2014年11月 第32回日本森田療法学会  東京慈恵会医科大学
一般演題
    「日常生活」を通して感じ取る森田療法
〜森田ピアスクエアでの自助学習と交流活動〜
               森田ピアスクエア 竹林耕司

(当日の発表原稿をまとめていないので、事前提出抄録を掲載します。)
森田ピアスクエアでは、6年前より自助グループのスタイルで、森田療法が伝える生き方を学習しながら、日々の悩みをお互いに受け止め合う活動を進めています。
その活動で基本に置いているのは「日常生活」です。
学習内容が文章解釈のみを重視したり、スローガン的な理解になっては、却って新たなとらわれに発展してしまいます。
また、お互いの悩みを受け止める際も、直面する具体的な症状のみにテーマを限定してしまうと、症状を相手にする行動面でのアドバイスに偏りがちです。
私たちの活動では、これらの陥りそうな問題を避けながら、短時間の集まりという時間的な制約の中で、生活に密着した森田療法理解を目指す工夫を行っています。
主として行っていることは、書籍による学習と、日々の悩みを出し合うグループ交流会です。
書籍学習では森田の原著を用いていますが、文章で書かれていることは、各自の気付きのきっかけと位置づけて、文章解釈よりもそこから導き出される各自の生活体験、体験したときの感情の記憶などに重きを置いて話し合いを行います。
これにより、原著が伝えようとしていることを、自分たちの身近な生活体験を通して実感できるようになります。
グループ交流では、具体的な症状による悩みに加え、日々のちょっとした気持ちの揺れ動き、些細な出来事に際しての自身の反応などを主に話を進めます。
これらの活動の中で大切なことは、主役は「自分の毎日の生活」であるということです。
生活から離れず、生活の中のテーマに注目することで、頭の理解よりも体験からの気付きを重視することに繋がり、より深いレベルで森田療法の示す生き方の工夫が身に付くと考えています。
毎日の仕事や家事などを担いながら、月一回という時間的に限られた場での学習と交流ではありますが、実際の生活に密着した具体的な話題をベースに進めることで、日々やり過ごしてしまっている事柄や心の動きに気付くことができます。
更にグループでの交流を通して、お互いの生活を疑似的に体験することも可能で、そこでも新たな幅広い気付きが生まれます。
ここでは、徹底した受容と共感の姿勢と、話題の具体性を基本としています。 その安心できる雰囲気の中での具体的な生活テーマの体験は、形で考えられる理解や解釈よりも、生活の中での悶々とした気持ちが和らいできたり、日々の中に自分らしさや充実感を感じ取ることなどを実現させてくれます。
今回は、この森田ピアスクエアの活動内容を具体的に紹介すると共に、生き生きとした生活を実現できている具体的な事例の報告を行います。
以上