首脳外交力･挨拶文

「首脳外交力；首相、あなた自身がメッセージです！」著者のご挨拶

　平成20年6月吉日

平林　博（前駐フランス大使、元駐インド大使）

　
今般、日本放送出版協会（ＮＨＫ出版協会）のご好意により、「生活人新書」シリーズとして、「首脳外交力：首相、あなた自身がメッセージです！」を上梓いたしました。５月初旬に上梓した「フランスに学ぶ国家ブランド」（朝日新聞出版、「朝日新書」）に次ぐ第２作です。

　現代は、大統領や首相という各国の政府首脳が外交をリードする時代です。この本は、日本国民のために、わが国の首相にも立派な首脳外交をやっていただきたいとの、一外交官の長年の願望から発したものです。
首脳は、国益がどこにあるかに思いを致しながら、理念や政策を組み立て、それを国際会議や二国間の外交で実現するように力を発揮しなければなりません。首脳の外交力はどこから来るのか、どう使ったらよいかを具体的にお分かりいただくために、過去のわが国の首脳外交の光と影、あるいは成功と失敗を、見たまま聞いたままに逸話としてご紹介しました。いまだ語られたことのない話がたくさん出てきます。

　５月下旬には、横浜において、アフリカからの40人を越える首脳を集めて、アフリカ開発首脳会議が行われました。間もなく7月の初旬には、洞爺湖において主要国首脳会議（G８サミット）史上最大の首脳会談が行われます。世界の最も重要な国々の首脳が３０人近く集まる「華のサミット」です。主催者であり、各種会議の議長となる福田首相の役割は、特に重要です。本書の第１章をお読みいただければ、サミットはほぼすべて理解できるでしょう。是非、日本のために、世界のために、外交力を発揮してもらいたいと思います。
　
「フランスに学ぶ国家ブランド」（朝日新聞出版、朝日新書）が出版されてまだ間もありませんが、お読みになった方々からは、ご好意あふれる評価を頂きつつございます。この本で展開した、「日本をもっと輝く国にしよう、日本の国家ブランドを高めよう」との問題提起は、今度の「首脳外交力」にも底流として流れています。なぜなら、日本の「国家ブランド」が輝くためには、日本の国運を左右する首脳外交において、日本の首相が外交力を発揮する必要があるからです。

タイトルは硬いかもしれませんが、「わかりやすく、読みやすく」と心がけました。首脳外交に焦点を当ててその表と裏を描いた本としては、はじめてかと思います。皆様にお読みいただければ、幸いでございます。