また半径2mであれば音声の識別はほぼ360度死角がない状態で聞き 取れますので一般的な使用状況に於いては問題ないと考えます。この点はボックス型の「NP−1200」と 「NP−1500」からはマイクの位置が自然な耳の位置にあることが格段の性能向上につながっています。 ・NP−1200」と「NP−1500」と比べた「NP−2000」(テストに使用したのは耳掛け部分が改良される前の 旧型)の性能差は利得との相関関係に於いては非常に大きいと考えられますが、「NP−2000」は「NP− 1500」よりも「みみ太郎」とアナログ補聴器の音質に非常に近く、両者の中間的な高性能の域に達しています。 ・ニートプロセッサのイコイライザ機能は具体的に表現すると100本束ねた鉛筆を約30から40本抜いて空間が 出来て質量的な密度が薄くはなっているものの音の質と響きを損なわない状態に音圧と音の密度の間引きを しています。この特有の機能が万全に機能した上で、脳で聴く感度としての満足感と明瞭性が「NP−1200」 及び「NP−1500」と比べると格段に進化しており、「みみ太郎」に近い集音と音を感知させる性能があり、 デジタル補聴器では不可能な周波数の連続性のある自然な音をに聞かせてくれる性能に仕上がっていました。 ・「みみ太郎」と比較した時に「みみ太郎」は非常に濃厚な音の為に性能としては既存の補聴器の中で完全に 聴かせるという性能においてはパーフェクトですが、疲労しやすいという欠点があります。ところが「NP− 2000」は明瞭性が高く、利得をあげても音が崩れずに明瞭性を維持出来ている上に軽く、疲れづらいと言う 優れた長所があります。 ・ボリュームによってやや音質がぶれる特性があるのと、デジタルのような極端な音を合成して聴かせるという システムではありませんが、特定周波数帯域で音の歪みはありますが、問題になるとは考えられません。 ・「NP−2000」の性能は以上を踏まえた、「NP−1200」と「NP−1500」の性能の良いとこ取りという完成度 としては非常に高い仕上がりになっており、音質も自然でありバランスのとれたものとなっています。 「みみ太郎」の音域縮小版という特徴の中に疲れず、ハーモニーとしての音が均質に、そして音の情感を損なわ ない状態になっているという優れものです。 ・実証テストの最大の素材である時計台の鐘の音色が素晴らしい臨場感と軽めの音となりながらも存在感ある 音響に変化しています。時計台の鐘の音色は実は耳の健康な方や「みみ太郎」を通さないで難聴者が聴いても けっこう鬱陶しい音色でもあるのですが、これが軽い感じの音になりながらも実のある音に、しかも不自然さが ないという信じがたいリアリティがあります。音というものがこんな素敵なものなのという認識を与えてくれる 補聴器ではなく、音を聴かせる器具と言えます。 ・欠点的なことはデザインのみに集約されると思います。下手に回路設計やソフトをいじくり回す必要はない 仕上がりです。 ・利得の面では4と6の時が最良のハーモニーです。6以上にするとやや崩れます。軽度の方は4で十分であり 6は中度からやや高度まで対応可能です。ある意味では「みみ太郎」のボリュームの特性の4が万能の利得 数値になっているのと同じく6以上の利得はする必要がありません。但し、物足りないという方の場合でも7以上 にするのは控えた方が良いという事を付記します。 ・性能的にはKアンプ(評価の高いアナログ式アンプ)の代替が出来る上に疲れないという優れた独自の性能が 完成していると言っても過言ではありません。しかし、通常の補聴器のように遠くから指向的に音を引っ張る能力は ないものの日常生活の範囲では差し支えないでしょう。体育教師で余程広い場所で多数の生徒を指導する場合で なければこの性能で十二分です。 ・屋外の場合は半径10m以上の音源からの集音は指向性のマイクを使用していない為に多少はぼやけますが、 耳掛けタイプなのでマイクの位置が自然な位置にある為に、会話や野外コンサート等には十分対応出来ます。 又、室内での集音性能は50畳程度の中宴会場から教室程度の広さの環境では十分に対応出来ます。 大宴会場やコンサートホールの場合は室内であり、音響効果も十分な為に指向性マイク出ない事のマイナス面は 無く、片耳でも不自由はなく、両耳であれば自然で十分な聴こえが堪能出来ます。しかし、あくまでも方向感覚の バランスの面では、両耳装用をおすすめします。 ・強いて音声の歪みの周波数帯域があるとすれば低音域に多少あり、低音域では200〜600Hzの範囲で明瞭度 を出しつつ重くならないように削る感じで、同様に高音域は歪んでいるというよりも削っているが無理していない という印象です。 視覚的に表現すると、従来の表現では100本束ねられた鉛筆を約30から40本抜いて空間が出来て質量的な 密度が薄くはなっているものの音の質と響きを損なわない状態に音圧と音の密度の間引きをしているとなる ところを、高さが同じで先端部分の直径が同じ普通のずん胴のロウソクと和ロウソクの形の違いと言えます。 和ロウソクは自然な曲線で痩せているが調和のとれた美しい曲線です。同じサイズの普通のずん胴のロウソクの 体積が減っているような感じといえば一番近いと思います。だいたい4000〜5000Hzの辺りではないかと 感じます。 ・NPシリーズのニートプロセッサはアナログ技術で軽快さと明瞭性を両立させているところに特徴がありますが、 難聴の種類とレベルによっては適合する、適合しないという問題はどうしても発生します。 一器種で全ての難聴に対応するには無理があり、複数の器種がある事により柔軟に対応出来ると言えます。 ★その他 ☆ np−606試聴テスト結果についてはこちらをご覧下さい。 ☆ 製品の仕様及びニートプロセッサについてはこちらをご覧下さい。 ☆ メーカーのアドフォクス(株)についてはこちらをご覧下さい。 只今、モニター募集中!! ★モニター協力者にはモニター割引きの特典あり! |