一体全体どういう状況なんてめんどうくさい所はとりあえず省こう。
とりあえずジョニィが風邪をひいた。



「いい気味だぜ、そうやって日がな大人しくしてりゃーかわいいもんだけどよぉ」


ベッドの上で渋い顔をして鼻をぐすぐす言わせているジョニィを
上から下まで一通り眺めて楽しむとジャイロはニョホホ、と例の妙な笑い方で笑った。


「…前から思ってたけど、君は本当に嫌味なやつだな…」

「おいおいおいおい、わざわざメシ持ってきてやったジャイロ様にそんな口聞いていいのかあ?」


確かにジャイロの手にはほかほかと湯気の立つ皿があった。
何かコトコトと煮込んだもののようで、病人のためにわざわざこしらえたらしい。

ジャイロはさきほどから何かにつけてジョニィの事を嘲笑ってはいるが、
こういった世話だけは本当にきっちりしている。
ついでに本当に素直じゃない男だ、とジョニィは心のなかで付け足した。


「おら、食えよ。腹は減ってんだろ?」

「……」

「さっさと食ってさっさと治さねーとレースに支障がでるだろうが」

それはわかっているし、お腹も空いている。ペコペコだ。
けれどジョニィは考える。この状況は案外おいしいものかもしれないぞ、と
おそらくこの男は病人を無下に扱ったりは出来ないはずだ。


「…おい、人の話聞いてんのか、ジョニィイイイ」

「…あーん」


ジョニィはそういって大きく口をあけた。雛鳥みたいに。
それをぽかーんと見つめるジャイロ。
そのまま数秒、場が固まる。
流石にやりすぎたか?とジョニィが思い始めた頃だった。ジャイロがようやく口を開いた。


「……あのなあ……おまえ、今いくつだっけ…」


頭を抱えてため息をつきながら心底呆れたといった表情で、ジャイロがそうこぼす。
やはりだめか、自分で食べよう、とジョニィは手を伸ばそうとした。が、


「しょうがねー甘ったれだな」


そんな言葉と共に自分の前に差し出された匙に、
ジョニィは思わずぱちくりと瞬きをしてしまう。


「食えよ」


目の前でほんのりと湯気をたてる匙と、何故か少し赤面しながらそれを差し出すジャイロ。
ああ、幸せっていうやつだな、とジョニィは思う。





「なんでジャイロが赤くなるのさ」


「ああああ!?そんなんなってねーよ!」















おしまい。


事の発端はクラスの男どもが「あーん」ってしてたから。
…いやはやほんとどうしようもないですね。

このあとジョニィはろくに看病してもらえなかった事を思い出して
ほろりとくるといいんだ。そしてジャイロがびっくりする。

あーーーーーーほんとジョニィとジャイロもえるよおおおおおお(病気