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2020年 8月 2日 [引き続き、新型コロナウィルスのこと]

 久し振りの書き込みです。
 事態は収束するどころか拡大の一途、不安な日々は続きますね。
 11月に福岡の九州大学で予定されていた森田療法学会は、来年に延期。学会主催の森田療法セミナーも、今年度の開催は延期されていて、秋からオンラインでやっと始まる予定です。
 もちろん世間一般の他のセミナーなども軒並み中止や延期で、半年ごとに開催していた森田ピアスクエアの公開セミナーも、残念ながら今回は中止しました。毎月の定例会も、オンラインの開催で、なんとか皆さんとの交流の場が持できている状況です。
 このオンラインの開催というのは、交流会でも懇親会でも、当初は実際に集まる事の代替手段と考えていましたが、実際にやってみるとそれぞれに良さもあり、なかなか面白いものだと思っています。
 直接会わないことで、人によっては過度の緊張に陥らないこともあるし、PC画面を見ていると、皆さん自分の方を向いていてくれて、普段とは違う気持ちの繋がりを感じることもあります。発言している自分の顔も見えるので、これも普段とはちょっと違う感覚ですね。
 もちろん、遠方からの参加も自由だし、忙しくて会場までは行けないけれど途中で少しだけ顔を出してみたいというのも、自由にできます。
   また、懇親会では、いつもはちょっと人数が増えるとテーブルごとに話題が変わったり、隣の会話が分からなかったりという事もあるのですが、オンラインではグループ分けをしなければ、いつも同じ一つの話題で話が進んでいきます。
 恐らく、ピアスクエアの交流会もこの先何度かオンライン開催になることがあるとは思うのですが、こんな中からオンラインならではの“良さ”を引き出していければ、「何かの代わりではない、初めからのオンライン企画」も考えていけるのではないかと思っています。
 ところで、毎日の報道でその日の数字ばかり気にしていると、新型コロナ中心に生活が回っているような、そんな気持ちになってしまいます。
 最近は、非常事態宣言が出されたときよりはるかに感染が拡大していて、色々な思惑やしがらみなどで、恣意的とも言えるような政策が出される中、私達はいったいどうして行けばよいのでしょうか。
 やはりこんな状況では、情けない話ではありますが、せめて自分たちの責任で予防し、その結果も自分たちで受け入れる覚悟しかない、自己防衛しかないようですね。
 そのためには、私達が的確な判断ができる様に、せめて正しい情報の提供くらいは欲しいものです。単なる日々の数字だけでなく、現状の体制や専門家の方々の意見など、意図的に偏ることなく客観的に発信されることが重要だと思います。
 こんな機会に、ぜひとも具体的な事実に目を向けて、じっくり腰を据えて「自分で考える力」を養っていきたいものです。神経質者の持つ性格特性を、観念の世界で空回りさせること無く、適切に活かしていくことこそが、今の状況の中で、私たちなりに安心できる生き方ではないかと思っています。

2020年 4月12日 [自粛生活の中で]

 前回の書き込みから二週間ですが、 緊急事態宣言も出され、身の回りはどんどん変わってしまいましたね。不安を通り越して、怖さすら感じます。
 なにからなにまで行動が縮小して、窮屈な日々かと思いますが、皆さん毎日どんな生活をしていますか。
 テレワークと言われても、職業柄とても無理だという方も多いかと思います。外出するなと言われても、買い物に行かない訳には来ませんしね。
 皆さん、不便な毎日でお困りかと思います。
 ところで、元々神経質者は不安に出合った時に、不安に注意が向いてどんどん行動をためらってしまうことが多いのですが、行動を控えるとともに、それではいけないという自省的な思いや、やっぱり本当は動きたいんだという欲望など、色々な矛盾・葛藤が生まれてきます。
 そこから、自分らしいバランスの取れた生き方に繋がっていけるのが、森田療法が教えてくれていることだと思います。
 さて、では、今のコロナ不安と自粛制約の中、その葛藤はどんな形で表れてくるのでしょうか。これは、この間、色々な方と話したり、メールや掲示板でやり取りしていく中で、気づいたことです。
 まず、感染拡大不安、自粛ムードの中、当然ですが不安に包まれ行動縮小。手洗いとかマスク、目をこすらないとか、三密を避けるとか、そんな具体的な策よりも、とにかく不安で外出を止めてしまう。
 これはこれで、自然な反応ではあると思いますが、漠然とした不安で全体を捉えてしまっているのですね。
 でも、そのうちに具体的に一つずつの不安に向き合って、それぞれのシーンでの必要な策を講じながら、最低限のやりたいことをやり始めたり、外出したり。
 その後、自粛ムードが要請に変わりつつあるころから、多くの方々から、動きたくてうずうずしてきたという話が出始めました。
 元々持っている活動欲が、部屋の中で不安な報道ばかり見ている時間に耐えられなくなってきたのでしょう。まさに、欲望の賦活と言えます。
 そして、素晴らしいことにその活動欲の方向は、今まであまりやっていなかったことや、やりたくても手を出さなかったことなどに向き始めているようです。やらされ感や義務感ではなく、ふっと湧いた感覚に乗っての動きです。
 決して、大きなテーマに取り組んでいるわけではないのですが、野菜の苗を植えたり、部屋の掃除に精を出したり、料理にちょっと工夫を凝らしたり、初めて漬物つくりをやって見たり、マスクつくりなどは一石二鳥です。積んでいた森田の本に目を通し始めた方もいらっしゃいます。
 世の中の大変さは相変わらずではありますが、こんな皆さんのお話しを聞いていると、神経質者の自然に生きる力、自発的な活動の力を感じます。
 この状況がいつまで続くのか、長期戦の兆しもありますが、その時その時の制約の中で、出来ること、やりたいことを最大限やって、でも境遇には柔順に、安心できる状態まで自分らしい生活を続けていきたいものです。
 とは言え、身の回りは感染の危険はいっぱい。見えない危険ではありますが、まるであたかも見えるものの様に捉えてみて、除菌、手洗いなど徹底しながら、日々ご自愛ください。

2020年 3月28日 [新型コロナウィルスの感染不安]

 最後の書き込みから、ずいぶん経ってしまいましたが、その間に世界中は大変なことになってしまっていますね。年末から、3ヶ月足らずでこの事態。恐怖や不安と共に、その拡大の勢いに驚くばかりです。
 年末には、今年は今まで以上に多くの企画をやっていきたいと書きましたが、森田ピアスクエアでも講座の中止、読書会やトーキングナイトの中止など、活動の縮小を余儀なくされています。参加を希望される皆さんには、ご不便をおかけしています。
 ほとんどの方が、外出や日々の行動など、不便で窮屈な生活を送っていることと思いますが、こんなとき、神経質の症状にとらわれやすい方々は、つい漠然と抽象的に物事をとらえ、大きな不安の前で立ちすくんで動きができなくなってしまいがちですね。
 感染が恐い、だから人の集まるところには行けない、とにかく外出できない。こうなると生活は縮小するばかり。
 もちろん、日々状況は悪化していますから、ある程度の生活縮小はやむを得ないことでしょう。オリンピックの延期も決まったので、これからはもっと検査数が増えて、公表される感染者数も増えてくると思います。
 こんな時に大事なことは、常に漠然としてではなく、具体的な実際のこととして考えていくことだと思います。全てが不安の大きな塊としてとらえてしまうと、何もできないし、どこにも行けない生活になってしまいます。
 具体的な行程、段取り、手順、想定される環境などの中で、どこでどのように対策をとれば、どの程度までは動けるか、やりたいことができるか、行けるところに行けるか、または断念するかなどを考えていくことはないでしょうか。
 この様に具体的に考えていくときに、不安や恐怖心はとても有効に働き、そこからしっかりと予防策を守る姿勢も生まれてくると思います。
 ところで、もう一つの見方として、この大きな不安は自分にとって一体何かなと考えてみるのも良いでしょう。
 もちろん感染の不安ですから、より健康でありたいという強い気持ちはあると思いますが、こんな時に外出したり、なにかに参加したり、企画したりすることで、周囲からどう思われるかとか、職場などで、自分が最初に感染したらどう思われるか、周囲に迷惑をかけたくないとか、色々な思いが浮かんでくると思います。
 これこそが、コロナだけに関わらず、日頃の生活の中で皆さんが大事にしている生き方そのものの表われだと思うのです。
 この大変なコロナの状況ではありますが、この様にご自身のありたい姿、ありたくない姿に気づいて、そんなご自身を活かせるように、この先、恐らく数か月続くであろうこの不安な日々を、皆さんなりに楽しんでいきませんか。
 もちろん、動くのも動かないのも適切に判断しながら、神経質者の特徴を生かした最大限の予防策を講じながら。
   では、皆様のご健康を心からお祈りします。
   ご自愛ください。

2019年12月4日 [企画案内]

 前回の書き込み以降、しばらくお休みしていたら、あっという間に4か月が経ってしまいました。まめに書き込み続けることは、やはり大事ですね。
 今回は色々な企画についてお知らせします。
 前回ご案内した、第三回「森田療法なっとく講座は無事終了。
 10月初旬には、浜松で第37回日本森田療法学会があり、今年も参加してきました。今回の演題発表は、ピアスクエアに参加を続けている方々の、以前からの変化についての報告です。要旨としては、皆さんそれぞれご自分なりに以前よりも楽な生活を送れていますが、症状自体はまだ残っているという方が大半。ここに、症状対処ではなく、生き方や人生観の変化という、森田療法の神髄が見て取れます。
 11月には、ピアスクエアとして初めてのハイクを計画しましたが、残念ながら雨で中止。でも皆さん集まっていただいて、同じ方面の横浜山下公園や氷川丸見学など、楽しく半日を過ごすことができました。
 以下は、これからの予定です。
 新年の1月4日には新年会を兼ねて、森田正馬自宅跡見学と谷中七福神巡り。2月は1日と8日の二日コースで「純な心を体験するワークショップ」。3月7日は、第22回の公開セミナー。3月15日は第4回の「森田療法なっとく講座」。学びと楽しみの混在が続きますね。
 でもこれは、楽しんで気持ちを切り替えながらという事ではありません。楽しみも学びも、もちろん日常生活も、それぞれ別のものではなく、ほとんど一体の同じ世界のものだと考えています。
 そんなとらえ方で、ピアスクエアの企画を考えていますので、ぜひ皆さんのご参加をお待ちしています。
 ここに記載したそれぞれの予定は、決まり次第、順次案内をしていきますので、よろしくお願いします。

2019年8月10日 [森田療法なっとく講座]

昨年秋にはじめた「森田療法なっとく講座」、好評に付き、この度第三回目を開催することになりました。
「一通り森田療法の基本を学んで、頭では分かったが、まだまだ現実の生活に活かせない」
「長年森田療法に触れてきて、勉強もしているが、どうもすっきりしない。」
 そんな思いをお持ちの皆さま、この一日集中講座で「なるほど、なっとく!」してみましょう。
 この講座では、森田療法の基本をしっかりと学びながら、苦しい時に、皆さんご自身の中で一体何が起きているのか、自分の状態がどうなっているのかなどを、具体的に解き明かしていきます。
 初心者からベテランまで、深く学べる講座です。
 ぜひこの機会に、皆さんの日常生活と密着した森田療法の学習を体験をしてみませんか。
 <第三回森田療法なっとく講座>
 日 時:2019年9月28日(土)10時~17時
 場 所:赤羽会館(第一集会室)
 定 員:12名
 参加費:6,000円(資料代含)
 詳しくはこちら
 

2019年6月23日 [公開セミナー]

 以前から案内をしていますが、21回公開セミナーまであと二週間になりました。
 今回は、《古民家での合宿体験から体得する森田療法》
    ~~感じから出発する・・・マニュアルのない日常生活~~
 関西森田の会が、大阪府南河内郡河南町にある古民家で実践している『古民家で衣食住を工夫して過ごす、森田療法体験会』。その活動内容の紹介と、実際に参加して得られた気づきについて語り合います。
 今までのセミナーでは、色々な側面から森田療法についての考え方や解説、また周辺の各種療法などをテーマにしてきましたが、今回は実践内容とそこでの気づきがテーマです。
 理屈や理論を離れ、頭を離れ、気づきと感じの世界、まさに、森田正馬が言っている「体験によって初めて知る事のできるもの」です。
 開催は7月6日(土) 赤羽会館。参加申込込み受付中です。
 この機会に、森田療法の深みを感じ取ってみたいとお思いの皆さん、ぜひご参加ください。
 詳しくはこちら
 

2019年5月26日 [歴史を訪ねて]

 急に暑い日が続くようになり、気候の激変に体がついて行きません。穏やかな四季の変化の中で長年生きてきたので、環境が変わることへの抵抗感があります。
 もう何年も前から温暖化や異常気候を体験していて現実は理解しているはずなのですが、頭の中で、実際の季節感はこうであってはいけないなどという、とらわれがあるのでしょう。
 ところで、先日、大型連休も過ぎた頃ですが、思いを共にする数人の方々と一緒に、森田正馬が自宅での入院療法を始めた駒込蓬莱町界隈の散策に行ってきました。現在は、文京区向町、地下鉄本駒込駅の近くです。
 駅を起点に、まずは正馬が入院患者と共に野菜くずを拾い集めたであろう青物市場跡を訪問。当時、この市場は広範囲に三つの町に広がっていたようで、大正時代の地図に「青物市場」と記載されている場所もありますが、その場所は小学校になっていて、現在は天栄寺というお寺の境内に、その由来を書いた「駒込土物店縁起」という石碑が建っています。
 文京区の歴史では『江戸時代初期の元和年間、江戸市中まで野菜を売りに行く農民たちが、この辺りにあった大きなサイカチの木下で一休みしがてら、野菜を交換したり売ったりしていました。その内にうわさを聞いて人が集まり、市が立ち、辻の辺りには青物問屋が建ち並びました。やがて神田・千住と並ぶ江戸の三大市場と呼ばれ、幕府の御用市場にまでなったのです。駒込青物市場は昭和12年に巣鴨に移転し、豊島青果市場となって現在にいたっています』と語られています。
 天栄寺の境内は、当時の賑わいなど想像もつかない静けさですが、碑文を読みながら、野菜くずを拾う正馬の姿を思い浮かべてみました。
 次にそこから数分、光源寺(大観音)の横を曲り、大観音横丁を進むと、蓮光寺の一角に民家が数件、路地を曲がったところには集合住宅が二棟。森田正馬の自宅跡にたどり着きました。記録では186坪の敷地です。そこには碑も案内板も何もないし、敷地も複数に分かれてしまっていますが、お寺が集まる周囲の雰囲気と、はっきりと森田正馬と記されている当時の地図を見ながら、その場所にいるという気持ちだけで、100年前のシーンに思いを馳せることができました。
 ここで、多くの患者たちが森田正馬と生活を共にし、回復の気づきを得て社会に戻っていったのだという思い。ここで生まれた森田療法が現在に繋がり、受け継がれ、その中に今の自分たちもいるという実感。形外会も開かれたことがある隣の蓮光寺の境内も歩き、色々な思いが湧きあがる時間を過ごすことができました。
 その後は、蓬莱町に引っ越す前に住んでいた千駄木町の借家近くや、正馬が参禅したと言われる谷中なども歩きながら、いつもとは違う視点で森田療法を語り合う数時間を過ごすことができました。
 昨年は、没後80年式典で野市町の生家やお墓を訪れ、数年前には正馬が買い取った熱海の森田旅館跡地や、近くでご親戚の方が営む喫茶店を訪れてお話を聞かせていただいたり。
 森田療法を学びあうなかで、次々と興味が広がり、そこから動きに繋がり、また新たな興味と動きが生まれてくる。まさに、森田正馬が伝えている世界の体験でした。
 当時の地図などに興味のある方は、『東京市及接続郡部地籍地図. 上卷 - 国立国会図書館デジタルコレクション』などご覧いただければと思います。

H31年4月30日 [今日で平成が終わります]

 単なる怠惰であるにもかかわらず、多忙を言い訳にずいぶん空いてしまいました。お正月以来の書き込みになります。
 今日は4月30日。世の中、どこを向いても「平成最後の、、」で溢れています。しばらくは、街の話題もメディアの報道も、新時代一色になる事でしょう。
 元号が変わることは、もちろん社会としてとても大きなことだと思います。この話題で、気持ちを明るく持とうと思うことも、それが良いきっかけになれば素晴らしいことだと思います。
 とは言え、あまり深く考えずにただのお祭り騒ぎになってしまうのも、ちょっと心配になってしまいます。数日前に報道されていたアンケート結果では、新たな時代が希望に満ちているという意見が7割近くを占めていました。思わず、えっ!と思いながらも、まあそうだろうなというのも正直なところです。
 次の時代に夢や希望を持つことは、素晴らしいことだと思いつつ、現実もしっかりと見てほしいものです。せっかく素晴らしい未来を思い描くのですから、夢や希望と共に現実をしっかりと見て、そこから少しでも良い社会、格差や差別、偏見のない社会を作っていこうと、具体的に考えて行きたいものです。
 まぎれもない事実として現に存在する社会の現実に蓋をして、新しい時代への裏付けのない夢ばかり追っていては、見えない所でどんどん社会のひずみは増えていくと思います。世の中いくら明るい話題で満ち溢れて、うわべの経済的な効果がみられたとしても、その社会を支える構造が変わるわけではありません。仮に見たくないもの受け入れたくないものであっても、現実は消せるものではないし、お祝いムードで覆い隠せるものではありません。実際の社会の現実に目を向けず、具体性なく良い気持ちに浸っているだけでは、自らが当事者としてこの社会を生きているということにはならないと思います。
 以前も書きましたが、自らの責任として、しっかりとした情報リテラシーをもって、お祭りはお祭り、現実は現実とそれぞれ見極める力を持ちたいものです。
 こんなことが、森田の言っている思想の矛盾の解消につながる姿勢なのではないでしょうか。もちろん見たくない現実そのものに気づいていることが前提ではありますが、善し悪しに関わらず実際のことに目を向け、そこで現実を生きている人間として、多くのことを生身の感覚で感じ取っていくことを忘れてはなりません。
 平成の時代、天皇皇后両陛下が終始一貫して示された、見事なまでに国民や社会の現状に目を向けた広い視野とご見識、さらに深い思いやりと国民に寄り添ったお気持ちと行動に感謝するとともに、立場上許される最大限ぎりぎりの表現で徹底して平和を訴え続けたその姿勢に敬意を表しながら、時代の変わり目に思うことを綴らせて頂きました。
 とはいえ、お正月に掲載をしてから、あっという間に平成の終わりです。やはり、「平成の内に」、「平成最後の」書き込みをしなければとの思いになってしまい、ぎりぎりの気持ちでの駆け込み掲載です。

H31年1月1日 [今年もよろしくお願いします。]

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は、たくさんの方々のご協力、ご指導と共に、多くの方々のご参加を頂き、ピアスクエアの活動を盛り上げていただきました。特に昨年は、8回シリーズのワークショップや、森田療法なっとく講座などを開催し、以前からの皆様のニーズに応えることもできました。
 森田療法の学び方も、型にはまった固定的なものではなく、いつも時代環境や悩む方々のニーズに敏感に反応していくことが大切だと思います。森田ピアスクエアは、森田療法の本質を外さず、実際に悩む方々のそのままの思いも感じ取りながら、皆さんの期待をタイムリーに形にしていく柔軟な対応が大切だと考え、できうる範囲での等身大の実践を続けています。
 今年は、1919年に森田正馬が自宅での入院治療を始めて100年です。そして、森田ピアスクエアは、10年前の2009年2月に、千代田図書館の研修室で最初の原著読書会を開催しました。もちろん偶然のことではありますが、「森田100年、ピア10年」をキャッチに、今年もいろいろな企画をしていきたいと思っています。  まずは、2月2日に第20回公開セミナー、3月10日に第2回なっとく講座を開催しますが、その後のワークショップや学会発表なども視野に入れながら、今年のプランを練っていこうと考えています。皆様からの森田療法に対する思いや学習の要望など、ぜひお寄せいただいて、これからの活動の参考にさせていただきたいと思います。
 今年も皆様にとって幸せな年になりますよう、心からお祈りいたします。

H30年12月23日 [森田ピアスクエア10周年・第20回公開セミナー]

 気がつくと今年も残り一週間。特に年の後半はあっという間に過ぎていくような気がします。
 この一年、森田ピアスクエアとしては、「ワークショップ」や「森田療法なっとく講座」など、皆さんからの要望がありながらなかなか実現できなかった企画も行うことができました。また、来年2月には森田ピアスクエア活動10周年を迎えます。これも長年支えていただいた皆さんのお陰と、大変感謝しています。
 そして、来年は、森田療法のが成立から100年の節目です。関係の各分野で、100周年の記念イベントなどあるのではないかと思いますので、大いに期待したいですね。
 森田ピアスクエアの公開セミナーも、10年ということで、第20回をむかえます。
 今回のセミナーは、昨年の日本森田学会賞(森田正馬賞)を受賞されました、メンタルホスピタルかまくら山の渡邉直樹名誉院長をお迎えし、「“いのち”をめぐる森田療法~日々の生活・家族・老い・人生~」と題して、ご講演をしていただきます。
 森田療法の奥深さと味わい深さを学べる、とても貴重な機会だと思いますので、ぜひご期待ください。詳しくは、公開セミナーのページをご覧ください。
 今回も多くの方々のご参加をお待ちしています。

H30年12月2日 [心のレントゲン]

 忙しさを言い訳にちょっと書き込みをしなかったら、あっという間に3ヶ月空いてしまいました。気がついたら、暮も目の前ですね。
 怠惰に身を任せると、時のたつのは早いものです。
 ところで先日、第一回「森田療法なっとく講座」が終わりました。
 これは、一日集中の講座で、森田療法の全般を学び、参加者ご自身の症状を振りかえり、そして、とらわれている時に自分の中で一体何が起きているのかを、個々に考えること目指した講座です。
 苦しさで身動きができない時に、自分の中で起きている事態をしっかりと把握してみることは、そこからの脱却の道筋を考えるときにとても有効です。苦しくて動けない時に、やみくもに行動だけを促したところで、根源的な悩みの元が解決するわけではなく、ここでは、しっかりと森田療法が示すとらわれの仕組みを理解することと、自分の中の状態を見てみることが大事なのですね。
 この、自分の中がどうなっているかを知ることは、言ってみれば「心のレントゲン」です。
 とらわれている時の自分の状態を、レントゲン撮影の様に可視化するのですね。それによって、目に見えない自分の苦しさを具体的に解き明かすことができて、実際にどこをどうしていけばよいのかという、日常生活の中でのヒントが見つかります。
 この講座、名前の通り、まさに「なっとく講座」でした。
 次回は3月の開催を予定していますので、決まり次第ご案内する予定です。ご期待ください。

H30年9月23日 [公開セミナー報告、講座案内]

  昨日、森田ピアスクエアの公開セミナーが開催されました。
 今回のテーマは「受け止め合い、分かち合い」そして、そこからの「森田療法の体得」です。
 お二人の講師からは、受け止めあうことで、どれだけ自己否定から解放され、自分らしさが発揮できていけるか、自分が否定されない体験から、いかに大きな力を貰えるかと言ったことを、ご自身の経験を含めて詳しく語っていただきました。
 また、後半の講演では、グループで受け止めうことで、関わる人たちがどんどん変わっていくという、グループのもつ大きな力が、純な心の体験と思想の矛盾の解消、そして平等観の体得を実現し、それこそが森田療法の体得そのものであるというお話をさせて頂ききました。
 毎回のこのセミナーでテーマにしてきた、森田療法そのものの内容とはちょっと違う視点でのテーマ設定でしたが、みなさんの反応を聞きながら、このテーマの持つ深い意味とニーズの大きさを強く感じました。
 昨日参加された方々が、皆さんのフィールドに戻ったのち、この受け止め合いやグループのの持つ力の大切さを少しずつでも広めていっていただけることを期待してやみません。

   また、セミナーの場を借りて、新たな講座「森田療法なっとく講座」の案内をさせていただきました。
 この講座は、森田療法を深く学びながら、参加者一人一人が自分の中にあるかくあるべしや、どんな悪循環が起きているかを明らかにしていき、自分なりの解決への道を見つけていくものです。
 具体的な自分の今に向き合うことを目指す、初心者からベテランまで楽しく学べる講座です。
  詳しくはこちらをご覧ください
 

H30年9月8日 [頭から解放され、いのちに生きる]

 先週末に、森田療法学会が開催されました。
 東京(法政大学)での開催で、参加者数、発表演題数ともに過去最多とのこと。とても活発で楽しい雰囲気の学会でした。
 森田ピアスクエアからは、この春開催したワークショップでの「初一念ノートの活用」について、純な心の体験、平等観の獲得、感じから出発することなどを含めてお話しさせて頂きました。
 また、日頃ピアスクエアにご参加されている方々も多く参加され、森田療法学会の雰囲気に触れながら、一緒に勉強できた二日間でした。
 来年の学会は、10月に浜松で開催されます。東京からそんなに遠いところではないので、皆さんぜひご参加されてはいかがでしょうか。
 ところで、学会の3日後に、ある講話会に参加してきました。
 森田正馬に直接指導を受けた方のご子息で、ひきこもりや不登校の子ども達との合宿生活や、居場所づくりなどをやっている先生の講話会です。
 今回のテーマは「頭から解放され、いのちに生きる」。
 まさに今回の学会での発表内容につながる話で、理知によりコントロールされ、窮屈に縛られた感情(心の自然)を、生活の中で取り戻していく森田療法の本質そのものでした。
 ここでの「いのち」とは、日常生活の中での気づきはもちろんのこと、自然(大自然、山、畑)などの中で感じる「生きている感覚」など、それこそ自由自在です。
 人間は、放っておくと理知(自己中心性)が自分を支配してしまって、頭の中での損得を考え始めてしまう。いのちは、ちゃんと自然な損得を分かっているけれど、頭を通すと、本来自然に感じる損を得と、得を損と考えてしまう。
 その様に何かにつけて頭を通して反応してしまう癖は、小さい時からそんな環境の中で育ち、過ごすなかで生まれてくる。
 この先生は元々教育に深くかかわってきた方で、子どもたちとともにいる中で、教育にその背景や解決の原点を求めています。
 と、ざっとこんなおお話でした。
 道徳教育ではなく、人生科とよぶ、生きる知恵の獲得醸成を目指し実践している先生のお話は、100年前の森田正馬の思いが、そのフィールドや対象を広げながら今の時代にしっかりと継承されていることを感じさせてくれました。
 森田が創設したこの療法は、森田の入院療法以降、医療、心理、自助、社会教育、日常生活など、多彩な分野で、お互いに関わり合いながらも独自に発展してきています。
 先週の学会以降、それぞれのフィールドで、森田療法がぶれずに引き継がれていることのすばらしさを感じた一週間でした。

H30年7月21日 [森田正馬没後80年記念イベント]

 西日本各地を襲った豪雨の被害で、なくなられた方々のご冥福と、安否が不明な方々のご無事をお祈りします。
 また、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
 まさか自分が、自分の家がなどと思っていても、自然は突然無慈悲に被害をもたらしてきますね。2週間が経ちましたが、まだまだ復旧は進まず、水の出ない地域もあって、大変な状況が続いています。
 地球温暖化や異常気象とか、防災体制とか災害対策とか、多くの見方はあると思いますが、報道を聞いてまず思うのは、なんと気の毒な、悲しい、との思いです。たくさんのボランティアが活動を始めていますが、今ここにいる自分には一体何ができるのかと、自らの非力を悔やんでしまいます。
 でも、ボランティアに行けないからと言って、何もできない訳でもなく、今置かれている状況の中でできることはいっぱいありますね。できないことで、自分を否定したり、何もできないからと言って自分を無関心の立場においたりしなくても、自分にできること、その最大限のことを考えて、ただやればいいだけだと思います。
 森田正馬が教えてくれる、「事実」 というのは、そんなところにもあるような気がしています。
 ところで、先日高知で、森田正馬没後80年イベントが開かれました。
 午前中は生家のある香南市野市のホールで墓前祭が行われ、午後は高知市の県民ホールで記念講演会が開催されました。  猛暑のなか、多くの方々が参加されましたが、世の中にはこんなにも森田療法に興味を持っている人がいるのかと思うくらい、県民ホールはほぼ満員で約1000名の方が参加されたとのこと。一体、日頃はどこで何をしている方々なのだろうかと余計なことを考えてしまったくらいです。
 こんな賑わいが、そのまま森田療法の普及に繋がれば良いのにと、思わずにはいられませんでした。
 野市町兎田の森田正馬生家とお墓にも行ってきましたが、森田家の墓地は、以前の位置から少し移設されたようで、墓石も全体の印象も随分変わって、前の方が良い雰囲気だったなどと、勝手な思いを持ってしまいました。また、生家の建物は傷みも目立ち、美しかった庭も少し荒れているような状態。自分が関わっていないにもかかわらず、生家保存活動を頑張ってほしいなどと、無責任な考えが浮かんできます。
 森田療法の本質を学ぼうとしていくと、森田療法の成立過程や森田正馬の生い立ちや人生にも興味が広がり、森田正馬の生き方が、森田療法の伝える世界観そのもののような気がしてきます。
 今回は、久しぶりに生家を訪れて、そこで浮かんできた多くの思いを少しだけ記載してみました。
 いつか、森田ピアスクエアの公開セミナーでも、森田正馬の生き方や歴史をテーマにできたらと思っています。

H30年6月27日 [ワークショップが終了しました]

 久しぶりの書き込みです。
 4月からスタートした全8回のワークショップが、先日の日曜日に終了しました。
 足かけ3ヶ月、結構長い期間でしたが、参加された方々は多くのことを学ばれたと思います。
 このワークショップは、グループでの体験交流を通じて、森田が言うところの「純な心」を体感することを目指しています。
 症状にとらわれている時には、自分の中で一体何が起きているのか、どんな状況になっているのかを考えてみることがポイントです。
 感情と理知が程よくバランスを取り、状況に応じて変化し続けることが、最も自然な状態と言えますが、とらわれている時には、頭=観念が素直な感情をコントロールしようとして、そこから出口の見えない空回りが始まっているのです。
 その状態では、自然な感情は影を潜め、たとえせっかく感じたとしても理知がそれに蓋をしたり、そもそもの感情をそのままキャッチする事すらできなくなってしまっています。いわゆる、「二念」「三念」に支配されてしまうのですね。
 このワークショップでは、お互いの体験の振り返りを通じて、元々持っていた自然な感情を蘇らせていきます。そして、そこから社会的な規範、価値観、周囲との比較などの思いから自由になった感情を「感じとる」ことを目指します。
 自分の中で否定し続けてきた色々な感情が、もう否定しなくて良い、当然あって良いものだと思えることで、元々強かった理知とのバランスが実現し、揺れ動きながらも柔軟に自然に動けるような自分になっていけるのです。
 そして、グループの中で得られる平等観によって、周囲も自分も同じように自然に受け入れられる様になっていきます。
 こんなワークショップですが、今回のような長いものだけでなく、一日コースなども時々やっていますので、ぜひ体験してみてください。

H30年2月11日 [ワークショップを開催します]

 昨日、森田ピアスクエアの公開セミナーが開催されました。
 今回は「森田療法と自然」をテーマに講演とディスカッションが行われましたが、定員を上回る参加申し込みを頂き、満員の会場は熱気に包まれた雰囲気で、皆さまの真剣に聞き入る表情も印象的でした。
 参加された皆様には、座席のスペースなどご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
 この公開セミナーは、半年ごとの開催を続けて、今回で18回目を迎えました。
 今まで精神科医や心理臨床に関わる方々を講師にお招きして、専門家の世界から森田療法を分かりやすく伝えていただき、また自助グループ活動に関わる方々にも森田療法による気付きの世界などを語っていただきました。
 それらを通じて、参加されている皆様には、治療手法や知識としての森田療法ではなく、「より良く生きる」ことに繋がる森田療法の世界観を感じ取って頂けていると思っています。
 そして、今月は森田ピアスクエアの活動を始めて10年目に入ります。
 今までの皆様のご協力に感謝しながら、これからもニーズに応えた様々な新企画を進めていきたいと思っています。
 早速ですが、4月から、純な心を体験する「生き生きグループワーク」を開催します。
 これは、森田ピアスクエアとお茶の水セラールームの共催で行うもので、全8回シリーズの自由な話し合いを通じて、純な心に気づき、生きづらさから自由になれることを目指したワークショップです。
    詳しくはこちらをご覧ください

H30年1月14日 [新たな年を迎え、あれこれ思うこと]

 あっという間にお正月気分もどこかに行ってしまいました。
 皆様も、もうすっかり日常の中での生活や仕事に向き合っていることと思います。
 1月とは言え、いつまでもお正月の余韻などに浸っていられないのが今の社会。
 この国を暗くしている格差社会というのは、単なる経済的な側面だけでなく、その背景にはとても深い差別観があって、そこから多くの社会的な歪みが表れているような気がします。
 障碍を持つ方々への偏見、生活弱者へのいわれのない非難、基地周辺で被害を訴える方々への反人道的な中傷など、枚挙にいとまがありあません。
 なぜこんな社会に、などと思いますが、とても悲しいことですね。境界線をはっきりと引くことで、自分を守ろうとする気持ちが働いているのでしょうか。その人たちの中にも、自分で受け入れられないものがあると、線引きをして自分と向き合うことを避けてしまうのでしょうね。
 でも、考えてみれば、広く国民の声を聞かず、周囲の気持ちや考えがどうであれ、自らの思うところを強硬に実現させようとしている無茶な姿勢がこの国にある限り、相手の心に耳を傾けるという文化はなくなっていくのでしょう。
 古い言葉ですが、いわゆる「自己中」ということば。
 これが国でも社会でも、小さな組織や集まりでも幅を利かせています。そして怖いことにその当事者たちは自覚なく、むしろそれが「人のため」と信じ切っていることが多いのですね。
 悩みを抱える方々の集まりでも、相手の気持ちを深く聴くことなく、まずは一方的なアドバイスが始まってしまう。 当然のことながら、相手の事を聞かずに行うアドバイスというのは、自分が辿ってきた人生だけであったり、自分が信じてやまない「自己中」の世界でしかありません。でも、それが相手のためだと信じて疑わないのですね。
 森田正馬は患者たちの話を聞きながら、都度的確なアドバイスをしていますが、相手によって相手の状況によってその内容は異なります。
 もちろん、森田療法が伝える世界観に基づく生き方を示してはいるのですが、そこでの言葉やたとえ話は見事なまでに多様で多彩です。
 まずはとにかく聴き、相手の事実を見つめ、その場に適した最大限の努力で対応することが大事だということを教えてくれています。
 あっ、大変そうだな。きっと苦しいよね。そんなにつらいんだ。そうかそんな風に思っているんだ。 そんな相手への向き合い方が身につくと、他人のことであったり、社会のできごとであったり、もう少し「まし」なとらえ方と対応ができて安心した社会になっていくのではないでしょうか。
 感じから出発すること、「かくあるべし」を相手にも押し付けない、とにかく人と物事に向き合うところから、森田療法が伝える生き方の共有ができていけると思います。
 人の心も社会も、森田療法が役に立てることはいっぱいありますね.
 今年も引き続き、ピアスクエアの定例会やセミナーを通じて、皆さんと一緒に悩み、考えていきたいと思っています。

12/8 [森田療法学会 熊本]

 11月10日~11日に、熊本で日本森田療法学会が開催されました。
 熊本を訪れたのは20年振りくらいなのですが、上空からはブルーシートで覆われた建物が散見され、また熊本城も大規模な復旧工事中で、震災被害の大きさを目の当たりにし、地元の皆さんの大変なご苦労を感じました。
 さて、学会の感想ですが、熊本は森田正馬が三年間過ごした地で、五高と森田療法や生活の発見会との深いかかわりに関するテーマがとても興味深いものでした。
 森田療法の成立に関わる歴史の中で、医療、社会教育、そして自助グループが見事にかかわりながら現代に発展継承してきている姿を、あらためて実感させていただくことができたと思います。
 また今回は、特に高齢社会のテーマ、災害対応のテーマなどもあり、森田療法が特定の狭い対象や、神経症や神経質的な方々のみならず、広く多くの場面で活躍できることを具体的な話を通して学ぶことができ、あらためて森田療法の懐の深さを感じ取りました。
 森田療法は単なる神経症の症状対処療法ではなく、生き方そのものを見つめ、一人ひとりが自分にとってのより良い人生を創造して行けるよう示唆してくれるものだと、強く確信できた三日間でした。
 来年の学会は、ちょっと早いのですが、9月1~2日に市ヶ谷の法政大学で行われます。
 東京での開催でもありますので、ぜひ皆さん参加されませんか。日頃とは少しちがう観点で森田療法に触れることができ、さらに森田療法の魅力を感じることができるる良い機会ですよ。

11/8 [森田療法を忘れる]

 先日、オーストラリアで森田療法を進めている先生の講演会があり、現地で実践している入院森田療法や、その考え方などをお聞きすることができました。日本で日頃聞いたり学んだりしているところとは少し違うところもあって、臥辱、不問、自然のとらえ方など、その国の文化や伝統、宗教観なども大きく関わっているということを感じました。 とは言え、森田療法が目指す世界が違うわけではなく、とても素晴らしいお話で、参考になったことがたくさんありました。
 また、先生の話だけでなく、実際に入院療法を経験した方のお話もお聞きできました。
 そこでびっくりしたことは、特に神経症が主症状の方ではないのですが、今までの生き方を振り返り、今までの仕事に対する臨み方や家族に対する関係の持ち方がガラッと変わり、無理のない、まったく自然な生き方ができているということでした。
 この方は見事に治っていると言えるのですが、話の中に森田療法の話など全く出てこないのですね。 彼が体験したのは、臥辱を通しての、今までの仕事の仕方や生き方の振り返りであり、その後の、自然の中での「ひたすらなりきる瞬間」でした。
 また、この会を主催した病院で入院体験をされた方のお話もあり、やはり治り方がすごいのですよ。もちろん、難しい森田療法の話やいわゆる森田理論と呼ばれるものなど、まったく出てきません。
 森田療法が、他の療法と異なるところはいくつかあると思うのですが、手法に頼らないというところも大きなところだと思います。 森田が目指す生き方、世界観の体得は、固定された手法、プログラムで実現するものではなく、その時の、その人やその環境にあった、柔軟なたくさんのアプローチがあるのではないでしょうか。
 言葉一つをとっても、その言葉にこだわってとらわれてしまうと、言葉を通じて伝えようとしたその先の深い世界が見えなくなってしまいます。 今回の二つの国での体験をお聞きして感じたことは、頭の中で難しい森田療法の解釈などが始まると、どんどん自然から遠ざかってしまい、悪循環の絡み合った深みにはまってしまうのではないかということです。
 入院がすべてではありませんから、一応は森田療法を学びながらも、だんだん森田療法を意識しなくなり、そのうちに森田療法すら忘れてしまうことが、イコール自然そのものの治った生活の実現ではないかと思います。

10/23 [心と政治]

 この数日、自然のことや政治のことなど、気になることだらけでした。
 関東では、台風の影響でたくさんの列車が止まったり、ダイヤが乱れたり大変でしたね。東京近郊でも多くの地区で避難勧告が出たり、緊張感のある不安な日でした。
 皆さんは、特に被害はありませんでしたか。
 また、昨日の総選挙の結果もでて、落胆した方も多かったこと思います。
 日頃、身近な人々と話していることと選挙の結果って、どうしてこんなに違うのでしょう。以前から不思議に思えてなりませんが、これが小選挙区制のからくりなのでしょうか。
 今度こそはという期待もありながら、どうせやっぱりという無力感も否定できません。せめて、今回の結果が、日本の歴史にとって、憲法にとって、大きな転機になる事のないように、この日が記念日になる事のないように祈らざるを得ません。
 以前も書いたように、選挙のたびに、語られていることの意味と背景を読み取る情報リテラシーと共に、広い視点を持つことの大切さを痛感しています。
 実は、たまたま今日映画を観てきたのですが、第二次大戦後の圧政下のポーランドで、芸術家がその発言や活動を統制、抑圧されていくという、とても重い内容でした。
 表立って見えない形での無言の表現統制がさらに世の中に浸透して行くような予感がしている今、選挙結果が映画の印象と重なってしまい、ちょっと気持ちが暗くなってしまいました。
 ところで、心の悩みや精神の不安定は、社会状況や経済状況、将来への不安などと密接にかかわっています。ですから、社会や政治と無関係に不安を語ったり対処することは、実は難しいのではないでしょうか。
 生活不安からくる精神的な不安には、当然ながら社会の平和や雇用や景気、格差分断社会の不安などが強く関わっています。日々の生活に根差した森田療法を語るときにも、生活に向き合いながら、社会や経済、国の将来や世界の中での日本を考えていくことが大切ですね。
 そういえば、森田正馬が、熱海の海岸埋め立て反対の運動をしていたという話を思い出しました。
 単なる目の前の政策で自身の利害だけを考えることなく、大きく目指す社会をとらえる、いわば「事実本位」の生き方を目指したいですね。いつも自らの心に向き合いながら、社会にも国のことにも目を向けながら、多面的な目を持って、日常生活を送っていきたいものです。

9/15 [森田療法を広く伝える]

 先日、遠方のとある都市で森田療法を紹介するセミナーがありました。
 さほど大きくない県庁所在地で、その市との協働事業で行われた一般向けの市民公開講座「心の健康セミナー」でお話をさせて頂いたのですが、実はそこで少し意外なことがありましたので、ここに書いてみました。
 地元の新聞や市の広報で案内していたとのことですが、そうは言ってもある程度は森田療法を知っていたり、関わっている方々が主だと思っていたところ、参加された半数以上の方が森田療法をほとんど知らない方々だったのです。
 そして、抱えている悩みもご本人の心の悩みだけでなく、ご家族や知り合いの方のことであったり、ご家族のことでご本人が悩んでいたりと、多様です。
 でも、生活の中で色々と感じる多くの悩みに森田療法が有効であるとの紹介をしたところ、たくさんの方々から質問を頂き、単なる神経症への対処だけではなく、紹介した内容から、家族との関係やご自分の人生全般に関するヒントを得ていただいたようです。
 やはり森田療法は症状の対処だけにとどまらず、人や社会との関係の中で多くの気づきを与えて、生き辛い人生を見直せるものだと、あらためて実感しました。
 それにしても、そう思えば思うほど、世の中での森田療法の認知度は、なんとももったいないばかりです。
 すこしでも多くの方に、森田療法を知っていただきたいとの思いがますます強くなったばかりでなく、既に森田療法を学んでいる方々にも、もっとその本質をきちんと学んで、森田正馬が伝えようとしている生き方の体得が進んでほしいものだと感じた次第です。
 具体的な症状を克服する事のみに注力し、そのために行動する事ばかりを指導し、それが森田療法の神髄だと伝えるアドバイスでは、このような広範囲な方々への森田療法の応用や、森田療法の本質的な理解と体得は遠のくだけでなく、却って状況をこじらせるばかりではないでしょうか。
 そんなことを考えることで、おかげさまでと言いましょうか、森田ピアスクエアの活動モチベーションの向上に繋がったようです。

7/26 [森田療法を「理解する」こと]

 先日、森田療法を学ぶ小規模のグループで、講演をする機会がありました。
 依頼されたタイトルは「一生懸命森田療法を勉強して理解しても、治らないのはなぜ」。文章は簡単ですが、なんとも深いテーマです。
 こんなテーマが簡単に語れたら、森田療法の体得は本当に楽にできると思いますが、ざっと以下のような内容でお話をしました。
 まずは「勉強して理解する」ということについて、神経症のとらわれのなりたちと、実際に自分の中で起きいる状態については、勉強して、知って、理解することはとても有効だと思います。 ただ、ではどうしたら良いかという段になっても、頭での理解や納得で対応しようとするところに無理が出てきます。 ここでは、人間が元々持っているけれど、とらわれることで見失ってしまった「自然」をどう取り戻すかがポイントで、それは「どうすればよいか」というマニュアル手法的なものではありません。 また、学習や指導などという毎日の生活から離れたところでの理解は、結局「頭では分かったけれど、実生活では活かせない」という事態を生み出します。 頭の中で作り出したとらわれの状態を、「理解や納得」といった頭の中での対処で解決しようとしても、これは難しいですよね。
 もともと持っている自分の中の自然が作り出していた、やはり自然な「流れ」を、自らの「べき思考・・・人は、自分は、人生はこうでなければならないという“かくあるべし”」が無理やり堰き止めている姿に気づくことで、この堰き止めを放り投げてしまえばよいだけだということが見えてきます。 そのためにも、目の前の症状を消すことばかり考えた行動ではなく、とらわれに至ったからくりととらわれている時の状態をしっかりと理解して、そして毎日の生活に向き合い、良く見つめ、一瞬たりとも停止することのない動きの中で、頭と心が自由にバランスをとっている事実を感じ取ってみること。
などをお話ししました。
 このようなとらえ方をしてみることで、長年「恐怖突入と目的本位の行動」をスローガンのように掲げてきた方々にとって、空回りする努力の苦しさから少しでも解放されるヒントになればと思っています。
 今回の話では、このような内容を通じて、森田療法は神経症の具体的な症状解消に留まらず、深く人生に気づきを与えてくれるものだということをお伝えしてみました。

6/5 [講演会]

お知らせです。
6月10日に、札幌で森田ピアスクエアの活動についての講演を行います。
活動内容の紹介だけでなく、この活動立ち上げに至った背景や目指すところなど、皆さんと8年半に亘って作り上げてきた世界を伝え、参加される方々とのディスカッションを行ってきます。
そこでは、ピアスクエアの活動への大きなヒントももらえるような気がして、とても期待しています。
詳しくは下記をご覧ください。
日本森田療法学会 北海道森田療法セミナー

5/29 [17回 公開セミナー]

第17回公開セミナーの開催内容が決まりました。
7月1日(土)13:30~、会場はいつもの北とぴあです。
今回は、強迫神経症をテーマにお話を頂きますが、もちろん、全般的な症状や森田療法そのものに関しても参考になるお話です。
終了後の懇親会も、毎回盛り上がっています!
ぜひ、ご参加の申し込みをお待ちしています。
詳しくはこちら

4/27 [新しい企画]

GWも間近ですが、皆さまはどんな予定をお考えでしょうか。
ゆっくりと大型連休を楽しめる方、連休なんて関係ない!と日々お忙しい方、それぞれかと思います。
ところで、今回は新しい集まりのご案内です。
5月からですが、森田療法を語る会(Morita・Talking Night)を始めます。
交流会や読書会でも森田療法の世界に触れることはできますが、それとは別に、徹底的に森田についての思いを出し合って、疑問・質問をぶつけ、森田療法の魅力や森田正馬について語り合う会です。
当面は毎月1回、火曜の夕方からを予定しています。
仕事帰りに、また夕方からの外出でも、都合の付く方はぜひ顔を出してみてください。
皆さんと一緒に語り合いながら、そこから新たな森田の魅力にも気づけたらと期待しています。
詳しくはこちら

4/8 [どんな世界をめざすのか]

 突然のミサイル攻撃、地球上の遠く離れたところとは言え、今の国際関係を考えると、私たちの近隣諸国との関係に直接かかわりそうな事態ですね。
 でも、離れていようがいまいが、恐ろしく、そして悲しいしいことです。
 こども達が被害にあったからと言って、報復でこども達も被害に遭うなんて、大義名分にもならないし、悪循環の始まりとしか言いようがありません。
 目を国内に向けてみると、世界の不穏な動きと同調するかのような法案が次々とだされ、一体どんな国になってしまうのでしょうか。姿かたちを変えて、歴史が繰り返されようとしている恐怖を感じます。
 昔も、まさかそんなことになるなんて思ってもみないというなかで、どんどん世の中が走り始めてしまったのですね。
 今、歴史が繰り返されるなどと言うと、そんな馬鹿な、と思う人も多いかと思います。景気高揚、雇用の改善など、上辺だけで政策を支持している人達も多いのでしょうね。
 でも、もっと世の中を見てみましょう、世の中の全体を見てみる必要があります。政策だけではなく、大事なのは、何をするかではなく、何を目指すかです。
 目指す世の中の姿が共有できていない中で政策ばかりを論じれば、自分にとって目先の気持ちの良いところを支持してしまうのかもしれません。
 この様なことを考えると、やはり、情報リテラシーの大切さを痛感します。
 人々や社会が、しっかりと情報リテラシーの力を備えていれば、観念的な詭弁で答弁を繰り返す行政トップや、辛い思いにある被災者に自己責任だと言い放つ大臣などが生れてくるはずはありません。
 その策が、どんな意味を持っているのか、どんな社会を目指そうとしているのかを鳥瞰し、深読みできなければ、目に見えない力で社会はどんどん引っ張られてしまいますね。

 森田療法は、事実を大切にしています。
 辛いからと言って事実に向き合うことを避け、観念の中に入り込むことで、とりあえずの心の平穏を目指してしまいますが、それはもっと苦しい悪循環を生み出します。そして気が付くと、身動きできないどうにもならない苦しみに陥ってしまいますね。
 そんな時には、この悪循環、観念の中での空回りから抜け出して、外の世界に触れてみる、一歩事実の中に入り込んでみる事が大事です。
 そしてどんな生活、どんな人生を目指したいのか、しっかりと自分の感情に向き合って見つめてみる事です。

 私は、私たちは、どんな社会、どんな国、どんな世界を目指すのか、実際には今はどんな世の中になっているのか、どこを向いて突き進んでいるのか。
「えっ」「あれっ」「ちょっとおかしいぞ」と思う直感を大切に、目をそむけずに世の中を直視してみたいと思います。

3/8 [生き辛さ]

 特に最近と言う訳でもないのですが、悩みながら森田療法を学んでいる方々から「生き辛い」という言葉をよく耳にします。
 みなさんすべて同じではありませんが、たとえば次のようなことです。
 「苦しい時に“あるがままになすべきをなす”という言葉を頼りに目的本位に行動して自分の背中を押してきた。辛くても、自ら課題を決めてそれを実践することが大事だと言い聞かせ、逃げずに、いわゆる“恐怖突入”を繰り返しながら行動してきた。 そして、具体的な症状は一応克服して、毎日の生活や仕事はこなせるようになり、生活範囲も広がって来たし、出来なくなっていたこともできるようになった。今までの縮小していた生活も元に戻ってきたけれど、かといって毎日がさほど充実しているわけでもない。 むしろ日々不安定な気持ちを抱え、なんとなくすっきりしない思いに包まれているし、いつも何か焦っている様な、追い立てられるような気持で、心のどこかに、モヤモヤとしたものが残っている。 人と話していても、相手のちょっとした反応が頭にのこり、気持ちが貼りついて流れないことも多く、漠然とした不安があっても、それがどこから来ているのか分からないし、何とも言えない生き辛さを感じている。気が付くと周囲の人達と自分を比較してしまい、自己否定感に包まれてしまう。これは自分の人生なのだろうか、生きているという実感もあまり持てない。自分らしい生き方などと言うけれど、そんなものとはほど遠い毎日と感じている。」
 森田療法が伝えていることは、出来ないことができるようになることではなく、心の事実である感情にそのまま向き合い、等身大の自分を知ることで、社会の規範や周囲の人の目などが気になって、違う自分になろうとして取り繕っている苦しさから自由になることです。
 そこから、地に足の着いた自分らしい工夫や努力が生れ、常に変化し続ける実感のある日々が送れるようになると言えます。
 日々苦しんでいる具体的な症状は、それ自体が本質的な問題ではなく、その背景に一人一人が抱えている、多様な困難があるのですね。
 そこが解決しないまま表面的な症状に対処しても、生き方が変わってくれるはずはありません。
 1月に、ある集まりでワークショップを行い、20数名の方に参加いただきました。ここでも紹介しましたが、昨年11月に名古屋で開催したのと同じようなものです。
 半日の体験ですぐに生き辛さが消えることはないとは思いますが、その苦しみがどこから来ていて、どんな方向で楽になっていくかのヒントを実感して頂けたと思います。
 このワークショップは定期的にはないのですが、毎月のピアスクエア交流会が同様の雰囲気と気づきのきっかけ作りに役に立ちます。
 初めての方も、ぜひお気軽に連絡を頂き、ご参加ください。
 多くの方々と一緒に気づきの時間を持てたらと思っています。

2/21 [公開セミナー]

2月4日に恒例の公開セミナーを開催し、今回もたくさんの方々にご参加いただき、セミナーも懇親会も楽しくにぎやかに盛り上がりました。
共通テーマは自分を知るということでした。
はじめの講演は、 “かくあるべし”に縛られてしまった自分の経緯を知るということで、交流分析で言われているところの「禁止令」と「ドライバー」を理解してみようという内容でした。
以下、簡単ですが私なりの理解です。
生育期の周囲(養育者)との関係のなかで、「~~するな、~~であるな」とか、「**せよ、**であれ」などと、自分の中に組み込まれてしまったメッセージが、かくあるべしの規範意識や、こうでなければならない自分像を作り上げてしまった。
そこから、条件付きの自己肯定の様なものも生れてしまう。
この組み込みは外的要因ではあるけれども、自らの意志で作り上げたものなので、今を起点に、書き込まれているメッセージを自ら書き換えることで、現状を変えていけるということでした。
私も以前に企業のリーダーシップ研修や自己啓発セミナーなどで、近い世界に触れていたこともあり、この様な話を聞くと、なるほど、新たな脚本を立てて具体的な行動目標につなげて行くのだなと、あらためて実感しました。
より良い人生を描き、具体的にそこに向かうために、とても有効なものだと感じました。
次に、後半の講演では、森田療法での自覚について話をさせて頂きました。
以下、抜粋です。
ここでは改善するために自分を知るという切り口はなく、~~のために自分を知るとか、周囲の評価や何かの物差しで知る自分と言うことでもなく、ただ感じることで、今その瞬間の自分を知るということに尽きる。
心の事実である自らのそのままの感情を、偽ることなく、時には恐怖を乗り越えて感じ取ってみる事で、周囲の目に振り回されないそのままの自分に気づくことができ、その自分の純な心を起点とした自然な流れと、社会や周囲の評価を気にすることとの揺れ動くバランスで、臨機応変な生き方を生み出す。
この様な瞬間の心の反応こそが、まさに自然であり、なおかつ森田が言うところの“生の欲望”の発揮に繋がり、自分らしい生き方が実現していく。

あらためて、森田療法の魅力を再確認できたセミナーでした。

12/30 [今年を振り返って]

今年も残すところあとわずかですね。
この一年間、色々とご支援いただき、ありがとうございました。
社会の変化によるものでしょうか、暮れの忙しさもあまり感じなくなってしまいましたが、一年を振り返ってみると色々なことが思い起こされます。
身近なことばかりでなく、国内も世界も、悲しさ、怒り、失望がいっぱいの年で、空しさばかりが蘇ってきます。
世の中の声が、もっと大きな力になればよいのにと思う時がたくさんありますが、残念ながらいわゆる情報リテラシーが低下していることは否めませんね。
これは、直ぐに何かをすれば解決するというものでもないですし、この背景には、課題理解への意欲の低下もあるような気がしてなりません。
どうせ何をやってもダメと言った気持ちが広まってきているのでしょうか。
どうにもならない社会の中で、まさに学習性無力感の様な状態を呈してきている様な気がします。
この様な時代だからこそ、森田療法の示す生き方が、自らの自然な欲望に乗った自発的なモチベーションを呼び起こしてくれるものと信じています。
無力の背景を解明解決して気力に変えて行くよりも、自らが元々持っている自然性に気づくことですね。
また、社会が、ものごとが、思うようにならないという事は、あるがままの事実として受け入れなければならないと思いながら、自分で関わりが持てるところでは精一杯の努力をしていきたいと思います。
11月に開催された日本森田療法学会では、今回も森田ピアスクエアの活動を発表し、多くの方々に興味を持って頂き、貴重なアドバイスや感想などを頂きました。
学会以外でも、日頃の活動で多くの方々とお会いし、また、各地区での講座やワークショップなども開催できました。
皆様のおかげで、少しずつですが、確実にピアスクエアからの発信が広がって来ています。
来年も、今までと同じような企画は続けて行きながら、もう少し間口を広げて新しい企画などにも向かってみたいと思っています。
さっそくですが、2月4日(土)に、第16回公開セミナーを開催します。詳しくはこちら
今回は、今までとは少し違う視点で自分を振り返ってみようという事で、交流分析の話をして頂きます。
交流分析と森田療法、ほとんど接点のない世界かとおもいますが、療法としてというよりも、そこに触れる自分自身として考えれば、多くの共通項とヒントが見えてくるのではないかと期待しています。
ぜひご参加ください。
では皆様、良いお年をお迎えください。

11/7 [ワークショップ]

長い間、ここの書き込みが途絶えていました。
ちょっと、時間が取れなくてなどと思っていると、どんどん時が経ってしまいますね。
気が付くともう11月、4ヵ月も空いてしまいました。
こうやって、出来ないことがどんどん増えてくるのですね。
そこで、今回は丁度良い話題があったので、これを機に書き込みを再開してみます。
先日の日曜日に、名古屋市内で「純な心を体験するワークショップ」を行いました。
地元の、森田療法を学ぶ自助グループの主催です。
当日の名古屋はとても良い天気で、午前11時から会がスタート。
地元名古屋はちろんのこと、東京、京都、大阪、兵庫などからも参加され、てとても賑やかな雰囲気になりました。
森田療法を学び体得する際に、目的本位の行動のみならず、純な心に裏打ちされた自然な感情と流れに乗った動きが大切なことは言うまでもありませんが、時としてそこが見落とされたまま森田療法の学習が進められてしまう場合があります。
そんな状況下で、行動ができるようになり、生活範囲も広がってきてはいるが、日々の漠然とした不安感や不全感、焦燥感などに包まれ、生き辛さも感じてしまうということが起きてしまいます。
そこで、このワークショップでは、日常生活の中での自然な感情をキャッチする感覚を蘇らせるような、自由な話し合いを行っていきます。
半日の短い時間でしたが、参加された方々にとっては、多くの新鮮な体験ができたのではないかと思っています。
時々この様なワークショップも行いながら、日頃の定例活動と併せて、森田療法を体得できるきっかけ作りを進めて行きたいと考えています。

7/6 [セミナー終了]

まだ梅雨明けせず、蒸し暑い日が続いていますね。
明日は七夕ですが、どんな夜空が見えるのでしょうか、天気は心配ですが、楽しみです。
ところで、先週末に第15回公開セミナーが開催されました。
第一部は、臨床現場から、心理士としての目で感じている森田療法の目指す生き方に触れる話をして頂きました。
個別のテーマは「症状の裏にあるもの。一体何から逃れようとしているのか、何を恐れているのか。」
この問いの先には、森田療法の基本である「より良く生きたいという欲求」がしっかりと見えてくると思います。
また、第二部は、日頃の具体的なシーンでの気づきについて、無意識に相手や自分の感情をコントロールしようとして苦しくなることと、つい人と較べて落ち込んでしまう自分についての、森田療法の観点からの話でした。
会場の使用時間ぎりぎりまで活発な質問も出て、やはり今回も元気な公開セミナーでした。
森田ピアスクエアの公開セミナーでは、毎回色々な立場や視点で森田療法を学んでいます。
次回は来年の2月初旬を予定していますので、ぜひご期待ください。

6/8 [公開セミナー]

しばらく、ここの書き込みが途絶えてしまいました
今回は、公開セミナーのお知らせです。
森田ピアスクエア第15回公開セミナーの開催内容が決まりました。
今回は、森田療法に関わる日常生活の中での話を、森田療法に携わる立場から話していただきます。
日頃のちょっとした気づきと、より良い毎日が送れるヒントになる事と思います。
ぜひ、ご参加の申し込みをお待ちしています。
詳しくはこちら

4/16 [大災害]

熊本を中心に続いている地震。
大変なことが起きてしまいましたね。
とても不幸なできごとで、心が痛みます。
地元の皆様、関係の皆様は、今日も不安な時を過ごされていることと思います。
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、一刻も早く救援、復旧が進むこと、被害に遭われた方々の安心と安全が確保されることを願ってやみません。
今、私たちに何ができるのでしょうかと考えてしまいますが、色々な場所で、色々な立場や状況で、人それぞれできる事はあると思います。
私も、私に出来ることを精いっぱいやっていきたいと思っています。

3/12 [ストレスについて]

毎年の事ですが、この季節はまだまだ寒さが続くと感じながらも、どんどん春が近づいてきますね。
暖かくなるのは嬉しいと思う反面、実は寒さや雪に愛着もあり、いつも内包する矛盾を感じてしまいます。
ところで、この時期、年度末から新しい年度に向けて、職場でも学校関係でも大きな変化やその予感と不安があって、結構ストレスの多い季節の様な気もします。
生きている限りストレスは避けられないし、ストレスの元となる環境や取り巻く事実も自分ではどうにもならない事ですね。
とはいえ、やはりストレスは辛い。
昨年末から企業でのストレスチェックも法制化されて、少しずつ社会的な対応も進み始める様ですが、皆さんは日々このストレスにどう対処していますか。
ストレスコーピングと言う言葉をご存知ですか。
簡単に言うと、ストレスとの関わり方や対処の仕方なのですが、早い話がストレスを溜めない、たまったストレスを上手く解消したり、発散したりする方法とでも言いましょうか。
ここにはたくさんの考え方や方法があって、うまく活用することも効果的だと思います。
さてここで、森田療法の基本に立ち返って、このストレスを考えてみましょう。
溜めない、または解消発散する以前に、「事実唯真」の観点からストレスの元を見てみたいと思います。
周囲でも自分の中でもストレスの元があるとしたら、それはそのまま事実として存在する訳ですね。
事実と言うものは、まさに等身大であって、それ以上でも以下でもありません。
もちろん自分からの働きかけで減らすことのできるストレスの元であれば、人でも環境でも、何かの事態であっても、どんどん働きかけることで対処することが良いと思います。
問題は、自分ではどうにもできないストレスの元です。
ここで、この「自分ではどうにもできないこと」を何とかしようとしてストレスを減らそうとすると、さて、どうなるでしょうか。
嫌な相手を変えようとか、置かれている辛い環境をそうではない状況にしてしまおうとか、仕事の内容を、辛さを受けないものにしてしまおうとか。
また、その辛さを感じないようにしようとすることも同じですね。
実際に存在し、どうにもできないストレスの元を消したり減らしたりしようとするわけですから、それが無理であるばかりか、更に自分の頭の中でどんどん成長させてしまい、大変なことになってしまいます。
そうなると回避することはできないし、あっという間に追い詰められて身動きの取れない状況になってしまいますね。
これは、自分の観念の中で、恐怖や自己否定感を自ら大きくさせてしまっているということです。
また、時にはその現実に向き合う事を考えただけで、予期的な不安で押しつぶされそうになることもあるでしょう。
やはり、不可能なことを可能たらしめようとする不毛の努力は、自分に行き場のない大きな苦しさをもたらします。
更に、この努力そのものが新たなストレスの元になってしまいますね。
この場合で言えば、実際にあるストレスの元を、そこからくる辛さを避けたいがために、実際にあるにもかかわらず消してしまおうという努力ですね。
でも、実際にあるのですから消すことはできないし、感じない様にもできない訳ですから、その等身大の不快感をそのまま、良いとか悪いとかの評価や価値判断をせずに、嫌なものは嫌と感じることが、実際の大きさ以上に自分の中に無用なストレスを膨らませないことではないかと思います。
これこそ、森田療法が教える、あるがままの事実唯真のとらえ方ではないでしょうか。

今回は、ストレスを必要以上に膨らませないことについて書きましたが、次回はストレスの元と自分との関係の持ち方を「事実唯真」の観点から書いてみようと思います。
膨らませない前に、ストレスの元からストレスを受けない姿勢です。
これこそが、森田療法の神髄に触れる発想ではないかと思っています。

都内の桜満開予測日まで、あと約2週間。
もうすぐですね。

2/13 [ホームページリニューアル]

先日の公開セミナーでもご案内しましたが、森田ピアスクエアのホームページをリニューアルしました。
今までよりも見やすく使いやすく、なによりもセンス良くを目指して、新しく作り直しました。
皆様、印象はいかがですか。
森田ピアスクエアは活動開始以来7年が経過し、本日8年目に入りました。
そのタイミングに合わせてのリニューアルです。
これからも今まで以上に新たな活動・企画に力を入れて行きたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。

2/10 [受容と共感について]

2月6日に14回目の公開セミナーが開催されました。 今回も多くの方々にご参加いただき、お陰さまで皆様と一緒に大変充実した時間が持つことができました。
また、大阪、愛知、静岡、栃木、茨城など遠方からも参加いただき、あらためてニーズの高さを実感することもできました。
このサイトをお借りして、参加された方々や、いつもご支援いただいている方々に御礼申し上げます。
今回は受容と共感とテーマに、自助グループでの意味や効果だけでなく、受容が森田療法といかに結びついているかについても講演を行い、また演者同士や参加者と共にディスカッションする機会も持てました。
講師の方からは、インターネットを利用したオンライン学習会での受容体験など豊富な事例を基に、受容と共感の大切さを語って頂き、参加された皆さんも、感動に近い思いを持たれていたことと思います。
また、森田療法を学ぶ自助グループとしての、受容と共感、そしてそこに深くかかわるアドバイスの捉え方についても、話をすることが出来ました。
受容と共感の価値は今さら言うまでもないことですが、このアドバイスの側面から考えると、言葉としてはその重要性や必要性を理解していても、基本的な態度として「相手を変えようとする」姿勢が基にある場合も多く見られます。
自助グループ活動での真の受容と共感の雰囲気つくりは、知識や手法としてではなく、活動そのもののミッションを再確認する中で、自分と相手の関係を振り返ることがスタートになると思います。
相手のためだからという大義をかざして、そこに自己実現をみいだしたり、相手を指導することそのものに理想の自分像を求めてしまう事がある限り、自助活動は成立し得ないし、それでは単なる一方的な指導アドバイスの場になってしまいます。またこの背景では、その指導やアドバイスが的確である保証もなく、それにより本来の活動趣旨からはどんどん遠のいてしまう事になります。まさに「毫釐の誤り、千里の差を生ず」に他なりません。
更に、受容と共感の雰囲気が持つ意味として、受容環境での自己否定からの解放があり、その結果自身の内なる事実である感情に対して価値評価なく向き合う事が可能となり、そこから「思想の矛盾の解消」に繋がることもお伝え出来たと思っています。
今回のセミナーは、組織活動や森田療法体得の観点からも、あらためて受容と共感の意味を問い直す事ができた貴重な場であったと感じています。

1/14 [明けましておめでとうございます]

既に松も明けて、タイミングが遅くなってしまいましたが、今年も森田ピアスクエアをよろしくお願いします。
お正月から暖かい日が続いていましたが、急に寒くなって、皆様体調など崩されていませんでしょうか。
ところで、森田ピアスクエアは来月で活動8年目に入ります。
長く続けられていることを、いつも「お陰さまで」と感じていますが、皆様のおかげでこれだけ長く続いているということは、見方を変えればそれだけ強いニーズがあるという事なのですね。 ニーズがあるからこそ、そこに活動の場があり、続けながらよりニーズに応えるような進化を続けて行くのでしょう。
もし活動が固定的で型にはまったものであれば、また目先の対処的なことだけの内容であれば、続くことは難しいと思います。
まさに柔順にしなやかに、その都度必要とされる形で変化していくことの大事さを感じています。
森田ピアスクエアは、この数年間森田療法学会での活動発表も続け、少しずつですが新しい形での自助グループ活動としてその存在が認識され始めています。
でも、活動は柔軟に変化しているとはいえ、大きな看板である「受容と共感」そして「深い森田療法の学びと体得」は活動のスタート以来ぶれない理念です。
そして、2月6日の公開セミナーは「受容と共感」がテーマです。
受容と共感、自助活動、森田の理解、この3つを繋ぐセミナーとして、ぜひご期待ください。

12/23 [青春18きっぷ]

今回はNewsではなく、私ごとの書き込みです。
皆さんは、青春18きっぷをご存知ですか。
名前は有名ですから、ほとんどの方がご存知だと思います。
私も名前だけは知っていましたが、実は若者用の切符だとばかり思っていました。
でも、年齢に関係なく誰でも使えると知ってから、無性に旅に出てみたくなり、先日やっと念願かなって5日間の各駅停車の独り旅に行ってきました。
各駅停車での長時間乗車は腰への負担が心配でしたが、思ったほどではなく、それ以上に旅の風情や地元の人の温かさなどで、素敵な数日間を過ごす事ができました。
そして、なによりも、日頃いかに時間刻みで生活しているのかを痛感。
まるで時間を守るために次々と物事をこなしているかのような日常から離れて、ちょっとした気持ちの流れや、目の前の興味で自由に動く体験ができて、なぜか、とても気が楽になったような思いです。
もちろん、山の辺や小さな街並みなどを長時間歩きまわったダメージも半端なものではありませんでしたが、帰宅してからも、仕事や日々の事柄への取り組み方が少し変化した様な気もしています。
皆さんも、興味と時間と少しのお金があったら、ぜひ体験してみてはいかがでしょう。v

11/19 [関西初登場]

以前ここでご案内しましたが、10月末に大阪で初めてのピアスクエアのイベントを行いました。 
「公開セミナーin関西」、初めての場所での初めての試みでしたが、大阪だけでなく、中部、中国、四国からご参加いただき、とても充実した時間を持つ事ができました。
内容は、ピアスクエアのコンセプトや、この活動に至るまでの森田療法の体得、学習のポイントなどについて。
話を聞いて頂いた方からは、今まで何となく疑問に思っていたこと、モヤモヤとしていたことが明確になったとか、今までとは違う切り口での学び方に触れて、気持ちが楽になったなどの声が聞かれました。
また、後半は森田体感ワークショップのエッセンスを共有するミニ体験も実施。
受け入れてもらえることの大切さを感じる事ができた。 自助グループ活動のあり方に対しての、新たな見かたが出来た。 などなど、感想を山ほど頂き、「開催して良かった」との思いです。
ちょっとした思いがあった時、自然な流れに乗って気楽に動いてみることで、そこに新しい感覚や次の動きのきっかけが見つかるのですね。
まさに、活動そのものが森田療法の世界だと感じています。
また次の企画も練ってみようと思っていますので、関西のみならず西日本の皆様、ご期待ください。

10/10 [昔は体育の日]

1964年の東京オリンピックの開会式が行われたこの日が体育の日として休日になってから久しく、体育の日と言えば10月10日という印象が強いのですが、今の様に毎年日にちが変わると、休みの日に、一体何の日でしたっけ?と思ってしまう事もあります。
ところで、第33回日本森田療法学会と関連イベントが、来週の水曜日から倉敷市で開催されます。
毎年、森田療法の深い話や色々な活動報告、症例、治療例など、多彩で豊富な内容が多く、今から楽しみですが、森田ピアスクエアからも演題発表を行います。
今回は、自助グループでのアドバイスについての発表で、タイトルは下記の通りです。
『「自助グループ活動の領域と役割から、適切なアドバイスと指導の姿を考える」~森田ピアスクエアでの実践~』
ピアスクエアとしての発表は5回目になりますが、毎回色々な方々からの反応、質問、賛同などを頂き、ピアスクエアの理念や活動実態が少しずつ知られてきています。
今回の発表で、「皆さんが作りあげているピアスクエアの良さ」を、今まで以上に日本中に伝えてきたいと思っています。

8/14 [関西初! ピアスクエア公開セミナー in関西]

ピアスクエアも7年目に入り、多くの方々のご協力を頂きながら充実した活動を続けてきました。
毎年2回の公開セミナーも好評で、ピアスクエアとしての個性が発揮できていると思っています。
今までの公開セミナーでも、広く多くの方々にご参加いただいてきましたが、この度初めて東京を出て関西で開催することになりました。
10月31日に行われる『ピアスクエア公開セミナーin関西』、ぜひご期待ください。
初めての地で、たくさんの方々と同じ思いで学べることを楽しみにしています。