2012年11月 第30回日本森田療法学会  東京大学本郷キャンパス
一般演題
    楽な生き方につながる、自助グループでの森田療法学習事例
   〜文章の解釈を離れて、感じを重視する森田原著学習〜
               森田ピアスクエア 竹林耕司

(当日の発表原稿をまとめていないので、事前提出抄録を掲載します。)
神経症のとらわれに悩む当事者が、専門家による対応とは別に、自助グループとして森田療法の世界観を学び取っていくことは、症状の克服にとどまることなく、さらに自分らしい自由な生き方を見つける上で大きな意味があると思います。
森田ピアスクエアでは、過去2回報告した受容と共感の話し合いの場と併せて、独自の学習活動をグループワークの一つとし取り入れてきました。
この学習は、森田正馬の著書を使って行うのですが、原著は一般の書籍のように読んでもなかなか理解が難しいと言われています。
原著の記述をそのまま解釈しようとしても、教条的な理解になったり、スローガン的に言葉を覚えることに終始しがちです。
また、表現の一貫性を追求しがたいところもあり、得てして部分的な言い回しのみで森田の理解と感じてしまうケースも多いようです。
そこから、原著の読み方次第で断片的に森田を理解したり、後輩に伝えようとする傾向が起きがちです。
そのため、学ぶ人によってそれぞれ多くの側面で森田が語られてしまう事にも繋がっているのではないでしょうか。
新たに森田療法に接し始めた方々は、その一つの側面での表面的で見えやすい森田の理解になってしまいます。
そこで、森田ピアスクエアの原著学習会では、できるだけ語句の解釈をはなれ、書かれていることの理解を行わず、直感的な感想から入っていくように努めます。 書かれていることから導かれる自分の体験と照らし合わせて、そのとき自分がどんな感じを持ったか、どんな気持であったかなどを出し合います。
この話し合いを続けることで、原著の文章を離れ、その文章を通じて森田が伝えようとしている世界や、事実への向き合い方を感じ取っていけるようになります。
たとえどんな言葉や表現であっても、そこに書かれていることではなく、そこを通じて伝えようとしている世界を、実際の体験と感情を通して体感しようとする試みは、参加者同士が各人の生活を共有しながら気付き合っていくことに繋がります。
併行して行っている受容と共感の相互傾聴の場での心の事実、純な心の気付きと併せて、この原著学習会での気付きは、その相乗効果で森田の体得に大きな効果が出て、参加者たちの楽な生き方に繋がっていると考えています。
今回は、その原著学習会の進め方と事例紹介、具体的な成果などについて報告させていただきます。
以上