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フランスは、世界の人々の憧れの的です。日本人だけではありません。なぜでしょうか。それは、フランスという国が、輝いているからです。実際のフランスよりも輝いているかもしれません。花のパリからはじまる町や村の調和の取れた美しさ、優れた芸術文化はもとより、独立自主かつ発想豊かな外交、国の偉大さや栄光を大事にする精神と行動など、いくつかの理由があります。一言で言えば、フランス人のDNAがフランスの輝きと偉大さを大切にするのです。そしてフランス人がそのような自国を強く発信するから、世界でも独特の国家ブランドが確立したのだと思います。
これが、駐フランス大使としての公私の生活を含め、過去3回、計8年にわたるフランスでの実体験から得た私の感慨です。
翻って、わが日本はどうでしょうか。私は、44年間の外交官のキャリアーで、外務省や首相官邸のたくさんの部署、たくさんの在外の大使館に勤めましたが、そこから得た結論は、日本は文化を含め沢山よいものを持っているのに、その国家ブランドは実力以下にしか輝いていないということです。
したがって、私は、日本人、特に「国のかたち」や「国家ブランド」をつくり売り出す責任のある指導層は、フランスから学ぶべき点があるのではないか、学んだ上でよいところを取り入れて、日本が本来持っている輝きを発するようにしてもらいたいと思うのです。
この本は、以上のような問題意識から書いたものです。
皆様が興味を持って、かつ具体的なことに即してご理解いただけるように、私の外交官生活で実際に経験した体験や逸話をふんだんに取り入れました。これだけでも、外交官、特に大使は何を考えているのか、何をするのか、ご理解いただけると思いますが、さらに、「大使のヴァーチャル1週間日記」として、私がさる年の1月の1週間の活動を日記風にまとめてみました。大使の公私の生活を垣間見ることができると思います。
この点で、今までにない特色がある本であると自負いたしております。
お読みいただいて、皆で日本の国をよりよくするにはどうしたらよいか、お考え下されば、私の意図するところが伝わったことになります。
お読みいただく皆様にとって、多少でも新たなものをお届けできますれば、私の本懐とするところでございます。
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