2003ポッカ1000キロ耐久レース 結果報告


■大会開催日 8月23日(予選)・24日(決勝)

■大会名称  ポッカ1000キロ耐久レース

■開催地   鈴鹿サーキット(5.8キロ)

■チーム名称 Lady’s D☆ADVAN RS (郭美美・荻原なお子・東條泉美)

    予  選 :15位(34台中) 決  勝 :リタイア(完走17台)

■観客動員数  34000人




●ブレーキ&電装系のトラブルで無念のリタイア!!



■予 選 天候:晴(気温 35度)

金曜日の公開練習からブレーキトラブに悩まされ、セッティングを出すこともままならないままに土曜日の予選に突入した。
午前・午後2回、各30分づつの予選時間の 中で3人のドライバーが走行しなければならず、レディースDチームはマシンのオーナードライバーでもある郭美美選手が午前の30分で予選アタックを行い、午後の30分に荻原・東條両選手が決勝に出場するための基準タイムを出すという作戦で臨む事に。

気温がどんどん上昇する中、午前の予選は11時25分スタート。前日までのブレーキトラブルが解消されているか確認のため、まずはユーズドタイヤをはいてコースイン。
1周をまわって、問題無いということで、ピットイン。そこでNewタイヤに交換し、いよいよアタック開始。勢い良く1コーナーへ飛び込むマシンを見つめ、いざアタック開始とピット内のスタッフ一同、モニターを見つめる。
ところがマシンはコントロールラインを通過することなく、再びピットに戻ってくる。またブレーキか!とメカニックも不安の様子。ピットインした郭選手がマシンの異常を訴える。

シフトレバーがグラグラでギヤチェンジが出来ないという。すぐさまメカニックがシフトレバー付近からギアのあたりまで点検するが問題は無く、どうやらミッションケース内で発生しているトラブルであると予想され、そのままマシンはガレージの中へ。郭選手はアタックすることなくマシンを降りた。
結局、流したタイム2分23秒743のタイムが公式記録となり不本意な24番手で1回目の予選を終了することになってしまった。
すぐさまミッションを分解してみると原因はセレクターレバーの破損であった。なんかついてないと言うかまさかの事態で郭選手もがっかり。。。
午後の予選は15時55分。急きょ交換パーツを用意し、午後の予選までには何とか修理も終わり、終始不安を抱えているブレーキ関係も合わせて再点検を行った。
結局、午前中のアタックが全く出来なかったので、チームの作戦は大幅に変更され東條選手と私とで予選アタックをする事に決定した。

午後30分のアタックはまず東條選手がコースに向かう。アタックモードでコースインしたマシンだったが、またしても1周目でピットに戻ってくる。
今度は一体何?と飛び出すメカにブレーキが全く効かないと訴える。ずっと抱えているブレーキトラブルがまたこの予選にも出てしまった。

このままアタックできなければ予選をクリアできないという状況から、東條選手に注意しながら辛抱の走りをしてもらうしか方法が無い。 それでも集中力ある走りで2分17秒755までタイムを上げピットイン。そこで私にバトンタッチ。

残された時間は17分程である。インとアウトのラップを除くとアタックできる周回は僅か5周。ブレーキの不安を覚えながら慎重にコースイン。
確かにブレーキの感触は万全では無かったが、東條選手のねばりの走りのお陰でブレーキのタッチは少しは良くなっていた。
とは言え無理は禁物。まずは20秒台から徐々に17秒、14秒台とタイムを伸ばし4周目。さらにタイムアップを狙うが、1コーナーで黄旗が振られ追いこし禁止。目の前に他クラスのマシンがいるが、まさか抜く訳にもいかずアクセルを戻しタイムアップならず残念。
5周目、恐らくこの周がラストアタックと思い、気合いで1コーナーへ飛び込むが、またしてもコース半ばでマシンにひっかかってしまう。あー万事休す。

チェッカーが振られている覚悟をして最終コーナーを立ち上がってみると、まだチェッカーは出ていない。(ラッキー!やったね)もう1周アタックできる。祈る気持ちでストレートをアクセル全開で駆け抜ける。泣いても笑っても最後の一周!いつもの事ながら、私の運命やいかに。。。
上手い具合に前にはマシンの姿は無く渾身のアタック。2分12秒719のタイムをマークして予選終了。チェッカーが目にはいる。
2秒アップによりグリッドも総合15番手までジャンプアップ。これにはピット内でも大歓声が上がった。
予選は騙しだまし何とかしたが、ブレーキ不調の問題を抱えながらも明日の決勝に向け最後の整備が行われた。



■決 勝 天候:晴(31度) 32回目の歴史ある大会に3万をこえる観衆が鈴鹿に集まった。話題性の多いレディースDチームのピットには多くの応援団とファンが次々と集まり、常に賑やかなムードで刻々とスタート時間を迎えようとしていた。
大林素子監督もサインや写真撮影にも笑顔でこたえ、ファンサービスで大忙 し。ドライバー達も大林監督と共にサインや記念撮影など、嬉しい悲鳴!

決勝のスタートは13時だが、8時20分から30分のフリー走行があり、レディースDチームとしては、午後の雷雨という予報を考慮して、レインタイヤの皮むきを東條選手にしてもらうことに。
1周して戻り、ドライタイヤの交換して再びコースに向かった。15分して戻り私に交代。東條選手からは相変わらずブレーキが不調であることを伝えられるが、またまたダメなのっと、もうここまで来たら開き直り。
フリー走行では総合8番手のタイムをマーク。決勝に向けては期待を残しフリー走行を終了する。

まだブレーキが。。。メカニックも必死にスタート時間まで何とか再び整備にかかるのだが、もう本当に時間が無い。
13時スタートに向けて、8分のウォームアップが始まる。郭選手がマシンを走らせるが、またしてもマシンは1周で戻ることになる。手を施したブレーキは何の変化もなくすぐさま走行を中止しガレージへ。

もう対処のしようも無く、一応エアー抜きを行いそのままグリッドに並べるという最悪な事態。コース上では応援に駆け付けてくれた大くのファンに不安を隠しながら、大林素子監督、ドライバーとも笑顔で接する。
これはマジで厳しい戦いになることは覚悟しつつ、1000キロ先のゴールを目指すことをドライバー3人で改めて決意した。

気温30度を上回る暑さの中、13時ちょうどに35台のマシンがスタートを切った。
スタート直後の1コーナーで軽い接触があり、順位を落とすも、落ち着いてマシンをコントロールする郭選手。
周回ごとにタイムは上昇し。徐々に順位を上げていく。どうやらブレーキは何とか大丈夫だと思った矢先15周目。
モニターにレディースDのマシンがコースサイドに止まる姿を写しだした。
マシンから降りる郭選手の姿と共に、原因はわからないがリタイアであることをすべてのスタッフが認める瞬間となってしまった。

その後、解った事だがリタイアの原因は、メインの配線が振動で擦れ、ショートした為、電気系のトラブルにてエンジンストップであった。

マシンが止まる直前に、コクピット内では、火花と煙がでるが大事にはいたらなかったことは郭選手の瞬時の判断が良かったからだと思うし、郭選手のスーツの膝あたりが軽い火災のため焦げていたのには、私は正直あせった。。。
あっけない幕切れにピットにいたスタッフを始め、大林監督、東條選手も私も言葉が出なかったが、時間が経過するごとに真夏の耐久レース。まさにレースの厳しさと勝つことの難しさ痛感する事になった。

今回のレースにおいて、ご支援、ご協賛をいただきありがとうございました。 サーキットのピットでは女性チームの参戦ということで、評判になり多くの方に声を かけら れました。メディアでの露出も多く、男性社会と言われるモータースポーツの中にま た新た な1ページを残したことは事実であります。 結果は残念ではありますが、この悔しさをバネとして頑張っていきたいと思います