2015年10月 第33回日本森田療法学会  倉敷芸文館
一般演題
    自助グループ活動の領域と役割から、適切なアドバイスと指導の姿を考える
    〜森田ピアスクエアでの実践〜
               森田ピアスクエア 竹林耕司

(当日の発表原稿をまとめていないので、事前提出抄録を掲載します。)
原法入院森田療法の場では、日常生活、医療・心理、教育・指導、グループ活動・相互援助、学習活動など、多くの要素が相乗的な効果を発揮しながら、修養に向かっていたと考えられる。
その中では、毎日の生活面での的確なアドバイスや指導などが有効に働いていたと思われる。
その後、入院森田療法が持っていたそれぞれの要素は、医療や心理、教育などいくつかの流れとなり、その流れの各分野が、重なり合いを持ちつつ相互に補完し合いながら現在に活動が継承され、新しい形で発展してきていると言える。
その流れのなかで、自助グループ活動は森田療法の普及や当事者達の日常的な支援の場として一つの重要な位置を占めている。
その自助活動では、メンバー相互による交流の場は大きな部分である。
そして、入院森田療法の一要素を引き継ぐ自助グループ活動として、その交流の場でのアドバイスは、参加者の満足度を左右するだけでなく、自助グループ活動の質や方向性を決定する重要な要素となっている。
しかしながら、適切なアドバイスにより参加メンバーが大きな気付きを得ることもあるが、時として過度のアドバイスや、不適切なアドバイスにより、逆に自己否定感が増してしまい、そこからグループへの参加が続かなくなるケースも懸念される。
それにより、森田療法の世界から足が遠のいてしまう事があるとすれば、大変残念なことである。
アドバイスに対しての捉え方は、自助活動を推進する立場や、参加し始めたばかりの立場などでそれぞれ異なってくるが、この懸念を単に構成メンバー個々の特性のみで考えずに、その自助活動が描く活動ミッションや目指す方向性の視点から考えてみることが重要ではないだろうか。
これは、森田療法に関わる自助活動の歴史的な役割と、担うべき領域の再認識ともいえる。
そのように活動全体の視点から考えることが、自助活動を今後もより良い方向へ発展させ続ける道であると言える。
森田ピアスクエアでは、自助グループ活動を推進するなかで、活動の長期的な方向性と毎回の現場での参加者の満足度の、それぞれを考慮した視点でアドバイスへの取り組みを行っている。
今回の発表では、いわゆる言いっぱなし聴きっぱなしの相互交流と、タイムリーで的確なアドバイスの、双方の効用を活かした活動を目指す森田ピアスクエアでの実践活動を紹介する。
                                                 以上